ラグビーワールドカップ案は長年議論されましたが、実際の提案が出されたのは当時の国際ラグビーフットボールボード(IRFB)がパリで開催した1985年の年次会合でのことでした。この提案の中心となって動いたオーストラリアのニコラス・シェハディ ニュージーランドのリチャード・リトルジョンは、この提案に対する各協会の支持を取り付けるためイギリス、ウェールズ、アイルランドそしてスコットランドを訪問しました。当初の反応は賛否両論でしたが、最終的に10票対6票で可決し、2年後に第1回大会をオーストラリアとニュージーランドが合同開催することが決定しました。

ラグビーワールドカップへの参加は、現在では競争率の高い予選によって決定されていますが、1987年の男子の第1回大会では、16チーム中9チームが招待によって参加しており、残りのチームは当時のIRFB(現在のワールドラグビー)に加盟していたオーストラリア、イングランド、フランス、アイルランド、ニュージーランド、スコットランド、ウェールズの7つの協会が参加しました。南アフリカはアパルトヘイト政権によって国際的にスポーツが孤立していたために参加できませんでした。

ニュージーランドは、第1回大会の決勝でフランスを29-9で破り、初めてウェブ・エリス・カップを手にしたチームとなりました。その後、2011年にはニュージーランドが開催国として、2015年にはイングランドが開催国となって開催されました。オールブラックスは、不屈の精神を持つリッチー・マコウに率いられ、2回の優勝を飾り、トロフィーを守った唯一のチームとなりました。

南アフリカは、1995年に自国で初めてウェブ・エリス・カップを獲得し、ネルソン・マンデラ大統領がスプリングボクスのキャプテン、フランソワ・ピーナールにトロフィーを授与するという、ラグビーで最も象徴的な映像を残しました。南アフリカは、2007年と2019年にも優勝しており、オールブラックスと並んで3冠に輝いています。

しかし、スプリングボクスは、この2つのタイトルを獲得する過程において、「ラグビーワールドカップ史上最大のショック」と呼ばれる苦渋を味わいました。RWC 2015にブライトンで行われた対戦で日本に敗れるという忘れられない戦いです。2019年大会でアジア初の開催国となった日本は、この時の34-32の勝利をバネに、初めて準々決勝に進出するというさらなる躍進を遂げました。

ウェッブ・エリス・カップを複数回手にしているのは、ニュージーランドと南アフリカの他に、オーストラリアがあります。1991年大会と1999年大会での優勝は、エキサイティングな才能に恵まれたワラビーズチームの黄金の10年間の頂点を飾るものでした。1991年の優勝は、デビッド・キャンピージが象徴する攻撃力で勝ち取った一方、1999年の優勝は、ディフェンスが重要な役割を果たし、大会を通じて奪われたトライはたった1つでした。

イングランドは、南半球勢力の独占状態を打破した唯一のチームです。2003年、クライヴ・ウッドワード率いるイングランドチームは、1995年の南アフリカ対ニュージーランドに続き、2度目の延長戦となった決勝戦でホスト国のオーストラリアと対戦し、最後の最後でジョニー・ウィルキンソンがドロップゴールを決めて20-17で勝利しました。

女子ラグビーワールドカップの案は、1990年に開催したニュージーランドでの国際大会で、デボラ・グリフィン、アリス・クーパー、スー・ドリントン、メアリー・フォーサイスの4人の女性組織委員会による多大な努力と献身により実現し、1991年4月、ウェールズの首都カーディフに12チームが集結し(中には自己負担で遠征したプレーヤーもいました)9日間に亘りラグビーを楽しみました。

1991年に男子と同じ年に第1回大会が開催されて以来、女子ラグビーワールドカップはラグビーカレンダーの中で単独イベントとして通常4年ごとに開催されてきましたが、1994年には男子の大会と同じ年になるのを避けるため、また2017年にはオリンピックのサイクルの真ん中に移動したラグビーワールドカップ・セブンズとぶつからないようにするため、2回ほど3年に変更して開催されました。

カーディフでイングランドを19-6で破り、初代チャンピオンに輝いたアメリカは、その後1994年と1998年の2回、ラグビーワールドカップの決勝戦に進出しています。

