過去の大会
ニュージーランドは女子ラグビーワールドカップ史上で最も成功を収めたチームで、1998年、2002年、2006年、2010年、2017年と決勝まで進出した5大会全てで世界タイトルを手にしています。イングランドが決勝進出できなかったのは1度だけ。1998年大会で3位に終わりましたが、1994年と2014年の2大会では優勝トロフィーを掲げています。この2チーム以外で優勝を遂げたのはアメリカで、第1回1991年大会のことでした。
アイルランドで行われた2017年大会では世界とのつながりが増えて、ビデオ視聴は合計4500万回を数え、5日間の試合日合計では7000万以上を記録。公式サイトの閲覧は230ヵ国75万人を超えました。
大会はまた、インパクトを長く残し、ニールセンがワールドラグビーのために行った調査によれば、2017年大会をフォローした71パーセントの人が報道を通じて女子ラグビーに対してよりポジティブな見方に変わっており、3分の2の人が女子ラグビー全般についてより大きな興味を感じるようになったと回答しています。
決勝は大会のクライマックスであり、英国でのITV1での放送ではピーク時のTV視聴者数は265万人を数えました。これは女子ラグビーワールドカップ決勝では最高の数字です。2017年大会最大の呼び物として、視聴者やベルファストのキングスパンスタジアムを埋めた17,115人の観客を失望させることはありませんでした。
全大会一覧
開催年 | 開催国 | 決勝戦 | 3位決定戦 | ||||
1991 | ウェールズ | アメリカ | 19-6 | イングランド | ニュージーランド、フランス | ||
1994 | スコットランド | イングランド | 38-23 | アメリカ | フランス | 27- 0 | ウェールズ |
1998 | オランダ | ニュージーランド | 44-12 | アメリカ | イングランド | 31-15 | カナダ |
2002 | スペイン | ニュージーランド | 19-9 | イングランド | フランス | 41-7 | カナダ |
2006 | カナダ | ニュージーランド | 25-17 | イングランド | フランス | 17-8 | カナダ |
2010 | イングランド | ニュージーランド | 13-10 | イングランド | オーストラリア | 22-8 | フランス |
2014 | フランス | イングランド | 21-9 | カナダ | フランス | 25-18 | アイルランド |
2017 | アイルランド | ニュージーランド | 41-32 | イングランド | フランス | 31-23 | アメリカ |
1991年大会
ホスト国:ウェールズ
期間:4月6~14日
プール1—ニュージーランド、カナダ、ウェールズ
プール2—フランス、スウェーデン、日本
プール3—アメリカ、オランダ、ソビエト連邦
プール4—イングランド、スペイン、イタリア
第1回大会には12チームが出場。開催国ウェールズ、カナダ、イングランド、フランス、イタリア、日本、オランダ、ニュージーランド、スペイン、スウェーデン、アメリカ、ソビエト連邦で、3チームずつ4つのプールに分かれて戦いました。
イングランド、フランス、ニュージーランド、アメリカが準決勝へ進出しましたが、フランスとニュージーランドの世界王者への挑戦はそこで終了。カーディフ・アームズ・パークでの決勝では、イングランドがジル・バーンズのペナルティトライで前半6-3で折り返したものの、アメリカを止めることはできず、後半はアメリカが一方的に19得点を積み重ねて、最初で最後のトロフィーを獲得した。同国男子チームが1024年のオリンピックで金メダルを獲得して以来の栄冠でした。
ノックアウトステージ
勝者 スコア 敗者
準決勝 アメリカ 7-0 ニュージーランド
準決勝 イングランド 13-0 フランス
3位決定戦 開催されず ニュージーランドとフランスが3位
決勝 アメリカ 19-6 イングランド
1994年大会
ホスト国:スコットランド
期間: 4月11~24日
プールA—アメリカ、スウェーデン、日本
プールB—イングランド、スコットランド、ロシア
プールC―フランス、アイルランド、スコットランド学生選抜
プールD—カナダ、ウェールズ、カザフスタン
第1回1991年大会のように、男子ラグビーワールドカップと開催年が重なることを避けるために、女子の第2回大会は第1回から3年後にエジンバラで開催され、カザフスタン、アイルランド、開催国スコットランドが女子ラグビーワールドカップにデビューしました。
