【東京・10月15日】ルールの変更により、新たな技が生まれる。コーチや選手が新ルールを逆手に取り、得点に結び付けようと創意工夫するからだ。それを披露する絶好の機会がW杯である。

自ら拾って走る

ラグビーの試合を見ていると、よく耳にする「ノットリリースザボール」という反則。タックルされて倒れた選手はすぐにボールを手放さなければならない。いつまでも手放さないと反則を取られる。これは比較的新しい反則である。

ただし、タックルされていったんボールを手放した選手も、すぐに立ち上がってボールを拾うことは許されている。日本代表、特にナンバー8の姫野和樹はこの「技」に定評がある。

この動画で姫野はタックルされた後、すぐに立ち上がる。ロシアの守備陣はフィールドを守るために広がっていて、ボールの周囲は手薄だ。姫野は素早くボールを拾い、そのまま走って10㍍ほどゲインした。

守備陣がボールの周囲に集まった場合、このプレーはできないが、今度は外側の守備が手薄になるから外に展開すればいい。つまり、この技に長けた選手がいることで攻撃の可能性が広がるのだ。

 

ラインアウトの新トレンド

そのほか、ラインアウトでも改革が行われている。以前なら、ラインアウトの後方にボールが飛ぶのは投げ手がミスしたときくらいだった。しかし最近はこれが戦略として多用されている。

ラインアウトの後方はピッチの中央に近い上、相手の守備が手薄だ。ここにボールを投げ入れることで素早く攻撃に移ることができ、得点につなげられる。

もちろんリスクも大きく、慎重さを求められるが、効果的な戦術だ。

また「ラインアウトは重量FWのもの」という固定概念も覆されつつある。最近はSHやWTBをラインアウトの先頭に入れるケースも多い。

この場合、ラインアウトの後方にSHではなく、重いFWを置くことになり、モールになった際、後ろから素早くしっかり押すことができる。

また、ラインアウトに参加しない選手は、ラインアウトから10㍍以上離れなければならないというルールがある。そのためラインアウトの一員として先頭にWTBを配して置くという戦術も取られている。ボールがラインアウトに入った直後にWTBが素早く回り込み、ボールを受けて走ることができるからだ。

今大会、こうした新技がいくつか披露されてきたが、まだ隠し玉があるかもしれない。強豪が全力でぶつかり合う決勝トーナメントでは、そうした戦術も見どころだ。

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