日本ラグビー史上初のベスト8入りを目指す日本代表の大会メンバーはFWが18人、BKが13人の編成。前回2015年イングランド大会で2度の大会優勝経験のある南アフリカを破るなどの快進撃で3勝を挙げたチームからは、リーチ主将(東芝)、チーム最年長のトンプソン選手(近鉄)のほかWTB福岡堅樹選手(パナソニック)、FB/WTB松島幸太朗選手(サントリー)ら10人が今大会へ名を連ねた。
それ以外の21人はワールドカップ初出場だが、ジョセフヘッドコーチの下でトレーニングを重ねてきた面々で、大きなサプライズはない。
ノンキャップはHO北出卓也選手(サントリー)1人のみ。大学卒業後に加入したスーパーラグビーのチーフスでのプレーが評価されたWTBアタアタ・モエアキオラ選手(神戸製鋼)も、代表経験は3キャップながらもメンバー入りした。
10キャップ未満の代表戦経験者は9人を数えるが、CTBウィリアム・トゥポウ選手(コカ・コーラ)をはじめ、試合で存在感を出してきた顔ぶれがリストに並んでいる。
日本が3戦全勝したワールドラグビーパシフィック・ネーションズカップで代表デビューを遂げたFLピーター・ラブスカフニ選手(クボタ)、LOジェームス・ムーア選手(宗像サニックス)も選ばれた。
SHには前回大会にも出場した田中史朗選手(パナソニック)のほか、流大選手(サントリー)、茂野海人選手(トヨタ自動車)の3人を選出。一方、フロントローには稲垣啓太選手(パナソニック)らPRが5人、堀江翔太選手(パナソニック)らHO 3人という構成になった。
最多キャップは代表戦70試合を戦ってきた田中選手で、スコッド全体での総キャップ数は683を数える。
「同じ絵を見ることができている」
ジョセフヘッドコーチは、「ワールドカップでは一度選手を選ぶと替えが利かないので、いくつかのポジションを31人の中でカバーできることを考えた」と話し、対戦相手からプレッシャーを受けることを想定して、「相手のプレッシャーを受ける中で各自の役割を遂行できるか、自分たちのゲームにフォーカスして試合を進められるか」も選考基準になったと説明した。
日本代表指揮官は、「我々の目標は日本初のベスト8。これまで日本ラグビーでは達成したことがなく、非常に難しいことは分かっているが、選手もスタッフも150%の力を出す」と力強く話した。
「この3年間で自分たちのゲームを組み立ててきた。速い展開の中でスキルを活かし、アンストラクチャーの中で強みを発揮する。今年はそれを実行するためのフィットネスも鍛えることができた。チームは結束力が強く、今『ワンチーム』になっている。選手たちが意思統一して、同じ絵を見ることができている」と語り、チームの準備に自信を示した。
一方、キャプテンのリーチ選手は、「メンバーに選ばれてもちろん光栄だが、4年間頑張ってきて選ばれていない人たちもいる。その人たちの分も頑張らないといけない」と話し、目標は「毎試合を大事にして勝っていく」と話した。
さらに、「フィットネスは前回(大会)以上。練習も前回以上にきついし、細かい部分もしっかりやっている。今回の大会は前回よりも成績を出せると思う」と手応えを口にした。
2大会連続でキャプテンを務めるニュージーランド出身の30歳は、大会開幕までの3週間の準備について、「体をシャープにしてメンタルをどれだけ強化できるか。31人が決まって自然と空気が引き締まると思う。しっかりそういう空気を作って準備していきたい」と語った。
日本代表は9月6日(金)に大会試合会場の一つである埼玉県の熊谷ラグビー場にて南アフリカ代表との大会前最後のテストマッチに臨む。
その後は合宿で最終調整を重ね、9月20日に東京スタジアムでロシア代表と大会開幕戦で対戦。さらに、プールAで9月28日にアイルランド代表(静岡県小笠山総合運動公園エコパスタジアム)、10月5日にサモア代表(愛知県豊田スタジアム)、10月13日にスコットランド代表(神奈川県横浜国際総合競技場)との戦いに挑む。
日本代表RWC 2019メンバー
FW(18人)
PR―稲垣啓太(パナソニック、28 caps)、木津悠輔(トヨタ自動車、3)、具 智元(ホンダ、7)、中島イシレリ(神戸製鋼、2)、ヴァル アサエリ愛(パナソニック、8)
HO―北出卓也(サントリー、‐)、坂手淳史(パナソニック、16)、堀江翔太(パナソニック、61)
LO-トンプソン ルーク(近鉄、66)、ヴィンピー・ファンデルヴァルト(NTTドコモ、12)、ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機、13)、ジェームス・ムーア(宗像サニックス、2)
FL―ツイ ヘンドリック(サントリー、44)、徳永祥尭(東芝、11)、リーチ マイケル*(東芝、62)、ピーター・ラブスカフニ(クボタ、2)
FL/NO8―姫野和樹(トヨタ自動車、12)
NO8―アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズ、24)
BK(13人)
SH―茂野海人(トヨタ自動車、9)、田中史朗(キヤノン、70)、流 大(サントリー、18)
SO―田村 優(キヤノン、57)
SO/CTB―松田力也(パナソニック、19)
WTB―福岡堅樹(パナソニック、33)、アタアタ・モエアキオラ(神戸製鋼、3)、レメキ ロマノ ラヴァ(ホンダ、11)
CTB―ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ、9)、中村亮土(サントリー、18)、ラファエレ ティモシー(神戸製鋼、17)
FB/WTB―松島幸太朗(サントリー、33)
FB―山中亮平(神戸製鋼、13)
注意:* 印はキャプテン、所属のあとの数字は代表キャップ数