「次のワールドカップでベスト8に入るために、次につながるようなラグビーをしよう」とチームに話して入ったという今大会最終戦で、日本は前後半開始早々にFB清水麻有選手がトライを決め、後半も要所でLO櫻井綾乃選手が2トライを挙げて、日本は8トライで香港を圧倒しました。

 試合開始直後2分の清水選手の先制は、敵陣22メートルライン付近から右へ展開して得たトライ。その10分後には自陣スクラムから左サイドへ展開して、最後はWTB堤ほの花選手が約50メートルを独走して5点を追加し、前半終了4分前には、再び堤選手の突破から攻撃を重ねて右へ振り、最後はWTB加藤あかり選手がラインを超えて前半を15‐0で折り返しました。

 後半開始3分の清水選手のトライ後、日本は53分に香港にラインアウトからFWに押し込まれて1トライを返されますが、61分に櫻井選手がインゴールに持ち込み、試合の流れを引き戻します。その5分後には、開幕戦以来4試合ぶりの出場となったCTB冨田真紀子選手がトライを決め、清水選手のコンバージョンも決まって32-5とリードを広げました。

 サクラフィフティーンはその後も主導権をキープして、最後の10分は圧倒的に攻め込み、79分には再び櫻井選手が5点を追加。試合終了間際には、FL鈴木彩夏選手がステップを踏んで相手を振り切ってトライをマーク。最後は途中出場のFB田坂藍選手がコンバージョンを決めて、試合を締めくくりました。

WRWCでの収穫

 女子日本代表のワールドカップでの勝利は、第2回1994年大会でのスウェーデン戦、大4回2002年大会でのオランダ戦に続いて、今回で3勝目です。

 女子日本代表の有水剛志ヘッドコーチは、「前半は相手に合わせてしまうところがあったが、ハーフタイムにそこを修正して、後半はサクラフィフティーンのゲームができた。ゲームの中で勝負のポイントを自分たちのものにできるかどうかだが、後半はそれができた」と話しました。

日本は今大会で目標としていたベスト8には届かなかったものの、齊藤選手は「タイトなスケジュールの中で戦って、選手たちで話し合い、修正しながらチームを作ってきた」と振り返り、「コーチ陣に言われる前に選手だけで修正できたことは、成長であり収穫でもある」と言います。

 プール戦でのアイルランドやオーストラリア戦、順位決定戦初戦のイタリアとの対戦などでトライチャンスを逃して勝利につなげられなかった点に触れて、齊藤主将は「今日はチャンスで必ずトライを獲ることに集中し、それができたので、最後に一つレベルアップしたと思う」と話しました。

 さらに、25歳の主将は「ワールドカップという大きな舞台では、チャンスにトライを獲れるかどうかが勝敗のターニングポイントだと分かった。今回の経験を次のワールドカップに活かしてほしい」と語りました。

 有水ヘッドコーチは、「相手の流れや自分たちの流れと、80分間様々な場面がある。そういう時に駆け引きがしっかりできて、ゲームコントロールすることが重要。今回のワールドカップではそれを経験することができたので、今後も継続してできるようにしたい」と話し、「チームとして次のワールドカップにつなげていきたいと思う」と今後を見据えていました。