20歳以下の世界王者を決める大会の決勝進出チームが決まった。前回王者のフランスと2016年大会準優勝で今年のU20シックスネーションズ優勝のアイルランドの顔合わせで、大会史上4度目の欧州チーム同士の対決になった。フランスはイングランドに52-31で、アイルランドは開催国の南アフリカに31-12で勝利して、世界王座へあと一勝とした。

 前々回2018年と前回2019年を連覇しているフランスは試合の立ち上がりで苦戦。3度の大会優勝経験のあるイングランドに試合開始15分でFB Sam HarrisとWTB Alex Wills のトライとSO Louie Johnsonの2コンバージョンと1PGを許して0-17のビハインドとなった。

そこからフランスは前半17分にFB Mathis Ferteのトライで反撃。25分にもCTB Paul Costesがチーム2本目のトライを決めて、SO Hugo Reusの正確なキックで14-17と点差を詰めた。

 前半終了目前にNO8 Chandler Cunningham-Southにトライを決められて、再び14-24と10点を追う形でハーフタイムを迎える。

 ところがイングランドは後半開始7分で途中出場のFinn Carnduffがゴール前での攻防で反則を犯して10分間のシンビンになり、フランスにはペナルティトライが与えられて21-24と3点差になり、ここで試合の流れが変わる。

数的優位を得たフランスは後半14分にFL Lenni Nouchiがピック&ゴーで得点して逆転に成功する。Nouchiはその後も幾度となく相手守備網を突破して攻撃の起点となり、後半17分にはNO8 Marko Gazzottiがトライ。さらに、後半25分にはFL Oscar Jegouがインゴールで押さえて5点を加え、Reusも35分に自らラインを超えてトライをマーク。キックもすべて成功させてイングランドを突き放した。

イングランドは後半終盤にWTB Cassius CleavesのトライとFB Sam Harrisのコンバージョンで7点を返したが、フランスは最後にReusがPGを決めて勝利を締めくくった。

 両チーム合わせて83得点は準決勝としては大会史上最多得点試合で、2017年にフランスがニュージーランドに敗れた2017年準決勝の総得点65を軽く超える記録となった。

 フランスのNouchi主将は、「イングランドには苦しめられたが、ワールドカップで決勝に進むことができて、とてもうれしい。後半のようなプレーを前半からやりたかったが、前半はイングランドがプレッシャーをかけてきていた。でもハーフタイムにロッカーに戻った時もみんな落ち着いていたので、後半やれると思っていた」と振り返った。

 アイルランドとの決勝へ向けては、「アイルランドは唯一、今年僕らが勝てていない相手なので、しっかりリカバリーして準備をして、勝ちたい」と話した。

 

アイルランドは南アフリカに勝利

 U20シックスネーションズでグランドスラムを達成したアイルランドは、開催国で2012年大会以来の優勝を目指す南アフリカと対戦。WTB James Nicholsonが2本のトライを決め、Brian GleesonとSam Bermanもそれぞれ5点ずつ加え、Sam Prendergastがすべてのコンバージョンを成功させ、PGも決めて勝利につなげた。

 アイルランドは地元ファンの応援を受けた南アフリカの攻勢に押し込まれる展開で、前半は苦しい時間帯が続いたが相手に得点はさせず、試合は0-0のまま推移した。

しかし、FL Ghudian van Reenenの負傷交代で途中出場していたJannes Potgieterが前半36分に危険なプレーでイエローカードを受けると、その1分後、ペナルティで得たチャンスにPrendergastがサイドを変えるキックパスをNicholsonに通して、アイルランドが先制して前半を7-0で折り返した。

 後半早々に南アフリカがImad Khanのトライとコンバージョンで追いつくが、アイルランドは後半10分にGleesonがラインアウトから押し込んで得点。さらに、後半20分にはペナルティを得ると、再びPrendergastからNicholsonへのホットラインが機能。アイルランド司令塔が正確なキックでスペースに走るNicholsonへパスを送り、2本目のトライでリードを広げた。連携も流れも良くなったアイルランドは、後半26分にもBermanのブレークからチーム4本目のトライをマーク。最後はPrendergastがPGを成功させた。

