日本もアメリカも共に2連勝で迎えた最終戦は、勝った方が大会優勝を手にする大一番。しかも、日本の選手にとっては、ワールドカップ代表メンバー発表前の最後のテストマッチ。気負いもあってか、前半は特にハンドリングのミスやペナルティが多く、プレーリズムに乗り切れないところもあったが、守備力で相手を抑えて、日本が勝利をもぎ取った。

母がフィジー出身というリーチマイケル選手(東芝)が2トライ、今大会初先発したFB山中亮平選手(神戸製鋼)、WTB福岡堅樹選手(パナソニック)が1トライずつを決め、SO田村優選手(キヤノン)がPG2本とコンバージョン4本全てを成功させた。

立ち上がりは悪くなく、日本は開始12分で17-0のリードを奪った。

2分にラインアウトからモールで押し込んでリーチ選手がインゴールで押さえ、9分にPGで加点。さらに11分にはパスワークからWTB松島幸太朗選手(サントリー)がアウトサイドで抜けだし、パスを受けた福岡選手がゴール下に飛び込んだ。

しかし、16分に守備のギャップを突かれてアメリカWTB Madison Hughesにトライを決められると、その後は相手のプレッシャーもあって、日本にミスやペナルティが増える。

29分にPGでさらに3点を返されて17-10と追い上げられ、前半終了間際に互いにPGを1本ずつ加えて、日本の20-13でハーフタイムに入った。

 後半に入ると、日本は再び開始早々に先手を取る。

ゴール前のラインアウトからフェーズを重ね、最後は田村選手のリバースパスを受けた山中選手がインゴールに飛び込んでトライをマークした。

 さらに55分には、自陣で福岡選手がボールを奪って持ち上がり、パスを受けた山中選手が左タッチライン沿いに駆け抜けると、後半交代出場のSH流大選手(サントリー)、HO堀江翔太選手(パナソニック)とつなぎ、最後はリーチ選手がインゴールで押さえて5点を加えた。田村選手のコンバージョンも決まって、日本が34-13とリードを広げる。

 カナダ、サモアに勝って日本戦を迎え、勝てば大会初優勝のアメリカは、反撃を試みるが日本の守備をなかなか破ることができない。

 それでも71分、日本のスクラムにプレッシャーをかけてボールを奪い、FLのHanco Germishuys選手がインゴールに持ち込んで5点を返し、前半途中で負傷退場したSOのAJ MacGinty 選手に代わってキッカーを務めたFBのWill Hooley選手がコンバージョンを決めて34-20と点差を詰めた。

 さらにアメリカはボールをキープして攻めるが、日本の守備に押されて苦戦。得点を奪えないまま、日本が逃げ切った。

日本は3戦全勝で勝点を15とし、サモアと両チーム優勝した2014年大会を除くと、単独では2011年大会以来8年ぶりの優勝で、チームは今季3連勝。昨年11月のロシアとのテストマッチからは4連勝となった。

日本代表指揮官、RWCへ良いリハーサル

 先週のトンガ戦前日に急逝した母親の葬儀のためにチームを一時離れ、この試合前日に合流して再び指揮を執ったジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチは、「選手全員が誇らしいパフォーマンスを見せてくれた。選手の努力と結果に満足している」と話した。

 指揮官はミスやペナルティが多かった中でも勝利を掴んだ点を評価して、「すべてがベストなパフォーマンスではなかったが、1点差でも勝ちは勝ち。ワールドカップへ向けて良いリハーサルになった」と語った。

 リーチ主将も「今日の勝利はチームとして収穫」としながらも課題に触れて、「ディシプリンの部分と、相手のペースに合わせてしまったところが良くなかった」と辛口のコメント。

ワールドカップでのプール戦を念頭に、「アメリカはフィジカルが強いチーム。(似たタイプの)ロシアやアイルランド相手に今日のような試合をすれば負ける。ディシプリンを見返して、しっかり準備したい」と、気持ちを引き締めていた。

 今大会3試合全てでトライをマークした福岡選手は、「自分が獲り切れていれば、チームをもっと楽な展開にできていた。反省の多い試合だった」と振り返り、今月後半の合宿で「さらにより良い状態にしていきたい」と話していた。

 一方、アメリカ代表のギャリ―・ゴールドヘッドコーチは、「我々にとってとてもタフな試合になった。日本はとてもいいチームだと分かっていたが、前半我々の3回のミス全てを得点に結び付けてきた。相手が良かったということ」と潔く負けを認めた。

ワールドカップへ準備を進めているアメリカ代表指揮官は、「選手たちはよく戦ったし、気骨と勇気あるプレーを見せてくれた。日本のような良いチームに対して良い戦いができれば自信になる。その点で今日のチームのプレーをうれしく思う。選手層はかなりあるし、ワールドカップでもしっかり戦えるチームでありたい」と語った。

日本はこの後、8月18日からの網走合宿を経て今月下旬にワールドカップ代表メンバーを発表する予定。その後、9月6日に熊谷で南アフリカ代表とワールドカップ前最後のテストマッチを行う。

ジョセフヘッドコーチは、「先を考えて毎試合選手を数名代えてきた。この3試合をじっくり検証してスコッドの構想に入りたい」と話していた。

 なお、今大会最終日のこのほかの試合では、トンガがカナダに33-23、フィジーが10-3でサモアに勝利を収め、この結果、フィジーはプールAでアメリカと勝点9で並びながら得失点差で上位に入った。サモアが1勝2敗勝点6、トンガは1勝2敗勝点5、カナダは3戦全敗勝点1で大会を終えた。