24日の初戦でフランスに大敗した日本だったが、第2戦ではアグレッシブな攻撃を展開し、後半半ばまでリードを奪い、初勝利の可能性を示した。

ウェールズに10-0と先行されたが、前半21分に相手LO Evan Hillが危険なタックルでシンビンとなると、日本は数的優位を活かして攻撃。22分と33分にHO長島幸汰が連続してトライを決めて逆転。さらに、37分にはSO楢本幹志朗のキックパスにFB武藤航生がインゴールに飛び込んで19-10とリードを広げた。

前半終了間際にウェールズに1トライを返されたが、後半半ばまで19-15とウェールズにリードを奪う展開に持ち込んだ。

しかし、後半序盤にキャプテンのCTB大町佳生が危険なタックルでイエローカードを受け、これがTMOバンカーでレッドカードになると試合の流れが変わる。

数的不利でも粘りを見せていた日本だったが、後半25分にパスの乱れなどからウェールズに攻め込まれると、ゴール前のスクラムから途中出場のTom Florenceがトライを決めて20-19とウェールズが逆転した。

1点差の展開で日本は攻撃のチャンスもあったが、裏を狙ったキックをことごとく相手に取られて攻撃の流れを活かせず、得点に結びつけることができない。試合終盤には相手のインターセプトからショートカウンターを畳みかけられてSO Daniel Edwards、CTB Bryn Bradley、CTB Louie Hennesseyに3連続トライを決められて19-41で敗れた。

 ウェールズのMark Jones暫定監督は、「雨の影響は大きく、難しい中で両チームともポジティブなラグビーをしたと思う。後半、雨が上がってからは試合に流れができた。この勝利はとても重要で、最大の勝ち点を獲ることが目的だった。試合マネジメントは難しかったが、若い選手たちが良いプレーを見せてくれた。日本が終盤疲れてきたところをうまく突くことができた」とコメントした。

 ロブ・ペニーU20日本代表ヘッドコーチは、「雨の影響は両チームとも前半のプレーにあったと思うが、我々の選手たちの努力には嬉しく思っている。いいトライを2本決めたが、彼らの努力の賜物だ」と述べた。

 14人になってからのパフォーマンスについては、ペニー指揮官は「誇りに思う。初戦は少し及び腰で代表のジャージーにふさわしいプレーができなかったが、今日は良くやってくれた。勝てるかもしれないところまで持っていっていたので、最後の失点で勝てなかったことはフラストレーションだし、選手たちが良くやっていたので見合わない結果だと感じる。だが、それがワールドカップのラグビーだ。選手たちはここから学んで次へ備えることができるだろう。ポジティブな点は多い」と語った。

 

フランスが2連勝

 プールAのもう一方の試合では、3連覇を狙うフランスが6大会優勝経験のあるニュージーランド35-14で勝利して2連勝でプール首位を維持。2位は1勝1敗で勝ち点を7としたウェールズ、ニュージーランドは勝ち点5で3位、2連敗の日本は勝点0で4位のままとなった。

 降りしきる雨でもフランスは揺るぎないプレーを披露。強靭なFW勢を中心にボールさばきもよく、ワイドに展開するラグビーでWTB Theo Attissogbeが開始8分で先制トライを決め、その後LO Posolo Tuilagiがモールから持ち込んで自身2トライの最初の1本をマークして主導権を握った。SO Hugo Reusも、正確なキックで5本のコンバージョンをすべて決めて勝利に貢献した。

ニュージーランドは前半終了間際にSO Taha KemaraのキックパスからFL Che Clarkが飛び込んで5点を決めたかに見えたが、TMOのチェックでノートライに。その後も後半半ば過ぎまで得点を挙げることができずに35点のビハインドになる。

後半はフランスにペナルティが増えて SH Baptiste JauneauとCTB Paulo Costesが相次いでイエローカードを受け、ニュージーランドもWTB Macca Springerが10分間のシンビン処分を受けたが、ニュージーランドは後半18分にペナルティトライを獲得。さらに、後半25分にFL Peter Lakaiがトライを決めて14-28と点差を詰めた。

