今シーズン、ニュージーランドのハイランダーズでスーパーラグビー挑戦を続けている姫野選手が、アオテアロア大会で一つの評価を得た。チームメイトのWTB/FBコナー・ガーデンーバショップ選手に評価ポイントで1ポイント上回り、新人賞を獲得した。

新型コロナウィルス感染症の世界的流行の影響を受けて、姫野選手のチーム合流が遅れ、シーズン開幕から3試合は出場を見送ることになったが、途中出場でデビューした3月26日のハリケーンズ戦以降は5試合に出場。続く4月2日のクルセイダーズ戦からはNO8として先発を続け、4月16日のブルーズ戦ではジャッカルを決めて、1トライもマークした。

リーグ最終節となった4月30日のハリケーンズ戦では試合開始から積極的なボールキャリーを見せてチーム1本目のトライにつなげるなど、47分間のプレーで果敢なプレーとハードワークを披露した。チームは試合に敗れたものの、姫野選手はブルーズ戦に続いて2度目のチームのマン・オブ・ザ・マッチに選出された。リーグの新人賞選考では3ポイントを獲得し、これが逆転受賞の決め手となった。

 スーパーラグビー・アオテアロア大会では週ごとに新人選手のベスト3を選出し、1ポイントから3ポイントを付与。シーズン終了時に最多ポイントを得た選手が新人賞を獲得する。

26歳の姫野選手は、日本代表として2019年ラグビーワールドカップでも日本の8強入りに貢献するなど17キャップを保持。サンウルブズでのスーパーラグビー出場も経験しているが、スーパーラグビー・アオテアロアでは今季がチームと初契約年度であるとして、同賞の選考対象になっていた。

 姫野選手は、大卒ルーキーとしてプレーしたトヨタ自動車ヴェルブリッツでの2017-2018シーズンにジャパントップリーグ新人賞を獲得。その経験から、「自分も新人賞をとってから自信につながって、そこからどんどん飛躍した」と受賞の効果を認識している。それだけに「もっと若いニュージーランドのこれからの選手がもらうべきなのではないか」と、リーグ最終戦後に選考対象であることについて戸惑いも見せていた。

しかし今回、リーグから5月4日にアオテアロア大会新人賞が発表されて、その意義を再認識。自身のSNSで次のようにコメントした。

「日本人として力の証明がしたい、多くの日本の方、子どもたちに勇気を感じて貰いたい。その思いで海外に行くことを決めました。その点でいえば、NZの方々に評価をしてもらえるのは本当に飛び跳ねるほどうれしく、新人賞もらえたことは自分の誇りです。」

失敗を考える時間

昨年2月22日のトヨタ自動車でのトップリーグの試合を最後に、コロナ禍で日本のシーズンが中断して以降、姫野選手が今年3月26日にハイランダーズでデビューするまで、実戦のブランクは1年以上になったが、アオテアロアでの初シーズンは、しかし、本人が思ったよりも悪くなかったという。

「全ておいて、結構いい感じだと思う。体のフィーリングも悪くない。1年以上ラグビーをやっていなかったので、もう少してこずるかなと思っていた」と姫野選手。そして、こう続けた。

「ディフェンスは今、成長中。もっとインパクトのあるプレーをしたいし、ボールキャリーも細かいところでの失敗がたくさんある。これはスーパーラグビーですごくいい経験ができているからこそだと思っている。その都度、自分と対話して、一つ一つ何がダメだったか、考えられる時間が持てている。この時間も自分の成長にいい材料だと思う。それを続けていけばもっと成長できる。6月の日本代表に向けても、もっといいコンディションに仕上がると思う。自分自身、ワクワクしている。」

日本代表は6月26日にエジンバラでブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとの対戦が決まっている。姫野選手は代表合流まで、5月14日に始まるスーパーラグビー・トランスタスマン大会でスーパーラグビーのオーストラリア勢を相手に、自身のプレーを磨くつもりだ。ハイランダーズは14日のレッズとの初戦以降、6月11日まで5試合が予定されている。

姫野選手は、「オーストラリアのチームはフィジカルで来ると思う。フィジカリティのある、いい選手がたくさんいるので、そういう選手とバチバチやり合うのがすごく楽しみ」と話している。