【東京・10月12日】無名だった日本代表にニックネームが付けられたのは、2003年W杯のスコットランド戦がきっかけだった。

オーストラリアで開かれたW杯1次リーグ、10月12日に日本はスコットランドと対戦した。前半からリードされてはいたものの、日本は勇猛なプレーで食い下がり、残り23分に小野澤宏時のトライで4点差まで迫り、観客を熱狂させた。

その後、スコットランドに3トライを許し、最終的には32-11の敗戦だった。しかし、それまで存在感が薄く、ニックネームすらなかった日本は、この善戦を契機に欧州や南半球の強豪国に強く意識されるようになった。

この試合で日本はポゼッションこそ17%にとどまったが、スピーディーで創造性豊かなプレーは目の肥えた観客を魅了した。

日本は前半、CTBが相手ディフェンスを崩し、あとひと息でトライというところまで迫った。守りでは小野澤と大畑大介が土壇場の強烈なタックルで5トライ目を防ぐなど、随所で見事なパフォーマンスを披露した。

果敢な攻撃とともに鉄壁の守備も見せた日本。この試合で168回のタックルを試み、そのうち136回を成功させた。

この試合以来、他国の日本を見る目や態度が変わった。

「あの時、いろいろな国の監督が日本の勇猛なパフォーマンスを褒めてくれた」。20年以上日本を拠点にしているラグビージャーナリスト、リッチ・フリーマンはそう振り返る。記者たちの間で「ブレイブ・ブロッサムズ(勇敢な桜の戦士たち)」という言葉が使われるようになり、地元紙の見出しにもなったという。

当時、日本にはニックネームがなく「向井ジャパン」など、監督の名が冠されるのが通例だったが、フリーマンが日本のメディアでも「ブレイブ・ブロッサムズ」のニックネームを使うようになり、2009年、元ニュージーランド代表のアンドリュー・マーティンズが、神戸で行われた試合で「ブレイブ・ブロッサムズ」と称したことで、認知度は高まった。

13日の対決では、その2003年W杯でプロップを務めた長谷川慎が日本のスクラムコーチとして、スコットランドのSOを務めたグレゴー・タウンゼンドが監督として相まみえる。

W杯では過去3度対戦し、いずれも日本が敗れている。“4度目の正直”はあるのか。キックオフは13日、19時45分だ。

RNS rl/bo /ci/kf