ワールドラグビーは、脳震盪が確認された後にプレーに復帰するエリートプレーヤーのケアをさらに客観化するための大規模なプログラムの詳細を発表しました。

第三者脳震盪コンサルタント(ICC)パネルは、エリートレベルの大会に参加するプレーヤーが、6段階の「段階的競技復帰」プロセスを無事完遂した後、競技に復帰すべきかどうかについて、第三者専門家の意見をゲームに提供するために活用されます。ICCの専門家パネルにかかる費用はワールドラグビーが全額負担します。

次に挙げる状況では、チームがICCの再評価を求めることが必須となります:

  • 脳震盪が確認されたプレーヤーが、10日以内または10日目に競技復帰することが予想される場合、チームドクターは、プレー復帰に関してICCレビューを受けなければならない。
  • ラグビーでは、個々の状況に合わせた脳震盪管理を重視していることから、以下のシナリオでリスクが高いと判断されたプレーヤーは、復帰までの時間にかかわらず、プレーに復帰するのに適していると判断された時点で、ICCレビューを受けることになる:
    • 過去3ヶ月以内に脳震盪を起こしたプレーヤー
    • 過去12ヶ月に2回、またはそれ以上の脳震盪を起こしたプレーヤー
    • ラグビーを始めてから5回またはそれ以上の脳震盪を起こしているプレーヤー

ワールドラグビーは、第三者脳震盪コンサルタントとして活動する専門家を集めた国際的パネルを今月から設置しました。国内の大会では当該国協会がこのパネルの中から誰かを選んで活用するか、または独自に第三者脳震盪コンサルタントを任命することができます(最低基準を満たす専門家であることが前提)。このパネルは、ワールドラグビーのいかなるインプットからも独立して活動します。

ラグビーの脳震盪に伴う競技復帰プロトコルは、専門家の意見に沿ったものであり、個々のプレーヤーに応じた管理が行われています。独立した第三者脳震盪コンサルタントによるレビュープロセスは、過去2回の男子ラグビーワールドカップで成功した環境を基礎に構築され、6段階の「Graduated Return to Play 段階的競技復帰」プロセスを完遂したプレーヤーを個別に管理する必要性を認識し、チームドクターに追加的かつ客観的な専門家の意見を提供しサポートしていきます。

6段階の段階的競技復帰プロトコルを完了するための時間枠は設定されておらず、プレーヤーは脳震盪の症状や兆候が見られない状態で各段階を通過する必要があります。現在、このような、プレーヤーを第一に考えた監視下での競技復帰プロセスを経て、脳震盪後7日以内に活動を再開したプレーヤーは3分の1以下です。

この競技復帰プロトコルは、試合中や試合後に頭部外傷を評価するために使用される頭部外傷評価(HIA) プロセスと組み合わせることで、エリートラグビーで脳震盪を起こしたプレーヤーの識別、退出、監視に変革をもたらし、他のスポーツでもこのアプローチが採用されています。

今回の発表は、本日発表されたワールドラグビーのプレーヤーウェルフェア行動計画のうち、科学と研究を含む6つの重点分野に焦点を当てたもので、今回の取り組みはその中心となるものです

ワールドラグビーの最高責任者であるアラン・ギルピン氏は次のように述べています。「本日スタートしたエリートゲームのための独立した第三者脳震盪コンサルタントのパネルを提供し、資金を提供するというコミットメントは、我々のプレーヤーウェルフェア行動計画を実行する上での重要な取り組みであり、ゲームのすべのレベルでプレーヤーのケアを進め、プレーヤーを保護するための「競技復帰プロセス」を促進させ、ゲームのすべてのレベルでプレーヤーのケアを進めていくという私たちの使命を反映しています」。

ワールドラグビーのチーフメディカルオフィサーであるエアンナ・ファルビー博士は次のように述べています。「過去のラグビーワールドカップでは、試合間のターンアラウンドタイムが短い時、またチームドクターがプレー復帰の決断を下す際にサポートを必要とした時など、チームドクターに貴重なリソースを提供する第三者脳震盪コンサルタントのプログラムは成功を収めました。」

「この取り組みをエリートゲーム全体に拡大し、一流の専門家をすべての大会で利用できるようにすることは、プレーヤーウェルフェアに対する私たちのコミットメントをさらに大きく前進させるものです。これは、恣意的なスタンドダウンタイムを課すのではなく、個々のプレーヤーのリスクに応じたアプローチを担保する必要性を完全に認識しサポートするものです」