【横浜・10月27日】イングランドとの準決勝に敗れてラグビーワールドカップ3連覇の夢を断たれたニュージーランドのスティーブ・ハンセン監督は、激戦から一夜明けた27日、敗戦はオールブラックスに新しい渇望を生み出し、将来の選手育成へとチームを駆り立てるだろうと語った。

オールブラックスは、イングランド戦での7-19の敗北でチャンピオンの座から陥落という結果に対する悔しさを隠そうとしなかった。W杯の32年の歴史においてニュージーランドが喫したかつてない完敗とされる。

しかし、選手たちが落ち込みながらも11月1日に東京で行われる3位決定戦に向けて立ち上がろうとする中、ニュージーランドで最も成功した監督と賞賛されるハンセンは、次戦を最後に退任する意向と言われているが、暗闇の中にも明るさが見える理由があるという。

「このオールブラックスというチームがこれまで長い間、素晴らしいプレーをしてきてくれたことをとても誇りに思う。(イングランド戦では)十分力を出せなかったが、これがスポーツというもの」とハンセンは話す。

「イングランドはいいチーム。彼らに負けたことを恥じることはない。傷は大きいが、この傷、逆境と言ってもいいが、将来もっとたくさんのオールブラックス選手を育成する契機となるだろう」

逆境は以前にも訪れ、それをバネにニュージーランドがW杯を席巻するチームになり得たとハンセンは語る。オールブラックスは、2007年大会準々決勝で大方の予想を裏切りフランスに敗れて以来、今回イングランドに屈するまでW杯で18連勝を記録。その過程において2011、15年大会を連覇している。

ラグビーに国中が熱狂するニュージーランドだけに、敗退の原因追及が急がれることだろう。何せ27日付ニュージーランド・ヘラルド紙の一面が全部真っ黒で、衝撃の大きさを物語るほどのお国柄なのだから。

イングランドのオーウェン・ファレル主将に慰められるジョーディー・バレット(写真上)の表情が示すように、ニュージーランドの選手にとって敗戦はめったにない経験であり、責められるように感じるものなのだ。しかし彼らは、言い訳は一切しなかった。

試合後のロッカールームの雰囲気について、コーディー・テーラーは「どんよりしていた」と話す。「今後ジャージーに袖を通さない選手にとっては厳しい。彼らのためにも仕事ができなかった僕らは打ちのめされている」

そのうちのひとりは、もちろん、キャプテンのキーラン・リード。彼にとって126度目のテストマッチとなったこの試合については、血だらけの右目とサム・アンダーヒルの強烈なタックルの記憶が思い出に残るわずかなものだろう。

「(流血した)顔が見えただろう。本当に痛いよ。偉大なキャプテン、リーダーだ」とテーラー。「彼は毎週、80分間戦い決して一歩も下がらない」

「ピッチから引き上げる時はいつも先頭に立っているか、足をひきずっている。それがキャプテンとして求められるもののすべて。彼とプレーする機会に恵まれて本当に誇らしい」

最後のチャンスがまだ1試合残っている。

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