新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて、現在中断しているジャパントップリーグ2020の今季残り試合が打ち切りとなった。

 リーグは中止決定理由について「ご来場のお客様、選手、関係者の健康と安全の確保」、世界的な感染拡大を受けてニュージーランド、オーストラリアを含めた「各国政府が自国民へ即時帰国を呼びかけたことで所属選手が多数帰国すること」、また、各チームが企業スポーツとしてリーグに加盟・活動している関係から「選手・スタッフが感染した際に企業に与える影響が非常に大きいこと」の3点を挙げ、今回の決断に至ったとしている。

 ジャパントップリーグの太田治チェアマンは、「ファンの皆様と選手ファーストの観点、チーム及び関係者の皆様の安心安全の観点により、苦渋の決断ではありますが、トップリーグ2020のすべての試合を中止することとしました」とコメント。

「再開を楽しみにお待ちいただいておりましたファンの皆様、選手・関係者の皆様には大変申し訳なく思いますが、何卒ご理解のほど、お願い申し上げます」と謝罪し、今回の決定について理解を求めた。

 今季のリーグ戦は昨秋のラグビーワールドカップ2019日本大会の開催のために、例年よりも遅れて1月12日から5月9日までの開催予定で開幕。2月22、23日の第6節まで各地で展開された。

しかし、その翌週になると、政府の感染症専門家会議が「感染拡大か阻止か、ここ1~2週間が瀬戸際」とする見解を発表。これを受けて政府もスポーツなどの大規模イベントの開催を自粛するように要請。ラグビーだけでなく、サッカーのJリーグやプロ野球が開催を見合わせる中、ラグビートップリーグも3月8日までの2週間分の試合を延期した。

その後さらに、中断中の選手の違法薬物使用容疑での逮捕を受けて、リーグは選手へのコンプライアンス教育徹底のためもあり、3月29日の第10節までを休止。4月中の再開を目指していた。だが、感染は欧州を中心に世界規模となり、収まる様子が見られず、残り試合を見送ることとなった。

 今回の6節での打ち切りでリーグ不成立となり、今季の順位は確定しない。ちなみに、パナソニックと神戸製鋼が6戦6勝でトップ争いを繰り広げていた。

予定では、シーズン最後に日本選手権が5月23日より開催され、リーグ戦上位4チームが同大会への出場資格を得ることになっていたが、今回の中止により、同選手権出場チームの選出方法は別途設けられることになった。詳細は決定次第発表される。

 太田チェアマンは、「今後は新型コロナウィルスの収束を願うとともに、社会情勢を見ながら、5月の日本選手権に向けた新たな大会を模索して参ります」とコメントしている。

 今季のトップリーグは、昨秋のワールドカップで初の8強進出を決めた日本代表の活躍を受けて、国内のラグビー人気定着へ重要なシーズンになると関係者には受け止められていた。その中で、第2節のトヨタ自動車対パナソニック戦ではリーグ最多となる37,050人を記録するなど観客動員も好調。ワールドカップで優勝した南アフリカをはじめ、ニュージーランドやオーストラリアなど、2019日本大会で活躍した各国代表選手が多く加入したこともあって、毎週末には各地で熱戦が繰り広げられていた。

 なお、購入された試合チケットは、すべて払い戻しが実施される。