2019年のラグビーワールドカップ日本大会で8強入りを果たした日本代表が、再始動へ向けて動き出した。

2020年は新型コロナウィルス感染症の世界的流行の影響を受けて予定されていたテストマッチが全て中止となるなど、代表活動を全く行うことができなかったが、今年は6月26日のスコットランドでのブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦をはじめ、強化試合やテストマッチの実施が計画され、2023年ワールドカップに向けて本格的に活動を再開させる。

 そのベースとなるのが今回発表された候補選手52人。ここから6月の遠征へ向け、5月23日のジャパントップリーグ・プレーオフ決勝を経て35人に絞り込まれる。

 候補52人はフォワード29人、バックス23人の構成で、初の8強入りを達成した2019年ワールドカップ代表メンバーからはFLリーチマイケル選手(東芝)、PR稲垣啓太選手(パナソニック)、現在ハイランダーズでスーパーラグビーに挑戦中のNO8姫野和樹選手(トヨタ自動車)、欧州で活躍中のWTB松島幸太朗選手(クレルモン)ら21人が名を連ねた。

だが、HO堀江翔太選手(パナソニック)、SH流大選手(サントリー)らの選出は見送られた。日本協会の藤井雄一郎ナショナルチームダイレクターは「体調が万全ではない。メンタル的にもしっかりリフレッシュしたいということ。体調を見ながら、こちらから声をかけていく」と説明した。

 一方、代表ノンキャップは21人で、SH齋藤直人選手(サントリー)、WTB中野将伍選手(サントリー)、WTBシオサイア・フィフィタ選手(近鉄)らが選出された。

 ジョセフヘッドコーチは、「2021年のトップリーグでは素晴らしいチームパフォーマンスがあちこちで見られ、これまで以上に接戦を極めている。日本ラグビーの成長にとっては素晴らしいこと」と今季の国内リーグの激化を歓迎した。

 日本代表指揮官は、代表引退や個人的な理由で選考対象外となったことで、スコッドに入れ替わりがあったことについて、「全力をぶつけて、代表レベルでプレーできることを示すチャンスになる」と述べて、新たな戦力の台頭を期待している。

また、「今回のスコッドは、経験値のある選手と今後代表でプレーするポテンシャルのある選手のバランスがうまく取れている」として、2023年ワールドカップを念頭に「これからの2年でチームの層を厚くしていく必要がある。今回のスコットランド遠征はそのスタートにすぎない」と指摘した。

 トップリーグは4月17日からプレーオフトーナメントに入り、負ければ終わりのノックアウト方式での対戦に入るが、ジョセフヘッドコーチは、「ノックアウト方式のプレッシャーの中で、最高のラグビーを見せることができるのは誰なのかが分かる」と、候補選手らのプレーに目を光らせている。

 日本代表はエジンバラでのライオンズ戦の前に、6月12日に静岡のエコパスタジアムで強化試合を行う予定で、秋の活動期間にも国内外でのテストマッチ5~6試合を行いたい意向を示している。対戦相手や日程などは決定次第発表される見込みだ。

男子15人制日本代表候補メンバー:

PR—淺岡俊亮(トヨタ自動車、-caps)、稲垣啓太(パナソニック、34)、ヴァル アサエリ愛(パナソニック、14)、垣永真之介(サントリー、9)、北川賢吾(クボタ、3)、具 智元(ホンダ、13)、中島イシレリ(神戸製鋼、8)、クレイグ・ミラー(パナソニック、-)、森川由起乙(サントリー、-)

HO—坂手淳史(パナソニック、21)、中村駿太(サントリー、-)、彦坂圭克(トヨタ自動車、-)、堀越康介(サントリー、2)

LO—マーク・アボット(宗像サニックス、-)、ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ、16)、長谷川崚太(パナソニック、-)、ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機、16)、ジェームズ・ムーア(宗像サニックス、8)、リアキ・モリ(日野、-)

FL―小澤直輝(サントリー、4)、ベン・ガンター(パナソニック、-)、ジャック・コーネルセン(パナソニック、-)、松橋周平(リコー、8)、ピーター・ラブスカフニ(クボタ、8)、リーチ マイケル(東芝、68)

NO8—テビタ・タタフ(サントリー、3)、ナエアタ・ルイ(神戸製鋼、-)、アマナキ・レレイ・マフィ(キヤノン、27)、姫野和樹(トヨタ自動車、17)

SH―荒井康植(キヤノン、-)、小山大輝(パナソニック、-)、齋藤直人(サントリー、-)、茂野海人(トヨタ自動車、10)

SO—田村 優(キヤノン、63)、前田土芽(NTTコミュニケーションズ、4)、松田力也(パナソニック、24)

WTB—江見翔太(サントリー、-)、ジョネ・ナイカブラ(東芝、-)、シオサイア・フィフィタ(近鉄、-)、中野将伍(サントリー、-)、松島幸太朗(クレルモン。オーヴェルニュ、39)、アタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼、4)、レメキ ロマノ ラヴァ(宗像サニックス、15)

CTB—梶村祐介(サントリー、1)、シェーン・ゲイツ(NTTコミュニケーションズ、-)、中村亮土(サントリー、24)、ディラン・ライリー(パナソニック、-)、ラファエレ・ティモシー(神戸製鋼、23)

FB—尾崎晟也(サントリー、3)、野口竜司(パナソニック、13)、ゲラード・ファンデンヒーファー(クボタ、-)、山中亮平(神戸製鋼、18)