ワールドラグビーU20チャンピオンシップは、15年の歴史を持ち、選手の育成に欠かせない存在であると同時に、大会として素晴らしいものです。

数え切れないほど多くのの未来のスターが発掘され、その多くは今年末に開幕するラグビーワールドカップ2023にも登場するに違いありません。

フランスは2度のディフェンディングチャンピオンであり、2018年と2019年の優勝チームで活躍した選手の多くが、全勝中の「レ・ブル」チームの主軸選手としての地位を短期間で確立しました。

また、オールブラックスのフォワード、サム・ホワイトロックやスプリングボクスのフライハーフ、ハンドレ・ポラードといったラグビーワールドカップの勝者たちにとっても、この年齢別国際ラグビーの最高峰大会は頂上へ上る足がかりでした。

U20チャンピオンシップでのプレーを経験し、その後自国でキャップを得た選手は、913人にのぼります。

この大会では、ニュージーランドが伝統的に圧倒的な強さを誇り、過去最多の6回優勝を飾っています。次いでイングランドが3回優勝しています。2019年にアルゼンチンで開催された前回大会では、オセアニアU20王者のオーストラリアに24-23で勝利したフランスが現在トロフィーを持っています。

U20選手権2008

開催地:ウェールズ
優勝: ニュージーランド
準優勝: イングランド
決勝戦の結果: ニュージーランド 38-3 イングランド

大会統計
大会合計得点:1,985点
トライ数:257トライ
最多得点:フランソワ・ブルマー(RSA)67点
最多トライ: ラトゥ・ナシガニャビ(オーストラリア)7トライ(現在はネマニ・ナドロとして知られる(フィジー))

第1回ワールドラグビーU20チャンピオンシップで、ニュージーランドが、その流れる自由なラグビースタイルで全試合を25点差以上で勝利を収め、他の国と一線を画す存在となりました。前年に行われたU19チャンピオンシップでも参加チームの4分の3がニュージーランドに太刀打ちできない状態でした。そしてU19、U21チャンピオンシップに代わって開催されることになったU20チャンピオンシップでもニュージーランドは同様の強さを見せ、242得点、34トライを挙げ、奪われた得点は28点、トライはたった1トライでした。

共同コーチのラッセル・ヒルトンジョーンズが「特別なグループ」と称したニュージーランドは、スウォンジーのリバティ・スタジアムで行われた決勝戦で、ケイド・ポキ、ジャクソン・ウィリソン、アンドレ・テイラー、ライアン・クロッティがトライを挙げ、38対3でイングランドを圧倒しました。

南アフリカは、サム・ウォーバートンがキャプテンを務めるウェールズに43-18で勝利して3位となり、アメリカは16位決定戦で日本に44-8で敗れ、2009年のU20トロフィー2部リーグに降格となりました。

U20チャンピオンシップ2009

開催地: 日本
優勝: ニュージーランド
準優勝: イングランド
決勝戦の結果: ニュージーランド 44-28 イングランド

大会統計
大会合計得点: 1,973点
トライ数:257トライ
最多得点:ー トム・ホーマー(ENG)68
最多トライ:ザック・ギルフォード(NZL)8トライ

2008年大会のニュージーランド代表チームの中で、2009年大会に帰ってきたのはザック・ギルフォード選手のみでした。しかし、この年の優勝候補は、カートリー・ビール選手などスーパーラグビー選手を擁するチームを編成して来日したオーストラリアでした。プールステージでは、オーストラリアが3試合にわたって圧倒的な強さを見せたのに対し、ニュージーランドは、持ち前の80分間パフォーマンスを発揮することができませんでした。

準決勝でオーストラリアとニュージーランドがぶつかりましたが、予想に反してニュージーランドが遂に実力を発揮し、キャプテンのアーロン・クルーデンの大活躍で31-17で勝利しました。もう一つの準決勝では、イングランドが南アフリカに40対21で勝利しました。その南アフリカは、決勝ステージ進出を賭けたプールCのフランス戦で、20-0で引き離されていた30分後に43点もの得点を挙げ逆転勝利を飾っていました。

東京での決勝戦当日は大雨となり、試合直前まで大雨が降り続いていました。12ヶ月前に比べ競争力を増していたイングランドですが、クルーデン選手の2トライの電撃に立ち直れず苦戦。ニュージーランドが7トライを挙げて44-28で勝利し、王座を防衛しました。

南アフリカは、オーストラリアよりも雨天に強く、再び3位となりました。2010年の大会は16チームから12チームに縮小され、プール最下位に終わったカナダ、日本、イタリア、そしてデビュー戦を飾ったウルグアイが降格することになりました。

