男女ともセブンズ日本代表にとって、アジアセブンズシリーズ2021は今夏の東京オリンピック以後初の国際舞台。ともに代行指揮官が率いる下、出場8チーム中で上位2位が獲得できる来年のワールドカップセブンズ出場権獲得を目指して臨んだが、明暗は分かれた。

 サクラセブンズこと、ディフェンディングチャンピオンの女子日本代表は開幕戦に登場。カザフスタンに21-7で勝利すると、タイに17-5、フィリピンに61-0と3戦全勝としてプールA1位で準決勝に進出した。

香港との4強対決では29-0で制して決勝進出を決め、2009年から始まった女子の世界大会へ4大会連続4度目の出場権を確定させた。決勝では、中国に14-12と競り勝って大会連覇を遂げた。

準決勝では三枝千晃選手と堤ほの花選手がそれぞれ2トライ、小笹知美選手が1トライ、須田選手がコンバージョン2本を決めた。堤選手は決勝でも1トライをマークし、キャプテンを務めた平野優芽選手の1トライ、須田選手のコンバージョン2本とともにチームの勝利に貢献。須田選手は今大会でチーム最多の合計34得点(4トライ、7コンバージョン)を挙げた。また、プレーヤーコーチとして出場した中村知春選手は体を張った守備など、チームを支えるパフォーマンスを見せた。

 平野選手は、「オリンピック後のアジアシリーズで、中村選手の50キャップ目の大会で優勝してワールドカップ出場権を獲得することができて、とても嬉しい。個々の持っている力を存分に発揮して、苦しい試合も全員で戦い抜くことができた」と振り返り、来年の本大会へ向けてさらなるレベルアップを目指したいと話した。

 鈴木貴士ヘッドコーチ代行は、「9月から新チームをスタートさせて短い期間ではあったが、選手たちがもう一度アジアチャンピオンになるという強い気持ちを持って取り組んでくれたことが、今回の結果につながった。選手たちの頑張りに感謝したい」とコメント。さらに「我々は世界に勝つことが目標。次に向けて準備したい」と述べて、来年へ視線を移していた。

男子日本は準決勝で黒星、香港と韓国が本大会へ

前回2019年大会まで3連覇を含む7回優勝を遂げてきた男子日本代表は、プールBでスリランカに31-14、中国に26-0、開催国UAEに27-19と3連勝で初日を終了。勝てば出場権獲得となる翌20日の準決勝に進出し、韓国と対戦した。

 韓国はプールA初戦で香港に7-14と敗れたものの、その後はフィリピンに46-0、マレーシアに40-7と大勝して同プールを2位で突破。日本との4強対決では、Kim Namuk選手が2トライ、Kim Hyunsoo選手が1トライ、Andre Jin選手が2本のコンバージョンを決めて21-14の勝利に貢献した。

日本はカヴァイア・タギベタウア選手が今大会2本目となるトライと、プール戦で2トライ6PGを挙げた加納遼大選手の1PGと1コンバージョンで14-14としていたが、終盤のペナルティが響いて試合終了直前に韓国に決勝トライを許して万事休した。

その後、3位決定戦で中国に26-19で勝利したが、来年のケープタウン行きは逃した。男子セブンズ日本代表は1993年から続くワールドカップセブンズ大会の連続出場記録は7大会で途切れた。

 なお、男子の出場権を獲得したもう1チームは香港。今年9月にカナダで行われたHSBCワールドラグビーセブンズシリーズの2大会でも8強に入る活躍を見せていた香港は、今大会の準決勝で中国に24-0と勝利して決勝進出を決め、決勝では韓国に勝利して、2016年大会以来で通算4度目となる優勝で大会を終えた。

 今大会で初めて男子7人制日本代表の主将を務めたジョニー・ファアウリ選手は、「この大会は選手たちにとっても私自身にとっても驚きの連続だった。セブンズラグビーのプレー経験も少なく、チームのほとんどはアジアシリーズのような大きな大会でプレーすることが初めてだった」と言及。

そして、「準決勝で韓国のような質の高いチームに負けたことは残念だったが、中国を破って大会を終えられたことを誇りに思う。香港男子チーム、日本女子チームの優勝を心から祝福する」と話した。

 オリンピック終了での指揮官交代を受けて、男子7人制日本代表チームを率いた梅田紘一ヘッドコーチ代行は、「オリンピック後最初の国際大会で、楽しみやプレッシャーなどさまざまな感情が入り混じるなかで準備をしてきた。結果が伴わなかったのは私の実力不足。初戦から全力で最後まで前向きにプレーしてくれた選手、支えてくれたスタッフに感謝している」と述べた。

 ラグビーワールドカップセブンズ2022は来年9月9~11日に南アフリカのケープタウンで開催される予定だ。