現行のジャパンラグビートップリーグに代わって、2022年1月から国内最高峰のリーグとなる新リーグの概要が、日本ラグビーフットボール協会から発表された。

 国内リーグの発展と日本代表の強化、そして2019年ラグビーワールドカップで日本中が体感したラグビーへの熱狂を維持することを目的として、「世界最高峰のリーグ」(岩渕健輔日本協会専務理事)とすることを目指している。

新リーグ参加は、現行のトップリーグ所属の16チームと下位のトップチャレンジリーグ所属の9チームの合計25チーム。これを3部に分けて、それぞれでレギュラーシーズンを戦う。各ディヴィジョンによって構成チーム数と大会形式は異なり、年間消化試合数にも違いがあるが、勝点によって優勝を競い寝観順位を決定し、プレーオフは実施しない。また、シーズンの最後には各ディヴィジョン間の入れ替え戦を行い、自動昇降格はない。

 ディヴィジョン1は現行のトップリーグより4つ少ない12チームで、これを2つのカンファレンスに分けて「ホスト&ビジター」として2回戦総当たりを実施。さらにカンファレンス間の交流戦を1回戦総当たりで行い、レギュラーシーズンでは1チーム16試合をこなす予定だ。

さらに、シーズン最後には上位チームがクロスボーダーマッチと呼ばれる、海外リーグとの交流戦に臨み、下位4チームはディヴィジョン2上位4チームとの入れ替え戦に臨む。

 ディヴィジョン2は7チーム編成。2回戦総当たりを行い、その後上位4チームと下位3チームに分かれてそれぞれ1回戦総当たりを実施した上で、上位4チームはディヴィジョン1と、下位3チームはディヴィジョン3の上位3チームとの入れ替え戦にまわる。つまり、ディヴィジョン2全チームが入れ替え戦を経験するとしている。

 一方、ディヴィジョン3は6チーム編成。将来的には上のディヴィジョンに入ることを目指しているが、現状では参入条件を満たしていない企業や地域のチームで構成される。2回戦総当たりで上位3チームが入れ替え戦に臨むことになる。

 シーズンは1月から5月までとし、5月末のポストシーズンにクロスボーダーマッチや入れ替え戦を行う。クロスボーダーマッチの対戦相手については現在調整中で、今後発表される予定だ。

世界最高峰のリーグを目指す

日本協会の岩渕健輔専務理事は、「日本協会としては、将来ワールドカップを日本に招致して世界一になるという大きな目標を立てている。国内リーグを発展させることがその大きな要因になる」と言及。さらに、「代表チームが2019年ラグビールドカップ以上の成績を残すこと、そして、2019のような熱狂を身近な日常にしていくこと。これが新リーグ発足での大きなポイントになる」と言葉を続けた。

新たな試みとなるクロスボーダーマッチについては、「世界最高峰リーグとなることを目指している。そのために世界最高峰になる舞台を整えることが必要」と話し、世界基準を整える一環として、代表選手の強化へつなげたいという思惑を示した。

 ディヴィジョン1の編成チーム数や自動昇降格の不採用については、日本協会の谷口真由美新リーグ準備室長が「競った試合をファンに提供したい」という思惑を説明。また、戦力の均衡化を図るため、サラリーキャップ制の導入を検討中であることも明らかにした。

 各ディヴィジョンへのチームの割り振りは、今シーズンの競技成績に観客動員やSNSでの情報発信などファン獲得状況などの事業運営力を加味して決定される。

ただし、トップリーグでは新型コロナウィルス感染拡大の影響で今シーズンの開幕が延期されたばかり。万が一、今シーズンのリーグ戦が不成立となった場合には、、2018年から過去5シーズンの成績を判断材料とするとしている。

谷口室長は審査において公平性を重視しているとして、コロナ禍で打ち切りとなった2020年と、ラグビーワールドカップで昇降格なしでの開催となった2019年を除外したとした。だが、外国人選手の獲得状況で大きな変化が見られる現状を反映するとは言いがたく、「ラストのトップリーグが開催されることを祈るしかない」と、今季開催への期待を示した。

 各チームのディヴィジョン分けと新リーグの名称は、今年6月に発表される予定だ。

新リーグ参加チーム:

 NECグリーンロケッツ、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス、NTTドコモレッドハリケーンズ、釜石シーウェイブス、キヤノンイーグルス、九州電力ニューデンヴォルテクス、近鉄ライナーズ、クボタスピアーズ、栗田工業ウォーターガッシュ、神戸製鋼コベルコスティーラーズ、コカ・コーラレッドスパークス、サントリーサンゴリアス、清水建設ブルーシャークス、中国電力レッドレグリオンズ、東芝ブレイブルーパス、トヨタ自動車ヴェルブリッツ、豊田自動織機シャトルズ、パナソニックワイルドナイツ、日野レッドドルフィンズ、ホンダヒート、マツダブルーズーマーズ、三菱重工相模原ダイナボアーズ、宗像サニックスブルース、ヤマハ発動機ジュビロ、リコーブラックラムズ。(五十音順)