7月のワールドラグビー・パシフィク・ネーションズカップ初戦のフィジー代表戦で日本代表初キャップを獲得したラブスカフニ選手。代表デビューを控えて、日本国歌の君が代を歌えるようにと練習を重ねたという、ジャパントップリーグのクボタでプレーする30歳は、今回の試合で母国の国歌を対戦相手として聴く。

 「南アフリカの国歌はこれまでの人生でも馴染み深いものだけど、今回は確かに違うと思う」とラブスカフニ選手。だが、感慨を感じさせる間もなく、即座にこう続けた。

「僕は今、日本代表の一員。僕らにはやるべきことがあり、各選手に役割と責任がある。日本代表として、僕らが取り組んできたことを示したい」

 さらに、「日本国歌を聴くと、初めて日本に来たときの思い出や、この2年間に学んできた様々なことが思い出される」と話し、同時に「小さい岩が集まって大きな1つの岩になる」というイメージが浮かぶのだという。

 「それは、ある意味、僕らが代表でやろうとしていることでもあると思う。23人の異なる背景を持った男たちが集まって、1つの目標に向かっているのだから」と語った。

 南アフリカ代表について、8月に初優勝したラグビー・チャンピオンシップでのプレーに触れて、「とてもいい戦いをしていた。誰か1人が目立つのではなく、チームとしての戦いだった。同じことは僕らにも言える。個人ではなく、チームとして何を成し遂げられるかだ」と話し、ワールドカップ前最後のテストマッチへ集中を図っていた。

 

別のチーム

 日本と南アフリカの対戦は、イングランドでの2015年ワールドカップ大会プール初戦以来となる。あの対戦では日本が34-32で逆転勝利を収めて、2度の世界制覇経験の南半球の雄を下すというセンセーショナルな幕開けを演じたが、今回、その再演はなるか。

 日本代表のトニー・ブラウンコーチは、「南アフリカ戦はワールドカップ前の最後の強化試合になる。スピードとスペースを活かして、どこまで戦えるか」と話し、ここまで取り組んできた日本のプレーの完成度をチェックしたいとしている。そして、「自分たちのゲームができれば、4年前の再演もあり得る」と期待を込めた。

 だが、南アフリカ主将のシヤ・コリシ選手は、「あの試合を経験した選手もチームには7,8人いるが、このチームは別のチーム」とキッパリ。ワールドカップ初戦で大会連覇中のニュージーランドとの対戦へ、別の闘いであると強調した。

 「日本戦は、僕らにとってニュージーランド戦へ向けてとても大事な試合だ」と話すコリシ主将は、スコッドに9人いるジャパントップリーグ経験者から、日本の文化を含めたフィールド外のアドバイスを得ているという。

「(この4年での)日本の変化は大きい。新しいコーチ陣の下、セットアップも違うし、より強くなっていて、システムも機能している」と指摘。「僕らもチーム強化できるように、できる限りの準備をしてきた」明日の試合は楽しみにしている」と話した。

 試合は、9月6日(金)、ワールドカップ試合会場の1つでもある埼玉県営熊谷ラグビー場で行われる。