3月29日から31日までオンラインで開催される「ワールドラグビー プレーヤーウェルフェア&競技規則シンポジウム2021」の主題は、外傷予防と研究戦略の今と未来です。

毎年開催されているこのシンポジウムでは最新の科学及び研究結果について議論し、国際統括団体であるワールドラグビーがゲームの形や競技規則を考える上で、プレーヤーを中心においた活動を決定するための手段の一つであり、プレーヤーウェルフェアと安全に対するグビー界の確固としてコミットメントを強調するものです。

シンポジウムから生まれた最近の主な進捗

  • ヘッドコンタクトプロセス(2020年シンポジウム):ラグビーの大きな目標である頭部損傷リスクの軽減を支援するプロセス。ハイリスクのタックルに対する制裁をフィールド内外においてより厳しく一貫性のあるものにし、プレーヤーの行動をポジティブに変化させることで頭部損傷リスクの軽減を図る。 2021年2月よりエリートラグビーで運用
  • ブレークダウンの規則適用ガイドライン(2020年シンポジウム):ブレークダウンにおける脳震盪発生リスクを抑え、規則遵守をより厳格にすることでボール収奪コンテストの向上を図る2020年7月より運用
  • リサーチ(2020年シンポジウム):女子ラグビーとコミュニティーラグビーに特化した更なるリサーチ、また入れ替えのインパクトに関するテーラーメイド型研究の委任(すべて継続中)
  • ウェルフェア重視の試験的実施ルール(2019年シンポジウム):スペースを作り、防衛ラインでのスピードを減少させることでプレーヤーウェルフェアの向上を目指す革新的な試験的ルール一連の実施。 2020年1月より運用
  • 傷害予防プログラム「Activate」(2019年シンポジウム):ユース及び成人ラグビーにおける軟組織損傷リスクを26、40パーセント削減、また脳震盪リスクは29、60%それぞれ削減する「Activate」傷害予防運動・ウォームアッププログラムを105加盟協会で導入。2019年より運用
  • ハイタックル・サンクション・フレームワーク(2019年シンポジウム):ラグビーワールドカップ2019大会前に発足したハイタックル・サンクション・フレームワークは、広範囲にわたるプレーヤーウェルフェア基準を網羅し、エリートラグビーにおける脳震盪の平均発生率比較で28%軽減。 2019 (現在はHCP)
  • プレーヤー負荷ガイダンス&パスポート(2019シンポジウム):傷害予防のためのエビデンスに基づく研究及びコーチ向けガイダンスの導入。2019年8月より運用
  • 頭部損傷評価(HIA)の医療基準の拡大(2019年シンポジウム):一定の損傷監視調査、マッチデードクター及び試合映像審査の導入を義務付けるなど、世界中のエリートラグビー競技がHIAにアクセスするために遵守しなければならないプレーヤーウェルフェア条件の義務付け拡大。

二日目からは世界中のラグビーファミリーが参加できる2021年版シンポジウムの専門テーマは3つ。医療スタッフ向けワークショップ、プレーヤー教育、そしてウェルフェア重視の競技規則及びリサーチです。講演者には、メンタルウェルビーングのセッションで司会進行役を務めるクレイグ・リッチー教授(認知症予防センター、ディレクター)カレン・チャン(エモーショナルリテラシーエジュケーター&トレーナー)などを迎え、プレーヤーをフィールド内外でサポートしていくラグビー界のコミットメントを更に前進させていきます。

シンポジウムの1日目は、世界中に広がるラグビー界の医療スタッフネットワークが参加する非公開セッションで、主にチーフメディカルオフィサーやチームドクターによる最新情報の共有とワークショップに焦点を当てます。二日目は、ウェルフェア重視の競技規則に関するセッションからスタート。このセッションでは、現在進行中の「スーパーラグビー」大会での一連の試験的実施ルールに関する初期結果について細かく議論します。ワールドラグビーのラグビー&ハイパフォーマンスディレクター、ジョー・シュミットは、プレーヤーの行動を変化させ、ゲームの傾向を形成することにより脳震盪発生の軽減を目指し導入した、新たな「ヘッドコンタクトプロセス」の実施についてのセッションの進行役を務めます。

国際ラグビー選手会とのパートナーシップで運営する「プレーヤーエジュケーションワークショップ」にはエリートプレーヤーであれば誰でも参加でき、取り上げるトピックは、頭部損傷評価(HIA)、リサーチ重視の競技規則と医療技術の試験的実施、メンタルヘルスや長期的健康、そして生活習慣を少し変えるだけで引退したプレーヤーのウェルビーイングがどのように向上するかなど、多岐にわたります。

シンポジウムの最終日は、コミュニティーと年齢別対象として画期的な脳震盪調査に関する詳細の発表などの現在と今後の研究プロジェクトについての最新情報をはじめ、入れ替えに関する広範囲にわたる研究、また女子ラグビーに特化したリサーチの最新情報などを共有します。更に、フランスで実施中の、コミュニティーラグビーにおけるタックルの高さの試験的実施(初期段階において大変良好な結果が出ている)についての最新情報も共有します。

ワールドラグビーのサー・ビル・ボーモント会長は次のように述べました。「プレーヤーウェルフェアと競技規則に関するシンポジウムは、ウェルフェア重視の試験的実施ルールの進捗状況、またすべてのレベルで恩恵が得られる変化について知るための最新の医学的知見とゲームの傾向を共有する場であり、エビデンスに基づいたアプローチによるラグビーの傷害軽減を目指す上での礎です。」

ワールドラグビーのチーフメディカルオフィサー、Drイーナ・ファルビーも次のように加えました。「ラグビーは、すべてのレベルのプレーヤーのウェルフェアを守るという確固たるコミットメントを持って結束しています。常にプレーヤー第一に考えながら、常に進化し続ける科学を評価し行動しています。シンポジウムはそのような私たちのアプローチの中心をなすものであり、今年のシンポジウムでは傷害予防、優先的研究課題、またラグビーファミリーにとっての長期的健康について焦点を当てていきます。」

今年は特に、IRPとパートナーシップを組んでエリートプレーヤー専門のセッションを開催できることを嬉しく思います。プレーヤーはラグビーファミリーの中心的存在であり、フィールド内外でこのスポーツが拡大していくためにはプレーヤーの声を聞くことが重要です。同時に、プレーヤーの皆さんをフィールド内外、ラグビーそして競技外でも守り、支援していくため私たちが確固として行っている研究に基づく革新的な取り組みの数々についてプレーヤーの皆さんに理解を深めてもらう機会でもあります。」

ワールドラグビーのプレーヤーウェルフェア&競技規則に関するシンポジウムに参加をご希望のメディア関係者は、別途メディア向けアドバイスを通じて登録できます。