U20チャンピオンシップ2010

開催地: アルゼンチン
優勝: ニュージーランド
準優勝: オーストラリア
決勝戦の結果: ニュージーランド 62-17 オーストラリア

大会統計
大会合計得点: 1,569点
トライ数: 179トライ
最多得点: タイラー・ブリーエンダール(NZL)82点
最多トライ:ジュリアン・サヴェア(NZL)  8トライ

2010年大会は、アルゼンチンのリトラル地方にあるロサリオ、サンタフェ、パラナの各会場で行われ、何千人ものファンが試合を観戦しに集まり、大きな足跡を残しました。とりわけ開催国チームが4日目に19-19で引き分けたウェールズを、キック合戦で破った試合は、スリリングで緊張感のある試合でした。

オーストラリアは、南アフリカとイングランドに連勝して初の決勝進出を果たしましたが、タイトル決定戦では勝利があまりにも遠い一戦となりました。対戦相手となったニュージーランドは、コーチのデイヴ・レニーに「ほぼ完璧」と言わしめたパフォーマンスを披露しました。ニュージーランドは7トライを奪い、うち28点はキャプテンのタイラー・ブリーエンダールによる得点でした。ウィンガーのテルサ・ヴェイヌはハットトリックを達成。ニュージーランドは62-17で勝利しました。

南アフリカはイングランドを27-22で下して再び3位となり、サモアは11位決定戦でトンガに23-3で敗れ、U20トロフィーへの降格が決定し、2010年U20トロフィーの優勝国イタリアにその座を譲りました。

大会序盤、アイルランド代表のキャプテン、リース・ラドックは、オーストラリアでの大会に出場していたシニアチームに、負傷した選手の交代として招集され、テストデビューを果たしました。U20チャンピオンシップに参加した全17カ国の卒業生がテストデビューを果たしたことになります。

U20チャンピオンシップ2011

開催地: イタリア
優勝: ニュージーランド
準優勝: イングランド
決勝戦の結果: ニュージーランド33-22イングランド

大会統計
大会合計得点: 1,640点
トライ数: 204トライ
最多得点: ギャレス・アンスコンブ(NZL)86点
最多トライ: アルノ・ボタ(RSA)/クリスチャン・ウェイド(ENG) 7トライ

ニュージーランドとイングランドは、U20チャンピオンシップ決勝で3度目の対戦となりました。結果は同じであったものの、王者がタイトルを奪われる危険性にもっとも近づいた決勝戦となりました。

シックスネーションズでグランドスラムを達成したイングランドは、パドバでの一戦で序盤を支配していましたが、それを得点に結びつけることができませんでした。それとは対照的に、ニュージーランドはチャンスを最大限に生かし、ガレス・アンスコムの完璧なキックで最終的に33-22で勝利し、今大会20連勝を飾りました。

オーストラリアは、プールBでフランスに敗れた雪辱を果たし、3位となりました。フィジーは、南アフリカに104-17で敗れたものの、チーム史上最高の6位につきました。

開催国のイタリアも最終日に11位決定戦でトンガを34-22で下し、トップティアの一員としての座をを守る一方、トンガは2012年のU20トロフィーへの降格となりました。

U20チャンピオンシップ2012

開催地: 南アフリカ
優勝: 南アフリカ
準優勝: ニュージーランド
決勝戦の結果: 南アフリカ 22-16 ニュージーランド

大会統計
大会合計得点: 1,343点
トライ数: 165トライ
最多得点: トム・プライディ(WAL) 61点
最多トライ: ジェイミー・ファーデール(SCO)6トライ

ニュージーランドと南アフリカは、それぞれウェールズとアイルランドにプール戦で敗れたものの(ニュージーランドは今大会で初の敗戦)、決勝トーナメントに進出することができました。

4冠王と開催国チームの対戦という決勝戦は夢の一戦となりました。35,000人の観衆がニューランズ・スタジアムに詰めかけ、決勝戦は大歓声の中で行われました。

後半に2トライ(1トライはセンターのヤン・サーフォンテイン)を決めた南アフリカは、ニュージーランドが全力を尽くす最後の10分間を生き延びるためのスペースを与え、ジュニア・スプリングボクスは22-16で勝利しました。

南アフリカは、ニュージーランドの優勝トロフィーの支配に終止符を打ちました。また、アルゼンチンも、最終日にウェールズに敗れて4位となり、躍進の大会となりました。

イングランドは期待外れの7位に終わり、一方フィジーは、イタリアとの降格決定戦で奮闘し、19-17で勝利しました。イタリアは2013年のU20トロフィー降格が決定しました。