当初はアムステルダムで開催される予定でしたが、オランダが辞退。スコットランドが大会開幕まで3カ月となって代替開催に名乗りをあげました。スペインが出場を辞退したため、スコットランドは学生選抜を編成して出場し、12チーム形式を維持しました。
アメリカとイングランドが順調に勝ち進み、1991年大会決勝進出チームが今大会でもタイトル候補であることは、早い段階から明らかでした。しかし今回は、非常に楽しめる展開の中でイングランドが前回大会のリベンジを遂げ、38-23で勝利を収めました。
ノックアウトステージ
勝者 スコア 敗者
準々決勝 アメリカ 76-0 アイルランド
準々決勝 イングランド 24-0 カナダ
準々決勝 ウェールズ 8-0 スコットランド
準々決勝 フランス 99-0 日本
準決勝 アメリカ 56-15 ウェールズ
準決勝 イングランド 18-6 フランス
3位決定戦 フランス 27-0 ウェールズ
決勝 イングランド 38-23 アメリカ
1998年大会
ホスト国: オランダ
期間: 5月1~16日
プールA—イングランド、カナダ、オランダ、スウェーデン
プールB—アメリカ、スペイン、ウェールズ、ロシア
プールC—ニュージーランド、スコットランド、イタリア、ドイツ
プールD—フランス、オーストラリア、カザフスタン、アイルランド
当初の意向から4年、アムステルダムが16チームに拡大された大会を開催。初出場のドイツとオーストラリア、さらに1994年大会を逃したニュージーランドとスペインが世界大会に復帰しました。
ニュージーランドは仲間を奮い立たせるファラ・パーマー主将の下で瞬く間に頭角を現すと、優勝経験国のアメリカとイングランドを脅かす存在となり、カナダを加えた4チームがベスト4に進出しました。
前回大会優勝のイングランドは、プールステージで容赦のない圧倒的なパフォーマンスを披露。ニュージーランドもドイツを相手に、記録となる134-6の勝利を収め、誰もが期待する準決勝での顔合わせが実現しました。しかし両者の対戦はニュージーランドの44-11という一方的な展開となり、その後のニュージーランド支配の始まりを示すものとなりました。
準決勝のもう一試合では、アメリカがカナダに目を見張るようなゲームを見せたものの、ニュージーランドとの決勝では一転して反撃ができず。ヴァネッサ・クーテスが4トライを決めて44-12とし、ニュージーランドの3度目の世界制覇に貢献しました。
ノックアウトステージ
勝者 スコア 敗者
準々決勝 イングランド 30-13 オーストラリア
準々決勝 アメリカ 25-10 スコットランド
準々決勝 カナダ 9-7 フランス
準々決勝 ニュージーランド 46-3 スペイン
準決勝 ニュージーランド 44-11 イングランド
準決勝 アメリカ 46-6 カナダ
3位決定戦 イングランド 31-15 カナダ
決勝 ニュージーランド 44-12 アメリカ
2002年大会
ホスト国: スペイン
期間: 5月12~26日
プールA—ニュージーランド、オーストラリア、ウェールズ、ドイツ
プールB—フランス、アメリカ、カザフスタン、オランダ
プールC—イングランド、スペイン、イタリア、日本
プールD―カナダ、スコットランド、サモア、アイルランド
スペインが開催国を務めた大会で、スキルとフィットネスの点で素晴らしいスタンダードが新たに示された大会となりました。サモアがアイルランドに22-0で勝利して夢のような大会デビューを飾ったものの、イングランドとニュージーランドの決勝進出は揺るぎのないことのようでした。
バルセロナのオリンピックスタジアムで行われた決勝は、真夜中を迎えるニュージーランドで生中継されました。スタンドで見守った8000人の観客は、戦術的意識や、プレーとアタッキングラグビーへの強固な思い併せた存在と見なされ、ニュージーランドは19-9で勝利を収めてタイトル防衛に成功しました。
ノックアウトステージ
勝者 スコア 敗者
準決勝 ニュージーランド 30-0 フランス
準決勝 イングランド 53-10 カナダ
3位決定戦 フランス 41-7 カナダ
決勝 ニュージーランド 19-9 イングランド
2006年大会
ホスト国: カナダ
期間: 8月31日~9月17日
プールA—ニュージーランド、スペイン、カザフスタン
プールB—イングランド、オーストラリア、アイルランド
プールC—フランス、アメリカ、南アフリカ
プールD—カナダ、スコットランド、サモア
2006年大会はヨーロッパ圏外で行われた初の大会となり、南アフリカがカナダでの大会でデビューを遂げ、出場12チームによって再びレベルアップした大会となりました。準決勝進出チームはお馴染みの顔ぶれとなりましたが、ここでもフランスとカナダがニュージーランドとイングランドによる決勝顔合わせを阻止することはできませんでした。