しかし、フランスは途中出場のBrent Liufauがトライを決めて突き放し、ニュージーランドにとってはこれまでのU20チャンピオンシップの対戦のなかで最多失点となった。

 

イタリアが南アフリカに勝利

プールCではイタリアが開催国の南アフリカに34-26で競り勝ち、ジョージアもアルゼンチンを20-0で下して、どちらも今大会初勝利を挙げた。

 雨が降り続く悪コンディションのなか、イタリアがドライビングモールを効果的に使って4トライを決めて、ボーナスポイント付きの勝利を挙げた。4トライはいずれもピック&ドライブの攻撃からだった。

 イタリアはペナルティトライに続いて、HO Nicholas Gasperiniがインゴールで押さえ、SO Simone Brisighellaのコンバージョンも成功。さらにMarcos Francesco Galloriniが2トライを決めるなど得点を重ねた。

南アフリカもCTB Damian MarkusやKat Letebeleがトライを決めるなど奮闘を見せたが、ディシプリンがまずく、前半9分にはHO Mawande Mdandaがイエローカードを受けて数的不利となり、ラインアウトの不調も響いて守勢に回る時間が長くなった。FWのパワーを活かして試合を運ぶイタリアに対して、流れを奪って勝利を引き寄せるには十分ではなかった。

 プールCのもう一つの試合では、ジョージアがアルゼンチンと対戦。開始3分でSO Petre Khutsishviliがイエローカードを受ける厳しいスタートとなったが、数的不利となった10分を14人で踏ん張ると、18分にWTB Luka Khorbaladzeがインターセプトからの突破でトライを決めた。

 アルゼンチンもハードな守備を見せてジョージアのトライ阻止を図るが、ジョージアは35分すぎにラインアウトからパワフルなモールで押し込んでトライをマーク。さらに後半最初の15分間にKhutsishuviliがPGを2本成功させて得点を重ねた。

 アルゼンチンもボールを保持しながら反撃の機会を探ったが、ジョージアは試合運びも良く、相手に得点を与えずに20-0で勝利を手にした。

 

アイルランドがオーストラリアを下す

 このほか、プールBではアイルランドがオーストラリアを30-10で下し、イングランドはフィジーに53-7で勝利を収めて今大会初勝利を挙げた。フィジーは2連敗となった。

 24日の初戦をイングランドと引き分けていたアイルランドは、初勝利を期した第2戦の序盤はオーストラリアの勢いにボールを獲得できずにいたが、WTB Andrew Osborneが相手パスをインターセプトして突破したのをきっかけに、PGの機会を得て先制した。

 しかし、アイルランドは降りしきる雨に苦戦。オーストラリアがボールを保持して優勢に試合を展開。前半半ば過ぎにCTB Henry O’DonnellのトライとSO Jack Bowenがコンバージョンを決め、さらにPG成功も加わって10-3とリードを奪った。

 だが、そこからアイルランドが反撃。WTB James NicholesonのトライとSO Sam PrendergastのPGで11-10と逆転。後半に入るとFW陣がセットピースで優位に立って試合を支配するようになり、NO8 Brian Gleeson、HO Gus McCarthyらが次々とトライを決めて後半半ば過ぎには23-10とリードを広げた。

 アイルランドは終盤、Rory Telferが危険なタックルでイエローカードを受け、TMOバンカーでレッドカードになったため一人少ないなかでの戦いとなったが、リードを手放すことなく今大会初勝利を手にした。

 一方、やはり初戦を引き分けたイングランドは上位進出に勝利を目指して、フィジーを相手に猛攻を披露。SH Nye Thomas、HO Nathan Jibulu、CTB Toby Thameら7人の選手が次々とトライを決めるなどで得点を重ねた。フィジーは前半半ばにPR Moses McGoonがトライを決めてコンバージョンも決まって7-10と点差を詰めたが、その後、CTB Maika KamikamicaとMcGoonが相次いでイエローカードを受け、数的不利になる時間が長かった。

 プール最終戦は7月4日に行われ、その後は順位決定戦に入る。