• ラグビー界は、新型コロナウイルスの感染リスクの包括的な削減を目指し、エビデンスに基づいたアプローチを駆使しながら取り組む。
  • 60以上の試合を詳細に分析した結果、任意で選択できる臨時的COVID−19試験的ルールの実施を承認した。
  • 加盟協会または大会運営者が当該国の感染状況、また政府の追加的措置に基づき、試験的実施ルールが必要と考えられる場合に適用できる。
  • これらの試験的実施ルールの適用により、スクラムのコンタクト量を30パーセント以上、ラック時のコンタクト量を最大25パーセント、モール時のコンタクト量を最低50パーセント低減することが可能。
  • ボールの衛生管理を行う、また唾を吐く行為を禁止するなどの追加的な衛生措置が既に承認された。

ワールドラグビー の執行委員会は、任意的試験的実施ルール10項目について承認し、加盟協会は必要に応じて新型コロナウイルス感染リスクの低減ルールを適用できる。

これらの臨時試験的実施ルールは、スクラム、タックル、ラック、そしてモールに関するもので、試合での衛生管理対策上のベストプラクティス集と並行して承認されました。これらの対策は、一般的に感染リスクが最も高いと見られる接触アクティビティの蓄積リスクを削減することを目的にしています。

加盟協会は、試験的実施ルールうちのいずれか(複数可)を必要に応じて、今月出版した World Rugby return-to-play guidance に準じて国内のエリートまたはコミュニティーレベルの試合に適用することができます。

新型コロナウイルスの感染状況は常に変化しており、加盟協会がこれらの試験的実施ルールを適用する場合は、必ず当該国の要件及び政府が発動する勧告や司令に基づいて行うものとします。

この試験的実施ルールは、世界保健機関(WHO)のガイダンス(感染者との距離1メートル以内での接触が述べ15分以上あった場合に感染リスクが高いと定義)の情報に基づいています。ラグビーにおいて考慮すべき重要点は:

  • 一般的には、濃厚接触そのものよりも、持続的な接触が感染のリスクを高めると考えられている。
  • また、濃厚接触による感染リスクは屋内よりも屋外での方が低いと考えられている。
  • 試合中の感染防止には、濃厚接触と身体的距離の両方を考慮する。エビデンスに基づく更なるリスク削減では、接触アクティビティに的を絞るべきである。
  • スクラム、タックル、ラインアウト、ラック、そしてモールなどそれぞれが接触を伴うアクティビティではあるものの、通常述べ15分以内であることから、リスクの更なる低減の余地がある。
  • 加えて、衛生措置、スクリーニング、検査、ワールドラグビー の「プレーへの復帰に関わるガイダンス」の実行など試合管理のベストプラクティスを遂行することにより感染リスクが低減できる。
  • スポーツ活動は、政府の勧告に従い、安全また適切と判断された場合にのみ再開すること。

試験的実施ルールの任意オプション全般を読みたい場合はこちらをクリック >>

試験的実施ルールは、コーチ、プレーヤー、マッチオフィシャル、医療従事者、そして法律専門家が構成する専門部会であるLaw Review Group (LRG競技規則レビューグループ)が60の試合を細かく分析して検討しました。新型コロナウイルスの感染状況と管理の方法が国によって様々であることから、LRGはこれを世界的試験的実施ルールとせず、任意で適用すると決断しました。

スクラムでの接触と時間を制限する、タックルの高さを低くする、またラックとモールからボールを出す時間のスピードアップなど包括的な試合分析によるエビデンスベースのアプローチを用いこの試験的実施ルールを策定することができました。

この試験的実施ルールが提案するのは、スクラムのリセット(組み直し)の禁止、ラックとモールに参加するプレーヤーの人数の制限、スクラムとラック内でのボールのプレー時間を5秒から3秒に短縮、モールへの参加は一回のみとする、というものです。このようなアプローチによってタイトファイブの濃厚接触を30パーセント以上、ラックでのリスクは最大25パーセントまで、またモールでのリスクも最少50パーセントまで下げることができます。

ワールドラグビーのビル・ボーモント会長は次のように述べています。「ワールドラグビーはエビデンスに基づいた怪我・感染症予防対策を講じることにコミットしており、このようなアプローチを提案してくれた優秀で前向きな、また実効的な医療従事者・研究チームに恵まれていることを幸せに思います。」

「ラグビーファミリーの健康と幸福は最も重要です。ワールドラグビー は、試合上リスクと考えられる分野について徹底的に評価を行いました。この分析により、リスクのある領域やプレーヤーのポジションに関するエビデンスベースの評価を行うことができるようになり、今月の初頭に出版したプレーへの復帰に関する包括的なガイダンスを更に充実させる、競技規則の一時的改定の策定が実現しました。加盟協会はこれらの改定規則の全て、またはいずれかを当該国政府の新型コロナウイルス感染防止に関する司令に従い、国内で行う試合に適用することができます。」

「全レベルにおけるラグビーの安全なプレーへの復帰を可能にするために、このプロセスを実践してくださる皆さまの強い支持に感謝いたします。」

オンフィールドにおける競技規則・審判の改定に加え、WHO及びワールドラグビー のガイダンスに則ったプレー/トレーニングでの衛生措置も奨励しています:

  • 試合前、試合後で必ず手と顔を洗う。
  • 試合前、試合中、試合後で定期的にボールを洗う。
  • 各自専用の水筒、飲料水ボトルを用意する。共用で使用しない。
  • できる限り、ハーフタイムでジャージ、パンツ、ヘッドギアを替える。
  • 濃厚接触を招くようなハドルミーティングや集まって勝利を祝うなどの行為を避ける。
  • 唾を吐く、鼻をかむ行為を避ける。

トレーニングでの対策措置の勧告

  • フォワード:8人スクラムなど感染リスクの高いアクティビティは、マシーンを使って感染を防止し、トレーニングは個別のスクラムパックで行う。
  • スクラムとモールの練習は、トレーニングセッションの終盤で行い、可能であれば「休養日」の前日に行い、集団練習までの24〜48時間を空けるのが好ましい。
  • 試合後48時間は感染リスクの高いトレーニングを避けること。