新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて活動休止に入った3月下旬から約3カ月。来年7月に1年延期された東京オリンピックへ向けて、男子セブンズ日本代表候補が再び動きだした。

感染防止対策として、代表候補選手28人が少人数のグループで東京、大阪、福岡など全国5か所に分散して練習。長いブレーク明けであることを考慮して、コンディショニング中心の調整になる。7月18日までの約3週間、各グループが曜日を変えて週に1回ずつ行うことで、コーチングスタッフも必要に応じて巡回できる仕組みだ。初日は午前中に東京で、午後に福岡で行われた。

 東京都内の練習に参加した小澤大選手(トヨタ自動車/日本ラグビーフットボール協会)は練習後にオンラインで取材に対応。練習では感染リスク避けることを念頭に、選手間の距離をとり、声のボリュームを下げるなど、気を使いながら調整したという。「やりにくい部分はあるにはあるが、感染してしまうと今後の活動もできなくなる」と気を引き締める。

自身の動きについては、「動けたかと思うが、もっとレベルアップしていかないと。徐々に上げていって、次に全員が集合した時にはもっと良い状態に」と手ごたえも覚えたようで、調整のイメージを膨らませている。

 チームの活動休止期間中には、東京オリンピック延期が決まり、その後、日本が4位に入った2016年リオデジャネイロ・オリンピックで主将を務めた桑水流裕策選手(コカ・コーラ)をはじめ、福岡堅樹選手(パナソニック)と橋野晧介選手(キヤノン)という、4年前に共に戦った3選手が日本代表候補から離脱。東京オリンピックを諦める決断をした。

小澤選手は、「今まで長い間一緒にやってきたので、一緒にオリンピックの舞台に立ちたかった」と残念がったが、「自分たちが結果を出すことで恩返しができる。離脱した選手のために頑張っていきたい」と語った。

 大会の延期には小澤選手も当初は戸惑い、「切り替えがなかなかできなかった」というが、家族と話をして「『1年後にメダルを獲る』と、もう1回思えた」と言う。

 「1年延期でメダルを獲るために良い準備ができるのではと思うが、世界のレベルは上がっているし、この1年でさらに上がると思う。そこをどう埋めていくかが今後の課題」と指摘した。

 問題はいつから試合ができるかだ。世界各地の感染状況には地域差があり、ニュージーランドやオーストラリアなど国内で試合が再開した地域もある。欧州などでは渡航制限緩和の動きが報じられているが、日本をはじめ、多くの地域ではまだ国際間の移動が難しく、試合への動きは依然として不透明だ。

 小澤選手は、「いつから(試合を)できるかわからないので、正直厳しい」と気持ちの持ち方や準備の難しさを認めるが、一方で「自分たちはメダルを獲るためにやるしかない」と話し、来年の大会への強い思いもにじませた。今はまず、その時のために体づくりに取り組むだけだ。

 チーム全体での活動は、東京オリンピック開幕一年前の7月下旬に予定されている。

 

男子セブンズ日本代表候補 練習参加メンバー

<北海道>

セル ジョゼ(北海道バーバリアンズ/日本ラグビーフットボール協会)

<東京>

石田吉平(明治大学)、大石力也(NEC)、小澤大(トヨタ自動車/日本ラグビーフットボール協会)、加納遼大(明治安田生命)、合谷和弘(クボタ/日本ラグビーフットボール協会)、後藤輝也(NEC)、カヴァイア・タギペダウア(白鷗大学)、フィシブナ・トゥイアキ(セコム)、中川和真(キヤノン)、中澤健宏(リコー)、野口宜裕(セコム)、羽野一志(NTTコミュニケーションズ)、藤田慶和(パナソニック/日本ラグビーフットボール協会)、ヘンリー ブラッキン(NTTコミュニケーションズ)、ボーク コリン雷神(リコー/日本ラグビーフットボール協会)、松井千士(サントリー)

<名古屋>

坂井克行(豊田自動織機)、ティモ・スフィア(朝日大学)、ソシセニ・トコキオ(豊田自動織機)、彦坂匡克(トヨタ自動車)、本村直樹(ホンダ)

<大阪>

トゥキリ ロテ(近鉄/日本ラグビーフットボール協会)、林 大成(日本ラグビーフットボール協会)

<福岡>

石垣航平(コカ・コーラ)、副島亀里ララボウラティアナラ(コカ・コーラ)、津岡翔太朗(コカ・コーラ)、吉澤太一(コカ・コーラ)

 Photo: JRFU