「男子に続いてスコットランド代表に勝てて、うれしい」

 11月24日(日)、グラスゴーのスコッツタウン・スタジアムで今ツアー2戦目、今季テスト4戦目での初勝利をアウェイで手にしたサクラフィフティーンの南主将は、そう言って笑顔を見せた。

 頭にあったのは、先日日本で開催されたラグビーワールドカップ2019で男子日本代表が初のベスト8入りを決めたプール最終戦のスコットランド戦だ。日本はティア1を相手に、プール第2戦のアイルランド戦に続いてスクラム勝負でも相手のペナルティを誘うプレーで勝利。刺激を受けた南選手は「自分もこうありたい」と話していた。

 そして迎えた今回の対戦。10-20で迎えた後半残り10分、日本は勝利への粘りを見せて攻め続けると、71分に、敵陣深い位置での中央付近のラックからリザーブ出場のPR江渕まこと選手がラックサイドを抜け出してゴールポストの根元に飛び込んだ。

FB平山愛選手のコンバージョンも決まって3点差に詰めると、さらに78分、途中出場の大塚朱紗選手がラインブレークで相手守備陣を振り切り、ラインを超えて逆転に成功。平山選手が再びコンバージョンも成功させて、日本は24-20で試合を終えた。

 「後半ラスト10分からアタックを継続して2トライ2ゴールを獲ることができた。チームメンバ全員で戦うことができた結果だと思う」と、南選手は語る。

 この試合、序盤も悪くはなかった。

 開始早々に相手WTB Megan Gaffneyに先制トライを許したが、日本はすぐに反撃。WTB谷口令子選手の5分のトライで5-5にすると、2分後にウィングのラインブレークからFL齊藤聖奈選手がインゴールに飛び込んで10-5とリードを奪った。

 だが、その後はペナルティが増えて相手にプレッシャーをかけられる展開になり、ラインアウトからモールで押し込まれ、最後はPR Lisa Cockburn選手が押さえて10-10とされた。

後半に入ると、スコットランドのCTB Hannah Smith選手らに何度からラインブレークを許して押し込まれ、56分にGaffney選手にこの日2本目のトライを決められた。さらにその4分後には、日本はペナルティを取られると、ペナルティキックからラインアウトの展開に持ち込まれ、FWに押し込まれて10-20とされていた。

相手の流れになった展開で諦めず、反撃に持ち込んだのはプラス材料だが、反省点も少なくない。南選手は「試合を通してペナルティが多く、自分たちで苦しい状況を作ってしまった」と振り返った。

 日本はこの勝利が、レスリー・マッケンジーヘッドコーチの体制での初勝利。1月からスタートしたチームは、毎月1回のペースで合宿を繰り返し、新たに導入されたレスリングトレーニングなどでチームは強化を図ってきていた。

 7月の豪州遠征ではテストマッチ2連敗だったが、今回の遠征では11月16日(土)に女子イタリア代表と相手のホームで17-17と引き分け、手応えを持ってスコットランドに乗り込んでいた。

次の試合は来年早々に行われる2021年の女子ラグビーワールドカップ出場を懸けた予選になる。

 南キャプテンは、「今回の遠征でイタリア代表とスコットランド代表に勝ったことで、ワールドカップ予選を前にチームとしてレベルアップすることができた」と語った。

 この試合の結果により、女子日本代表の世界ランキングは15位から12位に上がった。スコットランドは11位のまま。

Photo: Scottish Rugby/SNS