11月の2024年パリ・オリンピック予選を控えて、アジア競技大会の優勝で弾みをつけたいと意気込んでいた日本の女子セブンズ代表と男子セブンズ代表だったが、どちらも金メダルには届かなかった。

 9月24日に始まったセブンズ競技でサクラセブンズ女子日本代表は、シンガポール代表に57-0、第2戦でインド代表に45-0と大勝で好スタートを切った。翌25日の第3戦でもホンコンチャイナに22-5で勝利して3戦全勝でプールFを1位で勝ち抜き、準決勝へ進出。準決勝では、3チーム編成のプールEを1勝1敗で突破したタイ代表に26-0の完封勝利を収め、決勝へ駒を進めていた。

 26日の女子決勝の相手は中国。カザフスタン33-7、タイ47-7と2連勝で4強に進出し、準決勝でもホンコンチャイナに33-0と圧勝した中国は、快勝の勢いと地元ファンの応援を得て試合開始から日本を圧倒。開始早々にGu Yaoyaoのトライで先制すると、Wu Juanが2本のトライを決めて前半を22-0で折り返した。

 8月のアジアラグビーセブンズシリーズ韓国大会決勝では14-12で中国に勝利していた日本は、後半に入って反撃。三枝千晃が5点を返し、平野優芽が2トライを加え、須田倫代がすべてのコンバージョンを成功させた。後半半ばに中国のWang Wanyuがレッドカードを受けたことで数的優位も手伝って21-22と追い上げたが、あと一歩及ばなかった。

 なお、女子の銅メダルは3位決定戦でタイに7-5と競り勝ったホンコンチャイナが獲得した。

 最多得点は4試合に出場して44得点(6トライ、7コンバージョン)を挙げた中国のChen Keyl。2位はホンコンチャイナのChong Ka Yanで5試合に出場して今大会最多のトライ7本で35得点。3位は日本の須田で、5試合に出場してトライ2本とコンバージョン今大会最多の10本を決めて30得点だった。

 女子セブンズ日本代表の三枝選手は、「決勝では相手の勢いに押され、精度の低いプレーをして修正できず、圧倒されてしまった」と振り返り、サクラセブンズでベテラン選手の中村知春も、「中国は組織としての戦略が非常に明確で、波を一気に持っていかれた」と敗戦を認めた。

女子セブンズ日本チームは、10月14-15日にバンコクでアジアラグビーセブンズシリーズのタイ大会を戦い、11月18-19日に大阪で行われるオリンピック予選に臨む。

中村は、「強いライバルがアジアにいることに感謝して、次は我々が挑戦者として危機感を持ち直して、残りの期間で組織力を高めて次戦真っ向勝負をしにいきたい」と意気込みを新たにしていた。

 

男子日本チームは銅メダル

 男子セブンズ日本代表は24日の初戦でタイに65-0、シンガポールに41-7と連勝。25日の準々決勝でUAEを28-14で下して4強に進出したが、26日の準決勝でホンコンチャイナに延長で7-12と競り負けて決勝進出を逃して3位決定戦へ進んだ。

そこでホスト国の中国と対戦し、吉澤太一のトライで先制したが、前半半ばにWang ShuoshuoとZheng Zhiyuanの連続トライで7-14と逆転された。

日本は後半開始早々に丸尾崇真がトライ。加納遼大のコンバージョンも決まって同点に追いついたが、後半終盤にMa Chongに突破を許して再びリードを奪われた。しかし、粘る日本は試合終了直前の最後のプレーで谷中樹平がトライを奪って19-19に。野口宜裕がコンバージョンを成功させて21-19で競り勝ち、銅メダルを獲得した。

男子セブンズ日本代表のサイモン・エイモーヘッドコーチは、準決勝の延長戦でホンコンチャイナに敗れて臨んだ3位決定戦について、「攻撃面で十分に遂行できず、決定機で思い通りにできなかったが、ホームの応援を受けた強豪の中国を相手に最後のプレーで銅メダルを獲得できたのは、精神力の強さを示している」と評価した。

指揮官は「優勝という目標は達成できなかったが、この素晴らしい大会から学んだことを活かして、アジアシリーズとオリンピックアジア予選に向けて、さらにレベルアップしていきたい」と語った。

「悔しい結果になった」という男子セブンズ日本代表キャプテンの林大成は、「これまで時間をかけてやってきたディフェンスは機能していたが、緊迫した状況でのプレーや判断の部分など、チームとして大切な学びがあった」と振り返り、「ここで負けて良かったと言えるよう、これからの道を歩んでいく」と前を向いた。

 今後は男子日本チームも女子チーム同様に、10月14-15日にバンコクで行われるアジアラグビーセブンズシリーズのタイ大会へ出場し、11月18-19日の大阪でのオリンピック予選に備える。

 

男子ホンコンチャイナ、韓国に競り勝って金

 なお、今回男子競技でアジアのトップに立ったのはホンコンチャイナ。決勝で韓国に14-7で勝利して金メダルを獲得した。

 ホンコンチャイナはLee Ka To Cadoが前半終了間際にトライを決めてRussell Elliot Webbがコンバージョンを成功させて7-0で前半を折り返すと、後半開始早々にWebbがトライ&コンバージョンを決めて14-0とリードを広げた。

 韓国はChang Yong-heungのトライとKim Eui-taeのコンバージョンで7点差として追い上げ、ホンコンチャイナは後半半ばにWebbがイエローカードでシンビンとなるが、最後まで韓国に追加点は許さず、優勝を勝ち取った。

 男子の最多得点は6試合で59得点を挙げた中国のShan Changshunで、今大会最多タイのトライ7本とオンバージョン12本を決めた。2位はマレーシアのBin Mat Ziziで5試合に出場して44得点(6トライ、7コンバージョン)を挙げ、3位は5試合で38得点(6トライ、4コンバージョン)の日本の谷中だった。トライ数でShanに並んだのはUAEのNiko Volavolaで、総得点ランクで4位に入った。