• 5月に開催されるワールドラグビー理事会会合に提出される勧告の中心は、プレー体験の向上とプレーヤーウェルフェア
  • 独立した研究では、合法的なタックルの高さを下げることで、コミュニティーやユースのゲームでの頭部への衝撃や脳震盪の発生件数が削減できることが証明
  • フランスで行われた大規模なパイロットトライアルでは、コミュニティゲームでのプレーヤーの体験が向上し、プレーヤー人口が増加するなど、ポジティブな結果が得られている
  • コミュニティと年齢グレードのレベルにおいてタックルの高さを低くする国際的試験的ルールの採用を各協会に推奨する
  • タックルの高さに関する規則の決定は加盟協会に委ねられるが、ワールドラグビーは、胸骨の高さまで下げることを推奨。ワールドラグビーが本日発表した新たな計画はラグビーをより身近で安全、より楽しめるスポーツにすることを目指す。本計画に基づき、各国の協会も国際的試験的ルールを採用することができるようになる

ワールドラグビーの執行委員会は、各加盟協会に対しコミュニティゲームにおけるタックルの高さを胸骨の下に下げるという世界的試験的ルールの導入を推奨しました。 5月に開催される同国際連盟の理事会 で承認されれば、各国の協会は、ゲームにおけるすべての草の根レベルでの試験的ルールの導入が可能になります。教育やリソースなど包括的なロードマップを提供し、ローカルでの実施をサポートします。また協会は、この介入による影響に関する正式な調査を実施するよう奨励されます。

大規模な分析と各加盟協会との広範な協議を経てまとめられたこの勧告は、「すべての人のためのグローバルスポーツ」という同国際連盟の中核的な使命を反映し、ラグビーの世界的なエンゲージメントを引き続き強化するため、プレーヤー体験の向上を目指すものです。

より安全でより楽しいゲームをサポートする

ワールドラグビーが推奨するタックルの高さを低くするというこのパイロット試験は、2019年以降、フランス、南アフリカ、ジョージア、フィジーのコミュニティゲームにおいて実施されています。これらの試験的ルールの導入は、頭部への衝撃や脳震盪の数を減らすというプレーヤーの安全性と、ボールインフローの増加をサポートするという全体的なゲーム体験でポジティブな進歩をもたらすことが証明されています。このルール変更は、プレーヤー人口の増加にも役立っています。

新たな科学とエビデンスによってもたらされたルール変更

プレーヤーウェルフェアにおいて、ラグビーを世界で最も進歩的なスポーツにするという6項目計画に沿って、ワールドラグビーは引き続き科学と研究によって導かれています。そして、教育、制裁、競技規則の改正を通じ、損傷リスクを減らすための徹底した取り組みを続けています。タックルの高さを胸骨まで下げることで安全性を高め、同時にラグビーのユニークな特徴を維持できることが実証されています。

独立機関による厳密な研究では、脳震盪の74パーセントは、タックルが原因であることが分かっています。 タックルの高さを低くすることは、両方のプレーヤーを保護することになります。 ボールキャリアは、ケガにつながる頭部への接触を大幅に減らすことができるため直接的な保護となる一方、タックラーの頭部も、安全区域として知られているボールキャリアの胴体や上半身に近づくため保護されます。 タックルの高さを低くすることは、タックラーとボールキャリア両方にとってベネフィットがあります。

ワールドラグビーは、最新鋭のスマートマウスガード技術を用いた研究など説得力のある証拠を踏まえて、タックルの高さを低くするという国際的試験的ルールの採用を選択するよう推奨しています。すでにいくつかの協会がこれを支持する意向を表明しています。

ゲームオン・グローバルを通じて、各国協会での施行をサポート

理事会で承認されれば、包括的な教育ツールなどを盛り込んだタックルの高さに関するガイダンスは、既存のゲームオン・グローバルプログラムに組み込まれ、コミュニティゲームに合わせて改訂したコンタクトの規則のバリエーションを各協会に提供します。また、拡大するノンコンタクトゲームを補完するものでもあります。ワールドラグビーは、この「みんなのラグビー」パッケージが、ラグビーの今後の成長と繁栄、そして持続的な魅力に不可欠であると確信しています。

「すべての人のためのラグビー」~ 5月のワールドラグビー理事会に向けたタックルの高さに関する行動計画を発表

  • ワールドラグビーは、ロータックルやダブルタックル、またトライライン付近でのタックルなど、タックルの主要要素に関するガイダンスについて引き続き各加盟協会と協議
  • このガイダンスは、ワールドラグビーのコミュニティゲーム用に改定した競技規則バリエーション「ゲームオン・グローバル」や、タックルのベストプラクティス「タックル・レディ」に組み込んで提供
  • 各協会が、プレーヤーやコーチ、マッチオフィシャル、そしてマッチオフィシャルを対象にタックル技術の教育を実施することを条件に、このガイダンスの実施を承認する。
  • ワールドラグビーは、ノンコンタクトゲーム、そして他のバリエーションのコンタクトゲームを推進
  • ワールドラグビーは、ゲームを愛するすべての人からのフィードバックを求め、意見を聞く

ワールドラグビーのサー・ビル・ボーモント会長は次のように述べています。「私たちは、ゲームをできるだけ楽しく、安全にプレーできるようにするための方法を探求し続けることが重要です。、ラグビー人口の99パーセントを占めるコミュニティゲームは、私たちのスポーツの生命線です。タックルの高さ調整案は、すでにゲームの形やプレー体験に良い結果をもたらしており、これはスポーツの将来にとって不可欠なものです。 特にフランスでの調査結果では、タックルの高さを低くすることがゲームをより安全にするだけでなく、プレーヤー人口の増加につながっていることが証明されています。このことは、私たちのスポーツに関わるすべての人にとっての目標でなければなりません。」

ワールドラグビーの最高経営責任者、アラン・ギルピンも次のように加えました。「私たちのスポーツが成長し続けるためには、世界中でより多くの人々にとってプレーしやすく、意味のあるスポーツであることを保証しなければなりません。タックルの高さが低いほど、頭部外傷のリスクが低く、より多くの人がプレーできることを示す説得力のある新しい証拠があるのですから、何もしないわけにはいきません。」

「変革は難しいものです。しかし、このような変化は、楽しみを高め、保護者を安心させ、私たち全員が愛するこのスポーツに、より多くの新しい参加者を迎えることができるという事実から目をそらすわけにはいきません。」