2019年ラグビーワールドカップ以来、約1年7カ月ぶりに日本代表が始動した。2023年フランス大会へ向けて、日本大会を経験した選手たちにノンキャップ選手も多く加わった新たなジャパンとしての第一歩となる。

次のワールドカップを睨んで、リーチ選手はベスト8入りした2019日本大会からの日本代表のレベルアップへ、。精神面からのアプローチが重要になると主張する。

 「この一年、言い訳せず前向きにやる。まずは、僕らはティア1のチームという意識を持って行動することを重要視している。そのぐらいのスタンダードでやっていかないとならない」とリーチ選手は言う。

目標を達成した2019年大会を戦った当時の基準を、新たな日本代表のベースにしてチームづくりを進めようという狙いがある。

さらに、日本大会での成功の土台となったのがチーム内のコネクション=絆。この代表チームでそれを構築することが重要だと説くが、すでにチーム内ではリーダーグループの選手たちに、自主性やリーダーシップを発揮する変化が見られるという。

「ティア1に上げるために、コネクションにフォーカスしている。選手お互いとチームに対するコネクションが大事」と指摘。「新しい若い選手も入ってきた。スタンダードでがっかりさせないように、前の代表を経験した選手がいい見本となる」と話す。

 チームは5月26日から大分県別府市で合宿を開始。この夏の遠征で対戦するブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ(6月26日、エジンバラ)、アイルランド(7月3日、ダブリン)との試合への調整となる。

「ライオンズ戦は特別な試合になる」と言うリーチ主将は、「ライオンズは名誉なチームであり、ライオンズの選手たちは人生での巨大イベントという覚悟でやってくる。その覚悟に負けないように、わずかなチャンスで結果を出すことが自分たちの成長につながる」と語る。

 2011年から3度のワールドカップを経験し、代表68キャップは今回のメンバーで最多を数えるリーチ選手は、プレー面でも「リアクションや切り替え、立ち上がるスピードなどを世界トップレベルに引き上げる。80分間実行できるようにするために、ハードな訓練を繰り返すことが必要」と話し、高い意識を持ってチームづくりを進めようとしている。

 「練習の中で常にティア1のスタンダードを持ってやることを、リーダー陣が意識してやっている。ワールドカップで南アフリカに負けたことを忘れずに、コンタクトの強さなどを(出せるように)、引っ張っていきたい」と語った。

 前回、前々回のワールドカップをリーチ選手とともに戦ったSO田村優選手(キヤノン)は、「初日は難しいこともたくさんあるだろうと思っていたが、少しでも良い練習にしようと、みんな協力してできている」と、今合宿での変化を感じている。

 1か月後に控えたライオンズ戦については、「ワールドカップでプレーするのと同じぐらいの夢。すごく楽しみ」と語り、そこへ向けて「チームのゲームプランや自分のスキルレベルをもう一度、テストマッチをするレベルに上げる。自分の持っているものを100%チームに還元したい」と話している。

ジョセフHC、ハードワークと主体性を求める

ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチも、コーチ陣とともにチームに合流。「ここが出発点。ここからチームの形を作り上げていく」と語った。

 コロナ禍で2020年の活動は全て中止となり、自身もニュージーランドで過ごしながら次のワールドカップを睨んだチームづくりの構想を練ってきた指揮官は、2019年大会へ向けた合宿も行った土地での久々の代表活動に、「すごくワクワクしている。慣れ親しんだ場所に戻ってこれた」と笑顔。28日に合宿地に入ると早々に選手たちとの個別ミーティングやフィットネステストなどを実施した。

 26日にエジンバラで行われるライオンズ戦へは、6月12日(土)に国内の選手で特別編成されるサンウルブズとの強化試合を経て臨み、その後7月3日にダブリンでアイルランド戦を戦うことになっている。

今合宿直前までトップリーグが開催され、代表チームとしての準備の時間が限られる中、ジョセフヘッドコーチは、「これまで暫く活動できなかった不安もあるが、朝7時から翌9時までトレーニングすれば自分たちのラグビーができる」と話してハードワークを要求。

さらに、「一貫性を持つことが成功には重要」として食事、準備など全ての面で一貫した高い意識を持って行動することを求めた。「時間がないなかで、私がヘッドコーチとしての仕事がないと感じるくらい、選手が主体性を持って行動することが大事。自立することで選手としてもチームとしても良くなれる」と話した。

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