ニュージーランドのバックスは女子ラグビーを新たなレベルに押し上げ、特にアミリア・マーシュ、ステファニー・モルティメール、クレア・リチャードソンは大会を通して素晴らしい活躍を見せました。決勝は僅差での戦いとなり、マーシュが試合残り時間がなくなる中で得点を決めて25-17とし、引退する代表キャプテンのパーマーを完璧な形で送り出しました。
ノックアウトステージ
勝者 スコア 敗者
準決勝 ニュージーランド 40-10 フランス
準決勝 イングランド 20-14 カナダ
3位決定戦 フランス 17-8 カナダ
決勝 ニュージーランド 25-17 イングランド
2010年大会
ホスト国: イングランド
期間: 8月20日~9月5日
プールA: ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、ウェールズ
プールB: イングランド、アイルランド、アメリカ、カザフスタン
プールC: フランス、カナダ、スコットランド、スウェーデン
イングランドが2010年にホストを務め、ニュージーランドとの決勝での3連敗阻止を期して準備に多大な投資をしました。上位討ちのアプセットもいくつか見られ、アイルランドがアメリカを倒し、南アフリカがウェールズに競り勝ち、オーストラリアが初の準決勝進出を決めました。
トゥイッケナム・ストゥープで満員の観客の前で行われた決勝は先の読めない展開となり、最後の最後まで接戦となりました。ニュージーランドは3枚のイエローカードを受け、両チームともに1トライ1コンバージョンを決める展開となりましたが、勝敗を分けたのはケリー・ブレイザーのペナルティで、ニュージーランドが4度目の栄冠を手にしました。
ノックアウトステージ
勝者 スコア 敗者
準決勝 ニュージーランド 45-7 フランス
準決勝 イングランド 15-0 オーストラリア
3位決定戦 オーストラリア 22-8 フランス
決勝 ニュージーランド 13-10 イングランド
2014年大会
ホスト国: フランス
期間: 7月27日~8月19日
プールA—イングランド、カナダ、スペイン、サモア
プールB—アイルランド、ニュージーランド、アメリカ、カザフスタン
プールC—フランス、オーストラリア、ウェールズ、南アフリカ
前々回の女子ラグビーワールドカップはフランスの首都で行われ、大会史上最大のアプセットを目にすることになりました。アイルランドが17-14でニュージーランドを下して、ニュージーランドの20戦負けなし記録を阻止。ニュージーランドは初めて準決勝進出を逃したのです。
アイルランドは開催国フランス、イングランド、カナダとともに初のベスト4入りで、この中から1チームは初の決勝進出となることが決まりました。カナダは開催国フランスとの対戦でマガリ・ハーヴェイが驚嘆のトライを決めて、決勝へ進出した4チーム目となりました。しかし、王座に就いたのはイングランドで、21-9で勝利。前回優勝から実に20年ぶりのことでした。
ノックアウトステージ
勝者 スコア 敗者
準決勝 イングランド 40-7 アイルランド
準決勝 カナダ 18-16 フランス
3位決定戦 フランス 25-18 アイルランド
決勝 イングランド 21-9 カナダ
2017年大会
ホスト国: アイルランド
期間: 8月9~26日
プールA—ニュージーランド、カナダ、ウェールズ、香港
プールB—イングランド、アメリカ、スペイン、イタリア
プールC—フランス、アイルランド、オーストラリア、日本
前回のラグビーワールドカップではアイルランドがホスト役を務め、香港が最高峰大会への出場20チーム目となり、日本が15年ぶりに復帰しました。どちらもプールステージで1勝も挙げられずにダブリンでの大会を去り、ニュージーランドとイングランド、アメリカ、フランスが準決勝へ進みました。ホスト国のアイルランドは3年前の大会ではファンを感動させたものの、今回はプール戦突破を決める試合でフランスに5-21で敗れて、8位で大会を終えました。
2017年大会ではノックアウトステージは北のベルファストで行われ、キングスパンスタジアムで準決勝と決勝が開催されました。イングランドはフランスには手に余る相手となり、ニュージーランドはアメリカを圧倒して、四度目となる決勝の顔合わせが決まりました。大会記録となる17,115人観客が見守る前で、決勝の最優秀選手に選ばれたトカ・ナトゥアがハットトリックを決めて、ニュージーランドに5度目の優勝をもたらしました。
ノックアウトステージ
勝者 スコア 敗者
準決勝 イングランド 20-3 フランス
準決勝 ニュージーランド 45-12 アメリカ
3位決定戦 フランス 31-23 アメリカ
決勝 ニュージーランド 41-32 イングランド