5期目を迎えたNTTジャパンラグビーリーグワンは6月7日、東京のMUFGスタジアムで50451人の観客を集めて決勝が行われ、コベルコ神戸スティーラーズがクボタスピアーズ船橋・東京ベイを22-13で下して、リーグワン初優勝を飾った。通算では前身であるジャパンラグビートップリーグ初年度の2003年、2018年以来3度目だ。
HCのデーブ・レニー氏は就任3期目。オールブラックスのHCに就任するため、今季で退任が決まっており、ブロディ・レタリック主将とのコンビで、有終の美を飾った。今季の主力として活躍したFLアーディ・サベア、CTBアントン・レイナートブラウンも退団。オールブラックス入りを目指す。
レタリック主将はリーグワン最多の17トライを記録、翌日の表彰式でもシーズンMVPにも選出されるなど、35歳にしていまだ世界最高LOの能力を見せつけた。
決勝戦後の会見で興味深いやりとりがあった。記者に「レタリックを代表に選ぶ気はないか」と聞かれたレニーHCは即座に「連れて帰りたい」。だが本人はオールブラックへの復帰を問われると、こう答えた。
「国を代表して戦うのは名誉なことですが、私はNZのルールを理解し、納得の上で日本でプレーすることを決めました。もちろん代表としてプレーしたい気持ちはありますが、それは今のルールが変わってからのこと」。シーズンを通して彼のプレーを見た人なら、誰もが黒いジャージーを着る資格があると思うだろう。
サベアは「これから6週間は休みをとって家族と共に過ごします。その後、もし代表キャンプに呼ばれたら力を尽くしたい」と語った。
神戸Sの前回の優勝時はウェイン・スミスがHC、HB団はアンドリュー・エリスとダン・カーター。異国の文化の香り豊かな神戸の街にはNZのアタッキングラグビーが馴染みやすいようだ。
準優勝に終わったS東京ベイ。リーグ戦で3位となり、神戸Sより1試合多い3週連続のゲームだったが、FWが献身的なプレーを見せ、ファイナルはレベルの高い白熱した試合となった。3季前に戴冠した際の主力HOマルコム・マークスが準決勝で肩を負傷。メンバーから外れたことも影響した。代わって存在感を増したのは、加入2年目のFBショーン・スティーブンソンだ。昨季はチーフスとの契約もあり、リーグワンでのプレーは限定的だったが、今季はフルシーズンプレー。「ファイナルトーナメントに行くためにプレーしてきた」と公言している通りの活躍。決勝でS東京ベイが奪った唯一のトライはスティーブンソンの50/22から生まれたものだ。
過去にオールブラックスとして1キャップを獲得、現在はサモア代表入りの資格も有する。S東京ベイで来季もプレーするが、本人はサモア代表入りを希望しており、来年のW杯でブルーのジャージーを着る可能性は十分ありそうだ。
4位の東京サントリーサンゴリアスで3シーズン所属した南ア代表WTBチェスリン・コルビは、当初は来季も日本でのプレーが報道されていたが、準決勝敗退後、南ア・ストーマーズへの加入が発表された。
昨季まで2連覇のブレイブルーパス東京は、シーズン中盤で7連敗を喫し、6位に終わった。SOリッチー・モウンガが加入した年に王者となったが、今季は戦力的に苦しんだ。日本代表の主力HO原田衛がモアナ・パシフィカ、来年のW杯でも主将として日本代表を率いることが有力視されているLOワーナー・ディアンズがハリケーンズへ移籍。モウンガとともに連覇に大きな役割を果たしたNZ代表FLシャノン・フリゼルもケガで2試合の出場にとどまった。フリゼルとモウンガも今季で退団。オールブラックス争いに加わることを明言している。
横浜キヤノンイーグルスのアイコンとして、観客増に多大の貢献をしたSHファフ・デクラークも、22-23シーズンからの日本でのプレーを終え、南ア・チーターズへ移籍する。代表のチームメートであるCTBジェシー・クリエルは今季、チームの主将を務めたが、来季も横浜Eでのプレーが決まっている。
近年の傾向として、カテゴリーCのビッグネームがキャプテンを務めるチームが増えてきた。神戸Sのレタリック、東京SGはサム・ケイン、BR東京はTJペレナラ、静岡BRはクワッガ・スミスがチームを率いている。
今季9位と過去最高成績を収めた三重ホンダヒートはアルゼンチン代表FLパブロ・マテーラが昨季まで主将を務め、今季はフィジー代表HOテビタ・イカ二ヴェレも加入、活躍した。彼がリーグワンで挙げた10トライはコルビと同じ。恐らくこの2人も来年のW杯で姿が見られるはずだ。
下位のディビジョン2にも各国代表選手がプレーする。オーストラリア代表SOノア・ロレシオは今季優勝した豊田自動織機シャトルズで活躍。昇格はならなかったが、来季もプレーする。3位に終わった花園近鉄ライナーズには南アからSOマニー・リボックが加入。元オーストラリア代表HB団、ウィル・ゲニア、クウエィド・クーパーというコーチの下でプレーした。
W杯を来年に控え、ハリケーンズのディアンズ、フランストップ14のトゥール―ズでプレーしていたSH齊藤直人ら日本代表も国内にプレーの場を移す。新しく加わるビッグネームも加わり、ジャパンラグビーリーグワンの注目度はますます高まっている。