3年後の9月にフランスで開幕するラグビーワールドカップ2023のプール戦で日本代表が戦う相手が判明。一夜明けた12月15日にオンライン会見に臨んだジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、「2023年大会の対戦相手が分かってワクワクしている」と話し、チーム強化の準備を具体化できると喜んだ。

 日本の対戦相手は2019年大会準優勝のイングランド、11月のトライネーションズでオールブラックスに勝利したアルゼンチンと、オセアニア第1代表とアメリカ第2代表という顔合わせだ。イングランドは前日本代表のエディ・ジョーンズ監督が指揮を執っているチームで、「特にイングランド戦は選手が楽しみにしている」とジョセフヘッドコーチは言う。

だが、イングランドとアルゼンチンはどちらも最近オールブラックスに勝利した強豪だ。日本代表指揮官は、「セットプレーで力のある2チームと同組で、どちらも体が大きくフィジカルの強さもある。我々にとっては大きな挑戦になる」と語ったが、その一方で、「我々は違うスタイルでプレーしていて、相手にとっては難しい要素があると思うので、イーブンなのではないか」と分析し、「我々はスクラム、ラインアウトの強化、モールでのディフェンスを上げなくてはならない」と述べた。

さらに、予選勝ち上がりの2チームについては、「我々も、つい最近までティア2にいたし、過去のワールドカップを見れば、どのチームも毎回のように成長していることが分かる。リスペクトして臨みたい」と話した。

 ジョセフヘッドコーチは来年1月下旬に来日の予定で、そこから1月16日に開幕するジャパントップリーグで選手をチェックしていくという。

来年夏に4試合を調整中

 日本代表は2020年には新型コロナウィルス感染症の世界的流行を受けて、国内外で予定していたテストマッチを全く実施できず、ほとんどの日本代表選手がプレーするジャパントップリーグも6節で打ち切られた。それだけに、日本代表指揮官は選手を実戦の舞台に戻すことが強化の第一歩だと話す。

 「選手たちは十分すぎるほどの休息をとった。今注力すべきことは選手たちをラグビーに戻してフォームをとり戻させることだ」とジョセフヘッドコーチは言う。

 日本は来年6月にはスコットランドでブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとの対戦が決まっているが、その前後に3試合、ティア1レベルとのテストマッチを調整中で、それをターゲットに4月下旬のトップリーグの第2ステージ終了を目途に、スコッドを招集して合宿を始める予定だ。

 ジョセフヘッドコーチは、「活動が軌道に乗れば、我々のラグビーも軌道に乗る。準備の時間はある」と語った。

 「我々はティア1のチームを相手に大量得点で勝てるチームでもないし、オールブラックスでも南アフリカではないので、イングランドやアルゼンチンを相手に勝とうとすれば、僅差の拮抗した試合展開になる。そういうメンタリティを持ったチームを作り、8強進出を目指す」と指揮官は話し、「日本は8強に行ける力があることは示している」と意気込んだ。

 また、2019年大会を最後に代表引退を表明したWTB福岡堅樹選手の不在を補うことを含めて、チーム全体で2023年大会へ向けて選手層に厚みを持たせることを課題の一つに挙げた。

 「チームの層を一段アップさせることが、この3年間の大きなチャレンジになる。それができれば2023年大会にはよいレベルの選手を揃えることができる」と語った。

イングランド代表HC、「日本は世界で最も成長している」

一方、日本と対戦するイングランド代表のエディ・ジョーンズ監督はドロー後の会見で日本と対戦する組み合わせについて、「アルゼンチンはワールドカップで素晴らしい記録を残していて、2020年はオールブラックスを相手に最もフィジカルな試合をしたし、日本は世界で最も成長しているチームだ。この組からどこが突破するか、大きなチャレンジになる」と指摘する。

「そこに(予選突破有力候補として)トンガが入ってくると、彼らワールドカップ史上最も大きなアプセットを演じてきたチームだ。厳しいプールだ」と語り、「スタイルやフィロソフィーという点では最も対照的だろうから、最も興味深い組み合わせだろう」と分析した。

2015年大会で日本代表を率いて南アフリカ戦の勝利など日本初のワールドカップ3勝をマークしたジョーンズ監督は、日本と対戦の対戦に「日本がワールドカップで挙げてきた勝利のハイライト集を見るのは気分がいいものだが、タフな試合になる。彼らは違ったプレーをしていて、我々は日本のようなチーム相手に多くのチャンスは手にできない。だから、本当にしっかりと準備をしなければならない」と話し、自らが率いた頃からバージョンアップしているチームに対して警戒感を隠さなかった。

とはいえ、イングランドは新型コロナウィルス感染拡大による長い中断をはさんで行われたシックスネーションズと先日のオータムネーションズカップに優勝した。その間に9人が代表デビューを飾った。

この展開にジョーンズ監督は、「いい進展だ」と手ごたえを示し、「10試合中9試合に勝利したものの、望んでいる最高レベルではなかった。つまり、もっと良くなる余地があるということだ」と語り、3年後のワールドカップへ向けたチームづくりに手ごたえと自信を見せていた。