9月末にパルマで行った大会前哨戦でイタリアに25-24と競り勝っていた日本だったが、「タフな試合になる」というレスリー・マッケンジー女子日本代表ヘッドコーチの戦前の見立て通り、雪辱を期したイタリアがバックスを活かした攻撃で優勢に試合を進めた。

イタリアは試合開始4分、モールを起点にWTBアウラ・ムッツォが抜け出してパスを受けたCTBベアトリーチェ・リゴー選手がトライ。CTBミッケラ・スィッラーリのコンバージョンも成功して7-0のリードを奪って、早々にリードを奪った。

守備で粘りを見せていた日本は、前半15分にイタリアのスィッラーリがハイタックルでイエローカードを受けて数的優位になると好機を得る。21分、相手のラインアウトでボールを奪い、パスをつないで展開すると、FB西村蒼空がキックでインゴールにボールを送る。これをWTB松村美咲が押さえてトライを決め、2点差に詰めた。

しかし、イタリアは15人に戻ると、先制点と同様にモールを起点に攻撃。リゴーが抜け出し、パスを受けたムッツォが5点を決め、スィッラーリのコンバージョンも成功して、14-5と点差を広げてハーフタイムに入った。

後半も序盤からイタリアが勢いを持って攻め込み、開始6分でムッツォがトライ。その6分後にもFBフランチェスカ・グランゾートが5点を加えた。スイッラーリのコンバージョンも成功して着実に得点を重ね、28-5と大きくリードを奪った。

日本は後半15分、速攻から連続攻撃を展開し、ゴール前に攻め込んでパスをつなぎ、LOンドカ ジェニファが右アウトサイドで飛び込んで5点を返した。だがその後、追加点を取れず、試合終了間際にパスをつないで、松村が自身2本目のトライを決めたがタイムアップ。この試合で3本あったコンバージョンは成功させることができず、イタリアの勢いを止めることはできなかった。

女子日本代表の長田いろはキャプテンは、「残念な結果になってしまった。アタックで自分たちのボールをしっかりキープできずに、相手にプレッシャーをかけられてうまくいかないときがあった」と振り返り、「前回の対戦からこの2週間で修正してうまくいったところもあった。精度や、しっかり得点を獲り切るところに練習でもう一度フォーカスして、やっていきたい」と話した。

マッケンジー女子日本代表ヘッドコーチは、「いくつかチャンスがあったのにそれをモノにできなかった。試合序盤ではこちらが一歩前に出ていたのに、いくつかあったチャンスをものにできなかった。キャップ数も多く経験のある相手にやられてしまった。イタリアはフィジカルの優位性があり、攻撃でそれを使って来た」と述べた。

 「若手のボール扱いで良い面も見られたし、後半ベンチから出場した選手たちがエネルギーを持ってプレーして、インパクトを残してくれた。もう少し前半から精度を持って試合をできるようにしたい」と語り、次を見据えた。

 

スコットランドが南アに勝利

この日のもう一試合ではスコットランドが開催国の南アフリカに31-7で勝利。翌14日の対戦ではアメリカがサモアに36-26で勝利を収め、勝利した3チームはいずれもボーナスポイントを得て勝点5を獲得した。

南アフリカは前半9分にLibbie Janse van RensburgがPGで先制。前半24分にスコットランドのEvie Gallagherにトライを許したが、その4分後にAseze HeleのトライとJanse van Rensburgのコンバージョン成功で再び10-5とリードを奪った。

しかしそこからスコットランドが地力を発揮。Lana Skeldonの2連続トライで突き放すと、56分にもLeah Bartlettが5点を加えて22-10と一気にリードを広げた。スコットランドも64分にRoseline Botesがトライで折り返したが、追いつくには至らず、スコットランドは試合終了間際にLisa Thomsonが5点を加えて31-17で終了した。

一方、アメリカは6トライを奪う攻撃でサモアに勝利。試合開始7分でサモアがLinda Fiafiaのトライで先制したが、Lotte Clappのトライで追いつき、16分にサモアのLulu Leutaがイエローカードでシンビンとなると、アメリカはAtumata HinganoのトライとGabrella Cantornaのコンバージョンで前半半ばに逆転した。

サモアはKaria Wright-Akeliの32分のトライとCassie Siatagaのコンバージョンで再び先行したが、前半終了間際にアメリカはHallie Taufoouに5点を決めて17-14とすると、後半開始早々に攻撃を畳みかけ、Kate ZackaryとRachel Johnsonなどで36-14とリードを広げた。サモアも試合終盤に2トライを奪って追い上げたが届かず、アメリカが初戦をモノにした。

この結果、首位はスコットランド。以下、アメリカ、イタリアと続き、敗れたものの4トライで勝点1を得たサモアは4位、日本は5位発進で、南アフリカが6位となった。

クロスプール方式で競うWXV2は初日を終えて、スコットランドがトップに立ち、以下、イタリア、14日に試合のあるサモア、アメリカと続き、日本は5位、南アフリカは6位スタートとなった。

プールAの日本はプールBの3チームと競う。次戦は20日にアメリカとスコットランド、イタリアと南アフリカが対戦。日本は21日の第2戦でサモアと戦い、27日の第3戦でスコットランドと対戦する。

 

アイルランドが圧勝でWXV3首位発進

 一方、13日にドバイで開幕したWXV3ではフィジーがコロンビアに67-13、アイルランドがカザフスタンに109-0で、翌14日にスペインがケニアに32-0で圧勝した。

この結果、開幕節を終えてWXV3ではアイルランドが首位に立ち、以下、フィジー、スペイン、ケニア、コロンビア、カザフスタンという順位になった。

なお、ニュージーランドで開催されるWXV1は10月20日にイングランドとオーストラリアの試合で開幕。21日にカナダとウェールズ、ニュージーランドとフランスが対戦する。