3年後のエジンバラ大会ではイングランドの女子代表チーム、イーグルスが局面を変え、ニュージーランドが圧倒的な強さを見せ始める前の1998年に優勝。その後も2002年、2006年、2010年と計4回のラグビーワールドカップで優勝し、これらの大会で行われた19試合すべてに勝利しました。

2014年のフランス大会では プール戦でアイルランドに敗れるという番狂わせを味わい、優勝のチャンスを逃したブラックファーンズは、それまでの16年にわたる成功の歴史に終止符を打ちました。その結果、イングランドは初出場のカナダに21-9で勝利し、20年ぶり2度目のラグビーワールドカップ優勝を果たしました。しかしブラックファーンズは、2017年のアイルランド大会で王座を奪還しています。

女子ラグビーワールドカップの優勝国は3ヵ国しかありませんが、開催国は大会ごとに変わります。2022年大会では、ニュージーランドが9番目の開催国となり、ブラックファーンズは初めて開催国としての王者の座を目指します。

詳細結果 - 男子トーナメント

開催年

開催国

決勝戦

3位決定戦

Teams

 

 

優勝

スコア

準優勝

勝者

スコア

4位

 

1987

オーストラリア, ニュージーランド

ニュージーランド

29-9

フランス

ウェールズ

22-21

オーストラリア

16

1991

イングランド, フランス, アイルランド, スコットランド, ウェールズ

オーストラリア

12-6

イングランド

ニュージーランド

13-6

スコットランド

16

1995

南アフリカ

南アフリカ

15-12 AET

ニュージーランド

フランス

19-9

イングランド

16

1999

ウェールズ

オーストラリア

35-12

フランス

南アフリカ

22-18

ニュージーランド

16

2003

オーストラリア

イングランド

20-17 AET

オーストラリア

ニュージーランド

40-13

フランス

20

2007

フランス

南アフリカ

15-6

イングランド

アルゼンチン

34-10

フランス

20

2011

ニュージーランド

ニュージーランド

8-7

フランス

オーストラリア

21-18

ウェールズ

20

2015

イングランド

ニュージーランド

34-17

オーストラリア

南アフリカ

24-13

アルゼンチン

20

2019

日本

南アフリカ

32-12

イングランド

ニュージーランド

40-17

ウェールズ

20

 

ノックアウトステージ(決勝トーナメント)の結果

ラグビーワールドカップ2019

2019年大会では、日本が史上初めてアジアのチームとしてラグビーワールドカップを開催し、ホームグランドで決勝トーナメントにまで進むという歴史的快挙を成し遂げました。その4年前のイングランドでブレイブ・ブロッサムズは南アフリカを破り、大会史上最大の番狂わせとしての歴史を刻みました。それから4年後、日本代表チームはプールステージでロシア、アイルランド、サモア、そしてスコットランドを全て破って決勝ラウンドに進むいう英雄的パフォーマンスを見せてくれました。

準々決勝では大会優勝者となる南アフリカに惜しくも敗れましたが、誇りある幕引きでした。

ラウンド

 

 

勝者

スコア

敗者

準々決勝

イングランド

40-16

オーストラリア

準々決勝

ニュージーランド

46-14

アイルランド

準々決勝

ウェールズ

20-19

フランス

準々決勝

南アフリカ

26-3

日本

準決勝

イングランド

19-7

ニュージーランド

準決勝

南アフリカ

19-16

ウェールズ

3位決定戦

ニュージーランド

40-17

ウェールズ

決勝戦

南アフリカ

32-12

イングランド

 

ラグビーワールドカップ2015

ニュージーランドがホームグランドでウェッブ・エリスカップを持ち上げてから4年後、オールブラックスの24ぶり2度目の優勝に導いたリッチー・マコウ。彼は優勝杯を2回手にした最初のキャプテンでもあります。

トウィッケナムで迎えた決勝戦では、オールブラックスがタスマニアのライバル、オーストラリアと対戦し、マコウ、そしてフライハーフ、ダニエル・カーターにとって国代表選手としてのキャリアの最後を飾るに相応しい結果を導きました。

3位決定戦では南アフリカがアルゼンチンを破りました。

ラウンド

 

 

