昨年秋のラグビーワールドカップ後、日本代表にとって初のテストマッチとなるはずだった夏の3試合が、新型コロナウィルス感染拡大の影響で見送られることになった。

 対象となったのは、6月27日(土)のウェールズ代表戦(静岡エコパスタジアム)、7月4日(土)のイングランド代表戦との第1戦(昭和電工ドーム大分)と、同11日(土)の第2戦(ノエビアスタジアム神戸)だ。

 昨年のワールドカップで準優勝したイングランドは、2015年ワールドカップで日本代表を率いたエディ・ジョーンズヘッドコーチが率いており、一方のウェールズも4位に入った強豪で、いずれも注目の対戦となっていた。

 この日程での中止決定について日本ラグビーフットボール協会は、日本だけでなく世界で流行している新型コロナウィルス感染に収束が見られない現状に、ワールドラグビー、ウェールズ協会、イングランド協会と協議を重ねた結果、「試合に向けた万全な準備と安全な運営が担保できない」と説明した。

ワールドラグビーもこの日発表した7月の各国代表戦の延期についてのリリースで、感染拡大を受けて各国で行っている渡航制限や検疫の問題があり、国際間の移動を伴う場合に選手の準備に懸念が生じると指摘している。

 なお、今回見送られた日本代表3試合の新たな日程での開催については、日本協会では各国の状況などを踏まえながら「関係当事者間で検討を続けていく」としている。

ジョセフHC、“やむを得ない”

 今回の決定を受けて、現在ニュージーランドに帰国中のジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチは日本協会を通じて、「ウェールズ代表とイングランド代表との貴重な対戦機会が失われ、今年の日本代表活動を開始できないことは残念ですが、世界的なコロナウィルスの感染状況を考えると、やむを得ないことであり、今は家族とともに家にいる時間だと考えています」とコメントした。

指揮官は、選手たちにはコンディショニングのためのトレーニングメニューを渡してあると明かし、「何よりも大切なのは、このとても困難な時に、彼らが安全に、そして健康で家族とともにいることです」と、選手たちの安全優先へ気遣いを示した。

そして、日本のファンに向けても「皆さまの健康をお祈りしつつ、また近くお目にかかれることを楽しみにしています。ともに、この難局を乗り切っていきましょう」と述べている。

日本協会の森重隆会長は、「多くの皆さまに楽しみにしていただいている中、6月と7月に予定していたウェールズ代表戦とイングランド代表戦が中止になったことは残念であります。しかしながら、何よりも今は関係者一同が一丸となって新型コロナウィルス感染拡大防止に努める時期と考えております。そして、安全な環境のもと、万全の準備をもって、グラウンドで皆さまを笑顔でお迎えしたいと思います。一日も早い事態の収束と、皆さまのご健康を心よりお祈りしております」とコメントした。