【東京・10月9日】ここまでチーム最多、大会全体で3位の48タックルを見舞い、成功率94%と驚異的な数字を残している。ロックのジェームス・ムーアが、チームの「鍵」として1次リーグA組で日本の3連勝に大きく貢献している。

7月のパシフィックネーションズカップ(PNC)フィジー戦でデビューを果たしたばかりだが、今大会3試合すべてにフル出場とジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)が厚い信頼を寄せる。オーストラリア・クイーンズランド出身の26歳。今大会ここまでの成功の礎が守備にあると自信を示す。

「多少痛んでいるところはあるが、それが別にプレーに影響するわけではない。この大会に参加している全選手がそう」と13日のスコットランド戦を前に気合い十分で「(前任の)エディー(・ジョーンズHC)の時は携わっていないので分からないが、ジョセフHCの3年間でフィジカル面でもメンタル面でも非常に強化してきている。過去の日本チームの中でも最高に激しい守備をやっている」と胸を張る。

来日したのは2016年。母国では13人制のラグビーリーグでプレーしていた。タックルゾーンがラグビーユニオン(15人制)より高く、オフロードパスを防ぐために抱きかかえるようなタックルが主流のこの競技の経験が、自身の活躍に一役買っていると話す。

「リーグをやっていたのが非常に役立っている。競技は違うがタックルを1試合30回くらいやる。それだけやると、いろいろな経験がついてくるし、ユニオンに移行した時にも生きた」と振り返り「守備全般が好きな分野。タックルは課題としても取り組んできたので、たくさん成功させることができてうれしく思う」と満足げに話す。

役者ぞろいの日本のロック。共闘する3人に話が及ぶと笑みを隠せなかった。

「トモ(トンプソンルーク)はW杯で最年長。気合いが入っているおじさん」と表現。「(ヘル)ウヴェはでかいトラック。人をつぶして突進する。ヴィンピー(・ファンデルヴァルト)はヴィンピー。言い表す言葉がない」と茶目っ気たっぷりに紹介した。

日本が追い続けてきた8強進出まであと1勝。新たな故郷の悲願が目前に迫る中、平常心を貫いている。

「選手をベストな状態で準備させるため、コーチ全員がいろいろ取り組んできてくれた。勝つためのゲームプランを提示してくれているので、選手はそれをピッチで実行するだけ」とムーア。「オーストラリアとは違うラグビーで、生活環境も全く違う。でも日本でのラグビーは充実している。当分戻る予定はない」と覚悟を決めている。

RNS mn/kf