2018年11月以来となる北半球へのツアーの一環で10月23日(土)に大分で日本代表とテストマッチに臨むオーストラリアは、8月から10月にかけて行われたラグビーチャンピオンシップでもニュージーランドに連敗スタート後は南アフリカとアルゼンチンにそれぞれ連勝を収めて、現在4連勝中と好調の波に乗る。

日本との通算対戦成績は5戦5勝と大きくリード。前回2017年11月の横浜での顔合わせでも63-30とダブルスコアで勝利を収めた。世界ランキングでも日本の10位に対して3位と優位に立つ。5連勝を期待する声もある。

だが、昨季トヨタ自動車に所属してトップリーグも経験したオーストラリア代表FLフーパ―主将は、気を引き締めている。

「日本にもどって来ることができて嬉しい」と話すフーパ―選手は、「日本は急速に力をつけて成長している。2015年以降は特にそうで、2019年ラグビーワールドカップでは素晴らしいパフォーマンスを披露した。今年もしっかりしたプレーを見せている」と指摘する。

 「彼らの特長はハイテンポな試合展開だ。アスリートの揃った機動性の高いチームで、ボールを持たせると柔軟性があって巧い。ダイナミックで、ブレークダウンもキャリーも強い。僕らはコンタクトプレーやフィジカル面で強さを出して、彼らのプレーを送らせて、彼らがやりたいことを阻止しなければならない」と語った。

 日本は試合メンバーに、2年ぶりに代表戦に復帰したSH流大選手やCTB中村亮土選手ら2019年ワールドカップを戦った顔ぶれに加えて、ジャック・コーネルセン選手、ベン・ガンター選手、ディラン・ライリー選手というオーストラリア出身の若手も起用。その編成に「手堅いチーム」という印象を口にしたフーパ―選手は、NO8姫野和樹選手に言及した。

姫野選手は、昨季トヨタ自動車からニュージーランドのハイランダーズへ活躍の場を移し、フーパ―選手とは入れ違いでトップリーグでの共闘はならなかった経緯がある。

フーパ―選手は、「姫野は素晴らしい選手だ。(チームメイトとして)一緒にプレーできずに残念だったが、明日プレーできる。試合が楽しみだ」と話した。

また、今回の試合ではトヨタで共にプレーしたSH滑川剛人選手がアシスタントレフェリーを務める。「トヨタの選手が試合に関わることはうれしい」と喜んだ。

オーストラリアは日本戦のあと、11月7日にスコットランド、14日にイングランド、21日にウェールズと対戦する。

 「週の前半はかなり蒸し暑かったが、今は気温が下がって、試合にはいいコンディションになるだろう。ムービングラグビーをするにはいい環境が整うと思う」とフーパ―選手。

115キャップを誇るオーストラリア代表キャプテンは、「ここからの4試合は僕らのゲームを構築していく機会になる。試合を通して自分たちがいかに進歩成長できるかだ。異なるタイプのチームとの対戦はとても重要だ」と話し、こう言った。

「勝つことは重要だし、結果はやるべきことをやることで得られる。自分たちは勝つために必要なプロセスを遂行する。ここ4試合でできていたので、この試合でも発揮したい。そうすれば結果はついてくる。」

日本代表SH流選手、「いい準備ができている」

 両チームは試合前日、試合会場の昭和電工ドーム大分でそれぞれ最終調整を行った。

 ワールドカップ以来の代表戦となるSH流大選手(東京サントリーサンゴリアス)は、今回ハーフ団のコンビを組むSO松田力也選手(埼玉パナソニックワイルドナイツ)とは連日ゲームプランの確認を重ねてきたことを明かし、「長年やってきているので、互いのプレーは分かっている」と話した。

 日本代表は試合登録メンバーの変更を発表。リザーブに入っていたFLリーチマイケル選手(東芝ブレイブルーパス東京)が負傷のために外れ、代わりに徳永祥尭選手(東芝ブレイブルーパス)が19番に入ることになった。

徳永選手はラグビーワールドカップ2019でもスコッド入り。試合出場の機会はなかったが、チームのサポートに回って日本のベスト8入りに貢献した。今回出場すれば、2019年9月のワールドカップ開幕前の南アフリカ代表戦以来、2年ぶりの代表戦となる。

流選手はリーチ選手のメンバー外に、「残念だが、選手層は厚くなっている。徳永もいい選手。影響なく試合を迎えられると思う」と動じる様子はない。

 さらに、日本代表9番は、「ワラビーズはいい調子できているが、日本もいい準備ができている。国内で代表戦をできることを楽しみに、勝つことを最優先にやりたい」と語った。

 日本は、2019年のワールドカップ以来の国内初のテストマッチとなるオーストラリア戦後、欧州遠征で11月6日にアイルランド、13日にポルトガル、20日にスコットランドと対戦する。