U20チャンピオンシップ2013

開催地:フランス
優勝: イングランド
準優勝: ウェールズ
決勝戦の結果: イングランド 23-15 ウェールズ

大会統計
大会合計得点: 1,550点
トライ数: 189トライ
最多得点:パトリシオ・フェルナンデス(ARG)82点
最多トライ:セアベロ・セナトラ(RSA)7トライ

北半球の2チームによる初の決勝戦は、前半戦と後半戦で互いが責め合う典型的な一戦となりました。

ウェールズ代表のフライハーフ、サム・デイヴィスが素晴らしいプレーを見せ、ハーフタイムには15-3とリードしていましたが、1時間が経過するところで、ジャック・ノウェルが得点し、勢いはイングランドに傾きました。23-15で勝利を果たし、過去3回決勝で敗れたイングランドは、遂にトロフィーを手にしました。

南アフリカに敗れ、ぎりぎりでベスト4進出を果たしたイングランドでしたが、準決勝ではニュージーランドを年齢別大会史上で初めて破りました。一方、デイヴィスはジュニアスプリングボクスとの闘いの終盤のこり数分のところでトライを決めた上、タッチラインコンバージョンも成功させ、18-17で勝利し、ウェールズのヒーローとなりました。

南アフリカはニュージーランドとの11トライのスリルを制して3位となりました。一方フィジーは11位決定戦でアメリカと対戦。アメリカに力の差を見せつけ46-12で勝利しました。チャンピオンシップに昇格したばかりのジュニアオールアメリカンは、再びU20トロフィーへ降格となりました。

U20チャンピオンシップ2014

開催地: ニュージーランド
優勝:イングランド
準優勝: 南アフリカ
最終結果 イングランド 21-20 南アフリカ

大会統計
大会合計得点: 1,473点
トライ数: 187トライ
最多得点:パトリシオ・フェルナンデス(ARG)73点
最多トライ:アンドリュー・ケラウェイ (AUS) 10トライ

イングランドと南アフリカは、イーデンパークで激しい戦いを繰り広げました。南アフリカはジェシー・クリエルが2トライを決めましたが、イングランドのディフェンスは堅く、優れたプレーを見せていたハンドレ・ポラードのドロップゴールの試みにも耐え抜き、21-20で勝利してタイトルを守りました。

開催国のニュージーランドは、南アフリカに2度敗れていましたが、3位決定戦で後半に4トライを奪い、アイルランドを破って3位入賞を果たしました。

5位決定戦となった一戦では、ウィンが-のアンドリュー・ケラウェイがチャンピオンシップ史上最高トライ数を記録し(大会中10トライを決めた)、オーストラリアが34-27でフランスを下して5位に終わりました。

一方、フィジーは11位決定戦プレーオフでイタリアに22-17で敗れ、2015年のU20トロフィーに降格しました。

U20チャンピオンシップ2015

開催地:イタリア
優勝:ニュージーランド
準優勝 :イングランド
決勝戦の結果: ニュージーランド 21-16 イングランド

大会統計
大会合計得点: 1,432点
トライ数: 180トライ
最多得点:ブランドン・トムソン(RSA)59点
最多トライ: テビタ・リ(NZL)6トライ

ニュージーランドは、最後に優勝を飾った2011年大会の開催地イタリアに再び上陸。イングランドに21-16で勝利し待望の5度目の優勝を果たしました。クレモナで行われたこの決勝戦の後半で、アキラ・イオアネが後半で活躍し、勝利を収めました。

南アフリカはフランスを破って3位となり、U20チャンピオンシップに復帰したスコットランドと日本は、それぞれ8位と10位という最高位を記録しました。

イタリアは、降格決定戦でサモアに20-19で勝利し、チャンピオンシップ参加国の座を守りました。

U20チャンピオンシップ2016

 開催地: イングランド
優勝 :イングランド
準優勝:アイルランド
決勝戦の結果:イングランド 45-21 アイルランド

大会統計
大会合計得点:1,572 点
トライ数:208トライ
最多得点:ハリー・マリンダー(ENG)68点
最多トライ:アタアタ・モエアキオラ(JPN)6トライ

イギリスのマンチェスターで開催されたこの大会は、予想を覆すハプニングの連続でしたが、イングランドが開催国としてトロフィーを手にした2番目の国となりました。

アイルランドは、男子アイルランド代表として史上初めてニュージーランドを破り、プールAを首位で通過し、初の決勝トーナメント進出を決めました。しかし、キャプテンのハリー・マリンダーが絶好調だったイングランドに歯が立たず敗退。

もう一つの番狂わせはアルゼンチンで、南アフリカを2度にわたり破り、最終日の三位決定戦では49-19という大差をつけて勝利しました。結果、アルゼンチンはこれまでで最高の3位につけました。

