【東京・10月15日】試合ごとに自信をつけて初のノックアウトステージ進出を決めた日本。この間ピッチに立った多くの選手は、23人の出場登録メンバーから外れたチームメートたちへの感謝の言葉を口にする。

フッカーの北出卓也、プロップの木津悠輔、フランカーの徳永祥尭、SH茂野海人、WTBアタアタ・モエアキオラの5人がまだ出場機会に恵まれていないが、外からは見えない彼らのチームへの貢献が日本の強さを支えている。

7人制代表としてリオデジャネイロ五輪4位入賞にも貢献した徳永は、ここまでリーチマイケルやピーター・ラブスカフニ、ツイヘンドリックといった選手の陰で登録メンバーに入れていない。

しかし試合中は選手への給水を行うと同時に、ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチの指示を伝える大切な役割を忠実に果たしている。

「ウオーターボーイをしている時は熱くなりすぎず、上(ヘッドコーチ)からの指示をしっかり伝えることが大事。英語は話せないけど聞いて理解することは結構できるので、ほかの外国出身選手にも伝えることができている」と徳永。

「ノンメンバー全員が相手を分析して、(ピッチの選手を)サポートできている。リーチさんを筆頭に、(感謝の言葉を)伝えてもらえるのは自分たちも認められているようですごくうれしい」と顔をほころばせる。

こうした役割を担う中で行われた8強入りをかけたスコットランドとのゲームは、「終わった瞬間にほっとしたのと、何も覚えていないのが正直なところ」と振り返る。

毎週チーム内で次の試合メンバーが発表され、23人の中に名前がない現実を受け止めながら、チームのために何ができるか知恵を絞る。

「毎週メンバーに入りたいと思って待っているので、とても落ち込んで、なかなか気分が上がらないことが多い」と徳永は話す。

しかしそれは、チームの勝利のためにサポートしようという気持ちに切り替わるまで時間をあまり必要としないという。

レギュラー組を含むチームメートからの陰の努力に対するねぎらいや、感謝の言葉が徳永を後押しするとも語る。

徳永を含む登録外のメンバーは次戦の相手のセットプレーやスクラムを綿密に調べ上げ、実戦形式の練習では「敵役」に回ってその成果を先発メンバーにぶつける。

「いいプレッシャーは掛けられていると思う。調子がいいとスクラムやラインアウトで自分たちが優勢な時もある」と徳永は自信をにじませる。

フロントローの木津はスクラム練習で相対する主力の稲垣啓太から「どんどん強くなっている。彼と組むのが一番しんどい」とまで言われるようになった。

「そういう風に言っていただいて僕自身うれしい。試合には出られていないけど、そういうところで自分の成長を感じられる」と木津は話す。

登録外が続くバックス陣も先発組に刺激を与えつつ、ピッチに立つ準備を怠らない。

対戦相手のサインプレーや、モール、セットプレーからの展開を分析し、先発組のバックス陣に対してプレッシャーを掛ける役割を担う。

SH茂野は、先発組のSH流大に刺激を与える存在だ。

「流とは練習中からしっかりプレッシャーを掛け合いながら高め合っているし、試合でいいプレーをしているのは僕としてもうれしい部分はある」と茂野は話す。

「どこで出るチャンスが回ってくるか分からないので常に準備したい」と、モチベーションをしっかり保っている。

RNS mn/mi