勝者

スコア

敗者

準々決勝

南アフリカ

23-19

ウェールズ

準々決勝

ニュージーランド

62-13

フランス

準々決勝

アルゼンチン

43-20

アイルランド

準々決勝

オーストラリア

35-34

スコットランド

準決勝

ニュージーランド

20-18

南アフリカ

準決勝

オーストラリア

29-15

アルゼンチン

3位決定戦

南アフリカ

24-13

アルゼンチン

決勝

ニュージーランド

34-17

オーストラリア

 

ラグビーワールドカップ2011

ラウンド

 

 

勝者

スコア

敗者

準々決勝

ウェールズ

22-10

アイルランド

準々決勝

フランス

19-12

イングランド

準々決勝

オーストラリア

11-9

南アフリカ

準々決勝

ニュージーランド

33-10

アルゼンチン

準決勝

フランス

9-8

ウェールズ

準決勝

ニュージーランド

20-6

オーストラリア

3位決定戦

オーストラリア

21-18

ウェールズ

決勝

ニュージーランド

8-7

フランス

 
ラグビーワールドカップ2007

ラウンド

 

 

勝者

スコア

敗者

準々決勝

イングランド

12-10

オーストラリア

準々決勝

フランス

20-18

ニュージーランド

準々決勝

南アフリカ

37-20

フィジー

準々決勝

アルゼンチン

19-13

スコットランド

準決勝

イングランド

14-9

フランス

準決勝

南アフリカ

37-13

アルゼンチン

3位決定戦

アルゼンチン

34-10

フランス

決勝

南アフリカ

15-6

イングランド

 

ラグビーワールドカップ2003

ラウンド

 

 

勝者

スコア

敗者

準々決勝

ニュージーランド

29-9

南アフリカ

準々決勝

オーストラリア

33-16

スコットランド

準々決勝

フランス

43-21

アイルランド

準々決勝

イングランド

28-17

ウェールズ

準決勝

オーストラリア

22-10

ニュージーランド

準決勝

イングランド

24-7

フランス

3位決定戦

ニュージーランド

40-13

フランス

決勝

イングランド

20-17 AET

オーストラリア

 

ラグビーワールドカップ1999

ラウンド

 

 

勝者

スコア

敗者

準々決勝プレーオフ

イングランド

45-24

フィジー

準々決勝プレーオフ

スコットランド

35-20

サモア

準々決勝プレーオフ

アルゼンチン

28-24

アイルランド

準々決勝

オーストラリア

24-9

ウェールズ

準々決勝

南アフリカ

44-21

イングランド

準々決勝

フランス

47-26

アルゼンチン

準々決勝

ニュージーランド

30-18

スコットランド

準決勝

オーストラリア

27-21

南アフリカ

準決勝

フランス

43-31

ニュージーランド

3位決定戦

南アフリカ

22-18

ニュージーランド

決勝

オーストラリア

35-12

フランス

 
ラグビーワールドカップ1995

ラウンド

 

 

勝者

スコア

敗者

準々決勝

フランス

36-12

アイルランド

準々決勝

南アフリカ

42-14

サモア

準々決勝

イングランド

25-22

オーストラリア

準々決勝

ニュージーランド

48-30

スコットランド

準決勝

南アフリカ

19-15

フランス

準決勝

ニュージーランド

45-29

イングランド

3位決定戦

フランス

19-9

イングランド

決勝

南アフリカ

15-12 AET

ニュージーランド

 

ラグビーワールドカップ1991

ラウンド

 

 

勝者

スコア

敗者

準々決勝

スコットランド

28-6

(西) サモア

準々決勝

イングランド

19-10

フランス

準々決勝

オーストラリア

19-18

アイルランド

準々決勝

ニュージーランド

29-13

カナダ

準決勝

イングランド

9-6

スコットランド

準決勝

オーストラリア

16-6

ニュージーランド

3位決定戦

ニュージーランド

13-6

スコットランド

決勝

オーストラリア

12-6

イングランド

 

ラグビーワールドカップ1987

ラウンド

 

 

勝者

スコア

敗者

準々決勝

ニュージーランド

30-3

スコットランド

準々決勝

オーストラリア

33-15

アイルランド

準々決勝

フランス

31-16

フィジー

準々決勝

ウェールズ

16-3

イングランド

準決勝

フランス

30-24

オーストラリア

準決勝

ニュージーランド

49-6

ウェールズ

3位決定戦

ウェールズ

22-21

オーストラリア

決勝

ニュージーランド

29-9

フランス