シリーズ終盤に入り、シンガポール大会最終日は僅差で競り合う試合が続出。エキサイティングな展開となった。

その頂点となった決勝で、ニュージーランドとアルゼンチンが対戦。両者の決勝での顔合わせは今季3度目。ハミルトンではアルゼンチン、ロサンゼルスではニュージーランドに軍配が上がっていたが、今回はオールブラックスセブンズが試合開始から攻勢に出て先手を取った。

ニュージーランドはキックオフ直後にDylan Collier選手が抜け出して先制。続いてMoses Leo選手がチーム2本目をマークして早々に12-0のリードを奪った。

今季4度目の決勝進出となったアルゼンチンは、ハーフタイムを挟んでJoaquin Pellandini選手とGerman Schulz選手がトライを決めて一時は10-12と2点差に迫ったが、直後にニュージーランドのBrady Rush選手が自陣22メートル付近でのラインアウトでパスを受け、そのまま走り切ってトライ。コンバージョンも成功させて19-10と突き放した。

終了間際にアルゼンチンのMarcos Moneta選手が1トライを返し、コンバージョンも成功して7点を返したが、そこまでだった。

サモアが3位決定戦へ回ることになり、今大会3位止まりとなったことで、ニュージーランドのシリーズ最終上位4位内が確定し、来年のオリンピック出場が決まった。

ニュージーランドのClark Laidlawヘッドコーチは、「パリ・オリンピック出場権獲得は我々にとってすべて。今年優先してきたことだ。それを達成できて、今季また大会を優勝できてとてもうれしい。ここからはシリーズ優勝を目指したい」と語った。

準決勝では、アルゼンチンはサモアと対戦して12-19ビハインドからファイナルプレーでTomas Elizalde選手がポスト脇にトライをねじ込み、コンバージョンも成功させて追いついてゴールデンポイントシステムでの延長に突入。自陣22メートル付近でのスクラムからパスをつなぎ、最後はMarcos Moneta選手が抜け出して決勝トライをマーク。ファイナル進出を決めていた。

一方、ニュージーランドは準決勝でフィジーと対戦。早々にペナルティトライを得てリードを奪うと、Moses Leo選手とRegan Ware選手が連続トライで加点し、前半で19-5とリード。後半、フィジーがJoseva Talacolo選手のこの試合2本目のトライで10-19と点差を詰められたが、それ以上の加点を許さず、今季2大会連続6度目の決勝進出を決めた。

ニュージーランドのシンガポール大会での優勝は2005年以来で、香港大会に続いて2大会連続での優勝で今季4度目の金メダル獲得となった。

大会3位は、サモアに24-19で競り勝ったフィジー。先週の香港での2位に続いての表彰台だ。サモアはVaa Apelu Maliko選手とTuna Tuitama選手のトライなどで前半を12-7で折り返したが、フィジーがIowane Teba 選手とJoseva Talacolo選手のトライで追いつくと、試合終盤にサモアはTuitama選手のイエローカードで数的不利に。その間にフィジーはTerio Tamani選手がこの試合2本目のトライを決めて、試合をモノにした。

5位は英国に24-21と辛勝したオーストラリアで、この結果、オーストラリアはシリーズ総合ランキングでオリンピック出場権獲得圏内へ1つ順位を上げた。

ニュージーランドは勝ち点を164に伸ばし、シリーズ総合トップをキープ。2位アルゼンチン(140)との勝ち点差は24となった。この結果、ニュージーランドは次のトゥールーズでの決勝進出でシリーズ総合優勝が決まる。

総合ランキングの3位はフィジー(130)、4位はフランス(122)で変動はないが、5位オーストラリア(112)と6位サモア(111)は1つずつ順位を上げた。だが、南アフリカ(106)が5位から7位に後退した。オリンピック出場権争いは開催国フランス(4位)を除いた5位までが対象となる。

 

日本はケニアに敗れて11位

大会2日目、日本は9位決定準々決勝でプールA4位の香港チャイナと対戦し、21-5の勝利を収めて、ケニアとの9位決定準決勝へ進んだ。

香港チャイナ戦では福士萌紀選手が抜け出して先制トライ。その後、谷中樹平選手がイエローカードを受けて数的不利になり、前半終了間際に香港チャイナに1トライを返されたが、後半に入って副島亀里ララボウラティアナラ選手から谷中選手を経由して石田選手がトライ。石田選手は試合終盤にも再び谷中選手、副島選手との絡みでパスを受け、ゴール下まで運んで2連続トライをマーク。日本が勝利した。

しかし、ケニア戦では体格差のある相手のフィジカルの強さとスピードに圧倒され、タックルに行っても振り切られるなど相手を抑えることができない。試合開始早々にGeorge Ooro Angeyo選手にギャップを突かれて抜けられて先制を許し、2分後にはAlvin Otieno選手に5点を加えられ、早々に14点リードを許した。

日本は5分にパスをつないで石田大河選手がトライを決めたが、その後もケニアの勢いを止めることはできず、前半終了直前にAngeyo選手に2本目を献上。日本は攻撃に転じたところでのハンドリングミスやペナルティの多さも手伝って、試合の流れを変えることはできず、後半にも3トライを許して7-40で敗れた。

シリーズ残留争いではコアチーム最下位は自動降格。12位から14位まではチャレンジャーシリーズ優勝者とともに残る1枠を懸けてプレーオフを戦うことになる。

日本はシンガポール大会を11位タイで終えて勝ち点5を加えて16としたが、依然としてコアチーム最下位は変わらず、自動降格圏脱出はならなかった。

シリーズ総合順位では、8強入りしたウルグアイ(勝ち点49)が11位に1つ順位を上げてプレーオフ圏から脱出。入れ替わりにスペイン(同48)が12位に後退したが、両者の勝ち点差は1。13位はケニア(同37)、14位カナダ(24)で、日本とカナダの差は8となった。

次のトゥールーズ大会は5月12-14日に開催。シリーズ最終のロンドン大会は5月20-21日に行われる。