サクラセブンズが初の金メダルをかけた決勝は、4年前の決勝と同じ顔合わせになった。ゴール目前でのミスで決勝トライのチャンスを逃して、2点差で銀メダルに終わった前回大会の雪辱を晴らす機会になった。

 試合は今回も接戦になり、前半5分すぎに平野優芽選手がトライ、大黒田裕芽選手がコンバージョンを決めて7-0リードで前半を折り返した。後半2分に中国に1トライを許したが、その後の追加点は許さない守備で接戦を制した。今回も2点差の勝負となった。

 キャプテンの中村知春選手は、「ゲーム内容自体は全く満足できるものではない」としながらも、「チームが粘り強いディフェンスを見せてくれたおかげで、勝つことができた」と話した。

 蒸し暑い中での3日間6試合の戦いで、日本は、ホスト国インドネシアとの初戦では大竹風美子選手の先制トライを皮切りに65-0で圧勝。その後、カザフスタンに31-21、タイに26-0で勝って準々決勝に進出し、韓国を35-7で下して4強に進んだ。

ところが、準決勝前に大会側によるトーナメント方式の変更により、対戦相手がタイからカザフスタンに変わるアクシデントに見舞われた。しかし、女子日本代表はこれを26-12で制して決勝に進んでいた。

「タフな3日間を乗り越えて、金メダルを手にできたことを素直にうれしく思う」と話す中村選手は、「アジア大会は、メンタルのタフさや気持ちの強さを試される場でもあった。その中で勝ち切れたことに、このチームの成長を感じる」と喜んだ。

 女子セブンズ競技がアジア大会の種目になったのは2010年から。その第1回大会で日本は5位に終わり、前回第2回では準優勝だった。今回は3度目の挑戦での成果だった。

 中村選手は、「東京2020で、また表彰台からの景色が見られるように、この気持ちを忘れずに次の大会も頑張りたい」と話した。

 サクラセブンズの稲田仁ヘッドコーチは、「3日で6試合というタフな戦いを最後まで勝ち切って、日本女子ラグビー初のアジア大会金メダルを獲得できたことをうれしく思う。最後まで粘り強く戦い抜いた選手を誇りに思う」と、結果を出した選手たちを称えた。

2017年7月からチームを率いる稲田ヘッドコーチにとっては、今回が初の主要大会でのメダル獲得だ。

サクラセブンズ指揮官は、「相手をリスペクトして、ひたむきに戦うことの大切さを改めて学んだ」と語り、メダル獲得が目標の東京オリンピックへ向けて、「今回の経験を東京オリンピックでの目標達成に必ずつなげていきたい」と述べている。

 なお、女子3位決定戦では、カザフスタンがタイに29-7で勝って、2大会連続での銅メダル獲得となった。

男子日本は香港と3大会連続の決勝に

 一方、大会4連覇を狙った男子セブンズ日本代表は、銀メダルに終わり、男女そろっての優勝とはならなかった。

 決勝戦は香港との対戦で、3大会連続同カード。過去2回の雪辱に燃えていた香港に、日本は試合開始2分弱で1トライ1コンバージョンを許した。さらに、前半8分過ぎには坂井克行選手(豊田自動織機)がイエローカードを受け、その直後に追加の1トライ1コンバージョンを与えてしまい、前半を0-14で折り返した。

 日本は後半反撃を試みるが、失点を許さなかったものの1得点も奪うことができずに両者スコアレスのまま。前半の得点で香港が今回雪辱を果たす形になった。

 1日2試合を3日間続けた大会で、日本は初日に開催国インドネシアに92-0、マレーシアに47-0と大勝。2日目もチャイニーズタイペイに31-0で勝利。チャイニーズタイペイとの再戦となった準々決勝でも43-0で圧勝し、準決勝へ進出した。3日目の準決勝では、スリランカに12-10で下して決勝に進んでいた。

 キャプテンの小澤大選手(トヨタ自動車/日本ラグビー協会)は、「4連覇がかかっている大会で、金メダルを獲得することができず、とても悔しい」と述べ、「大会2日目までは自分たちが用意してきたことを出すことができたが、3日目のスリランカ戦から自分たちのプレーができなくなった」と振り返った。

男子セブンズ日本代表の岩渕健輔ヘッドコーチは、「規律を守ったプレーができず、ミスが続き、流れを変えることができなかったのは、日ごろの練習のクオリティの問題であり、自分の問題」と話した。

 「優勝できなかったことに大きな責任を感じている」と言う指揮官は、開催まで700日を切った東京オリンピックへ向けて、チームのテコ入れに乗り出すことを明言。「今日から1日1日の過ごし方をスタッフ、選手全員で変えていく」と話した。

 小澤キャプテンは、「今回優勝できなかった悔しさを忘れることなく、1日1日の練習を大切にして課題を修正し、アジアシリーズで香港にリベンジしたい」と語った。

 なお、男子銅メダルは3位決定戦でスリランカを36-14で下した韓国が、3大会連続での獲得となった。