ワールドカップへ向けて調整を重ねている日本代表が、大会前最後の強化試合で対戦するのは、2015年イングランド大会の初戦で34-32の勝利で大会最大の番狂わせを演じた南アフリカ代表だ。両者の顔合わせはそれ以来で、4年ぶり通算2回目となる。

 南アフリカは自国開催した1995年大会と2007年大会に優勝し、世界ランク10位の日本に対して5位。2018年からチームを率いるラシー・エラスムスヘッドコーチの下、今年8月にはラグビーチャンピオンシップで初優勝を遂げ、ワールドカップには南半球の王者として登場する。

 その強豪とワールドカップへの最終準備として臨む日本代表は、今年8月の優勝したパシフィック・ネーションズ・カップ(PNC)を戦ったメンバーを中心に編成。同大会最終のアメリカ代表戦から8つのポジションに変更を加えた。

2番、3番にそれぞれ坂手淳史選手(パナソニック)、手の負傷から復帰した具智元選手(ホンダ)が入って、不動の1番を務める稲垣啓太選手(パナソニック)とフロントローを組む。この3人は昨年11月の欧州遠征のロシア戦以来の組み合わせで、4番LOにトンプソン ルーク選手(近鉄)、NO8にアマナキ・レレイ・マフィ選手(NTTコミュニケーションズ)、12番CTBに中村亮土選手(サントリー)が、PNC第2戦のトンガ戦と同様に入る。

FL7番で先発するピーター・ラブスカフニ選手(クボタ)は南アフリカ出身。7月のフィジーとのPNC初戦で日本代表初キャップを獲得したばかりで、今回は代表3戦目で母国の代表チームとの対戦となる。

SHは茂野海人選手(トヨタ自動車)、SOは田村優選手(キヤノン)が務め、13番CTBにラファエレティモシー選手(神戸製鋼)がアメリカ戦で務めた12番から移動。FBにはフィジー戦で活躍したウィリアム・トゥポウ選手(コカ・コーラ)が、アメリカ戦の13番からシフトした。

 リザーブにはワールドカップメンバーで唯一のノンキャップ選手、HO北出卓也選手(サントリー)が入り、代表デビューのチャンスを待つ。27歳の北出選手は「ずっと練習してきた。早く試合に出たい」と意気込んでいる。

6月の宮崎合宿での負傷から回復した中島イシレリ選手(神戸製鋼)も、昨年11月のロシア戦以来のテストマッチだが、今回は、所属チームで昨季トップリーグ優勝に貢献したNO8からプロップに転向して、初の代表戦となる。

WTBアタアタ・モエアキオラ選手(神戸製鋼)も、ベンチスタートで4キャップ目獲得の機会を待つ。

一方、南アフリカのメンバーには、今回のワールドカップスコッドに入った2015年の日本との対戦を経験したメンバー9人のうち、8人が名を連ねている。

そのうちの一人、FLシヤ・コリシ選手は負傷でラグビーチャンピオンシップを見送っていたが、今回復帰してキャプテンを務める。4番LOエベン・エツベス選手、SOハンドレ・プラード選手も今回の試合メンバー入りして、雪辱の機会を得た。

 日本代表のリーチ マイケル主将は、「南アフリカはベストメンバー。バックローにコリシ選手や(ドゥエイン・)フェルミューレン選手を入れてきて、この試合に勝ちたいというのが出ている。日本は、立ち上がるスピードやボディランゲージなど、細かいところから相手を上回らないといけない」と指摘した。

 ワールドカップ前の最後の相手として対戦することについて、日本代表主将は4年前もジョージアとの対戦で、チームが4年間取り組んできたことに自信を得て本大会に進んだと振り返り、「今回も準備としては良い相手。ティア1のチームを相手に、どれかでできるか。自分たちの今後に影響する。この4年間でどれだけ強くなってきたかを確かめたい」と語った。

 試合は9月6日(金)、埼玉県営熊谷ラグビー場にて19:15キックオフの予定だ。

 

日本代表 南アフリカ戦試合登録メンバー 

1、稲垣啓太(パナソニック、28 caps)、2、坂手淳史(パナソニック、16)、3、具 智元(ホンダ、7)、4、トンプソン ルーク(近鉄、66)、5、ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機、13)、6、リーチ マイケル*(東芝、62)、7、ピーター・ラブスカフニ(クボタ、2)、8、アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズ、24)、9、茂野海人(トヨタ自動車、9)、10、田村 優(キヤノン、57)、11、福岡堅樹(パナソニック、33)、12、中村亮土(サントリー、18)、13、ラファエレ ティモシー(神戸製鋼、17)、14、松島幸太朗(サントリー、33)、15、ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ、9)

リザーブ

16、北出卓也(サントリー、-)、17、中島イシレリ(神戸製鋼、2)、18、ヴァル アサエリ愛(パナソニック、8)、19、ジェームズ・ムーア(宗像サニックス、2)、20、徳永祥尭(東芝 、11)、21、流 大(サントリー、18)、22、松田力也(パナソニック、19)、23、アタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼、3)

注:* はキャプテン、所属チーム名のあとの数字はキャップ数

南アフリカ代表 試合登録メンバー

1、スティーブン・キツホフ(ストーマーズ/RSA)、2、マルコム・マークス(NTTコミュニケーションズ、ライオンズ/RSA)、3、フランス・マルヘルベ(ストーマーズ/RSA)、4、エベン・エツベス(ストーマーズ/RSA)、5、フランンコ・モスタート(グロスター/ENG)、6、シヤ・コリシ*(ストーマーズ/RSA)、7、ピーター・ステフ・デュトイ(ストーマーズ/RSA)、ドゥエイン・フェルミューレン(クボタ、ブルズ/RSA)、9、ファフ・デクラーク(セール・シャークス/ENG)、10、ハンドレ・ボラード(ブルズ/RSA)、11、マカゾレ・マピンピ(シャークス/RSA)、12、ダミアン・デアリエンディ(パナソニック、ストーマーズ/RSA)、13、ルカニョ・アム(シャークス/RSA)、14、チェスリン・コルベ(トゥールーズ/FRA)、15、ウィリー・ルルー(トヨタ自動車)

リザーブ

16、ボンギ・ムボナンビ(ストーマーズ/RSA)、17、アンダイ・ムタワリラ(シャークス/RSA)、18、トレバー・ニャカネ(ブルズ/RSA)、19、RG・スナイマン(ホンダ、ブルズ/RSA)、20、フランソワ・ロウ(パース/ENG)、21、ハーセル・ヤンチース(ストーマーズ/RSA)22、フランス・ステイン(モンペリエ・エロー/FRA)、23、ジェシー・クリエル(ブルズ/RSA)

注:* はキャプテン