U20チャンピオンシップのデビューを飾ったジョージアは、途中ウェールズとフランスを苦しめたものの、10位にとどまりました。

一方、イタリアは、降格プレーオフで41-17で勝利し、日本をU20トロフィーに追いやりました。

U20チャンピオンシップ2017

開催地:ジョージア
優勝:ニュージーランド
準優勝: イングランド
決勝戦の結果: ニュージーランド 64-17 イングランド

大会統計
大会合計得点 1,789点
トライ数:239トライ
最多得点: ティアン・ファルコン(NZL)69点
最多トライ: ジュアルノ・オーガスタス(RSA)  7トライ

ニュージーランドは、U20チャンピオンシップのディフェンディングチャンピオン、イングランドに64-17で勝利し、6度目の優勝を飾り、大会記録を塗り替えました。

大会の決勝戦における最大点差を記録したほか、ジュニア・オールブラックスは最多トライと最多得点を記録しました。

ジョージアでのこの大会では、初日にフランスと南アフリカが大会史上初の引き分けに終わり、スコットランド(5位)とイタリア(8位)がともに史上最高の成績を収めるなど、サプライズが盛沢山の大会となりました。

アルゼンチンも、ハイスコア戦となったの降格決定戦でサモアを53-42で下しています。

U20チャンピオンシップ2018

開催地: フランス
優勝: フランス
準優勝: イングランド
決勝戦の結果 フランス 33-25 イングランド

大会統計
大会合計得点 1,628点
トライ数:220トライ
最多得点:ルイ・カルボネル(フランス)60点
最多トライ:ジョバンニ・ドノフリオ(イタリア)、ワンディシレ・シメラネ(南アフリカ)  6トライ

満席となったベジエのスタッド・ド・ラ・メディテラネでの決勝戦では、シックスネーションズでの屈辱を晴らしてイングランドを破ったフランスが、U20チャンピオンシップのトロフィーに名前を刻む4番目の国となりました。

決勝戦は、イングランドがフランスを3トライ対2トライでリードしていましたが、ルイ・カルボネルが7本のペナルティと1本のコンバージョンで23点を挙げ、33-25でフランス「レ・ブルエ」が優勝を果たしました。ホームで応援していた熱烈なサポーターたちが歓喜しました。

準決勝の一戦目では、イングランドが南アフリカに1点差で勝利し、もう2戦目ではフランスがディフェンディングチャンピオンのニュージーランドを破りました。タイトル決定戦でもフランスの「黄金世代」と呼ばれるチームを止めることはできませんでした。

フランス大会では、イタリアが過去最高の8位入賞を果たし、ジョージアもアイルランド、日本、スコットランドを破って9位となるなど、成長を見せました。

日本との降格プレーオフに臨んだアイルランドは、2019年のU20トロフィーへの降格を回避するために最後の力を振り絞りトライを決め、39-33で勝利しました。

U20チャンピオンシップ2019

開催地: アルゼンチン
優勝:フランス
準優勝: オーストラリア
決勝戦の結果 フランス 24-23 オーストラリア

大会統計
大会合計得点: 1,644点
トライ数: 189トライ
最多得点:ジョシュ・ホッジ(ENG)63点
最多トライ: ユアン・アシュマン(SCO) 7トライ

フランスは、大会史上最も見応えのある決勝戦でオーストラリアを24-23で下し、またしても優勝を飾りました。

フランスは、2010年の決勝でニュージーランドに62-17で屈した同じアルゼンチンで、オーストラリアの初タイトルを阻み、ニュージーランド(2008-11)、イングランド(2013-14)とともに、悲願の防衛に成功しました。

オセアニアU20チャンピオンになったばかりのオーストラリアも有力チームだったことから決勝戦は決して一方的な試合になるはずはなく、1点差で決着した2度目の決勝戦(一度目は、イーデンパークでイングランドが南アフリカを21-20で破った2014年大会の決勝戦)となりました。この決勝戦は今後も長く記憶に残ることになるでしょう。

フランスとオーストラリアは、80分間に渡る接戦を繰り広げ、ファンをハラハラさせっぱなしのラグビーを展開しました。

ロサリオの競馬場スタジアムで行われたこの試合では、フランスのフライハーフ、ルイ・カルボネルが残り15分で決勝点となるペナルティを蹴るまで、実に7回もリードが入れ替わりました。

一方、イングランドは過去の栄光はこの2019年大会では再現されず、ニュージーランドも南アフリカとウェールズに敗れ史上最低の7位で終わりました。

また、フランスに完勝してプールAを首位通過したアルゼンチンも、準決勝でオーストラリアに敗れ、南アフリカに銅メダルを奪われるなど、残念な結果に終わりました。

一方、スコットランドも、11位決定戦でフィジーに59-34で敗れ、初めてU20トロフィーに降格しました。