 南アフリカは試合終了目前にCoetzee le Rouxがトライを決めたがそこまでだった。

 アイルランドのGas McCarthyキャプテンは「ハーフタイムにロッカーに戻ってきて、前半は取り乱していて、やりたいプレーをやれていない。後半はもっと自分たちのプレーにフォーカスして、ゲームプランを遂行しようと話をして、それがうまくいった。すべてのことが思うようにいったわけではないし、決勝へ向けて修正すべき点もあるけれど、僕らは互いに粘り強く戦った。チームのみんなを誇らしく思う」と話した。

 

日本はアルゼンチンに黒星

 このほかの順位決定戦準決勝では、オーストラリアが6度の優勝を誇るニュージーランドに44-25で勝利し、ウェールズはジョージアとの激しい競り合いを40-21で制した。また、フィジーはイタリアに41-26で勝利したが、日本はアルゼンチンに20-45で敗れた。

 大会最下位チームはU20トロフィーへの降格となるが、9位決定準決勝で勝てば最終戦を前にU20チャンピオンシップ残留を確保できる。両者激しい戦いとなった日本とアルゼンチン戦は、日本が先制。粘り強くパスをつないでフェーズを重ねて相手22メートル内に侵入し、スクラムでの再開から出場停止から戻ったCTB大町佳生が抜け出してトライを決め、SO猶本幹志朗のコンバージョンも決まってリードを奪った。

 しかし、リードは長く続かず、前半8分にラインアウトで相手にスチールを許してFB Felipe Malliaのトライにつなげられ、15分にもラインアウトからモールで押され、最後はピック&ゴーでLO Efrain Eliasに押さえられて10-7と逆転された。

 日本はラインアウトからのモール攻撃や、パスをつないで攻め込む場面も作ったが、ハンドリングエラーで詰め切れない。

 アルゼンチンは勢いを得てパワーとスピードも加速。モールのブラインドサイドを突くなど、抜け目ない攻めで前半終盤に2トライを加えて前半だけで4トライをマークして、24-7で折り返した。

 日本は後半、テンポのよいパスワークで相手ゴールに迫り、開始早々に再び大町がインゴールに飛び込んで得点したが、TMOによりフォワードパスが確認されてノートライに。しかし、後半7分にカウンター攻撃からWTB武藤航生が抜け出して大きくゲイン。フォローに入った選手がパスをつなぎ、最後はWTB御池蓮二が右隅にトライ。楢本のコンバージョンも成功して14-24と点差を詰めた。

 さらに後半10分には楢本がPGを決めて3点を加え、その3分後にはアルゼンチンのSO Valentino Dicapuaがイエローカードで10分間のシンビンになると、日本は再び楢本がこのペナルティで得たPGを決めて後半14分に20-24と追い上げた。

 しかし、そこからギアを上げた相手にタックルが決まらなくなり、アルゼンチンは14人ながら日本の守備の綻びをついて得点を重ねた。後半17分にラインアウトからモールで押し込み、Aitor Bildosolaが得点。その4分後にはNO8 Eliseo Chiavassaが5点を加え、Malliaが2本ともコンバージョンを成功させて38-20とリードを広げた。アルゼンチンは試合終盤にもFaustino Sanchez Valaroloが決めて、Dicapuaがこの試合3本目のコンバージョンを成功させて試合を終えた。

 アルゼンチンのChiavassaキャプテンは、「この勝利はとても大きい。前の試合で負けて、この試合へ改善を図ってきた。その成果が出たと思う。日本はとてもいいチームで、両ウィングやバックスがいいプレーをする。でも僕らはモールが強みで、そこがアドバンテージになったと思う」と振り返った。

アルゼンチンはこの勝利で大会残留が決定。フィジーもイタリア戦勝利で来年の大会への出場が決定。日本の残留決定は最終戦に持ち越された。

 日本の大町キャプテンは、「大事な試合ととらえていたので、負けてしまってすごく悔しい」と述べて、「自分たちがやってきていることは間違っていないと思う。もっと精度を高めて次のイタリア戦に臨みたい」と話した。

このほかの最終日の順位決定戦の組み合わせは、南アフリカとイングランドは3位決定戦、ウェールズとオーストラリアは5位決定戦、ジョージアとニュージーランドは7位決定戦、フィジーとアルゼンチンが9位決定戦で対戦する。