「ラグビーから引退する時が来たようだ」

 パナソニックの退団発表から少し遅れて、ポーコック選手が自身のSNSにそう投稿し、現役引退を表明した。

今年32歳のポーコック選手がパナソニックに加入したのは2016年。2008年にオーストラリア代表で初キャップを獲得した当時の指揮官、ロビー・ディーンズ監督が率いるチームへの合流で、それ以来、ブランビーズでプレーした2018年を除く3シーズンをパナソニックで過ごした。

その間、チームは優勝こそなかったものの、2016-2017シーズンにはトップリーグ3位で日本選手権に準優勝、その翌シーズンにはトップリーグと日本選手権で準優勝。自身は2017-2018シーズンにリーグのベストフィフティーンにも選出された。

新型コロナウィルス感染拡大を受けて6節で中断となった今季は、チームは6戦全勝でトップを走っていた。

リーグをけん引するチームの中で、ポーコック選手はボール争奪戦では世界屈指ともいわれ、圧倒的な強さを示してきた。また、その言動は、パナソニックの若手選手らにとって示唆に富み、指標となるものでもあった。

ポーコック選手はクラブを通じて、「3シーズンにわたってパナソニック・ワイルドナイツの一員であったことに、心より感謝している。このクラブを代表してたくさんの素晴らしいアスリート、男たちと一緒にプレーできたことを誇りに思う」とコメント。

ディーンズ監督についても、「2008年からワラビーズとして最初の機会を与えて、僕のキャリアに多大な影響をもたらしてたディーンズ監督と、さらに多くの時間を共有できたことは正真正銘のハイライトだった」と語った。

昨年のワールドカップを最後に代表から退いたが、2011年、2015年と併せて3度のワールドカップ出場を経験し、代表83キャップを獲得した。代表キャリアについては自身のSNSで、「ジンバブエのグウェル育ちの子どもにとって、ラグビーをプレーしてワールドカップで優勝することは夢だった。自分にその機会があったことを本当にありがたく思っている」と述べている。

一方、パナソニックに在籍中に日本ラグビーの変化も感じていたようで、ポーコック選手は「日本のラグビーがどんどん強くなっていく時代に、この国でプレーできたことはエキサイティングで、自分にラグビーという競技について今までと違う観点や機会を与えてくれた」と語った。

ワイルドナイツが拠点とする群馬県太田市についても、「太田市での生活が大好きだった。本当にフレンドリーでホスピタリティに溢れた人々に会えた」と振り返り、「ラグビーキャリアを終えるにあたり、自分の次のステージを楽しみにしている」とコメントした。

 なお、パナソニックはU20オーストラリア代表を経験し、レベルズでスーパーラグビーを戦った21歳の選手2人、LOエセイ・ハアンガナ選手とユーティリティバックスのセミシ・トゥポウ選手の獲得も発表した。