今年7月にブラジルで行われるワールドラグビーU20トロフィーを制して、この年代トップのU20チャンピオンシップへの復帰を目指す日本が、夏の大会を前に実戦での強化を図って参加したオセアニアラグビーU20チャンピオンシップだったが、3戦全敗に終わり、勝利を手にすることはできなかった。

 4月26日の初戦で開催国のU20オーストラリア代表に14-64、4月30日の第2戦ではU20ニュージーランド代表に12-87と敗れていた日本は、5月4日の最終戦でU20フィジー代表との対戦では、前2試合と違う競り合いを見せた。

前半6分にFL福井翔太選手(パナソニック)のトライで先制。その後フィジーに2トライで逆転を許したが、今大会で手応えを覚えているスクラムを中心にFW力を活かして相手にプレッシャーをかけ、福井選手の2トライ目を含めた2本のトライを決めるなど、前半半ばで再び19-14とリードを奪った。

しかし、相手に足を活かして動かれると抑えることができない。また、自陣22メートル以内で短いキックパスを使って突破を図ろうとして相手にボールを渡してしまうなど、プレー判断や精度にも甘さがあり、自ら展開を苦しくする場面も何度か見られた。

それでも前半終了直前にNO8の丸尾崇真選手(早稲田大学)がルースボールを奪って走り切り5点を加えて27-28として、ハーフタイムを迎えた。

日本はさらに、後半早々にSO丸山凜太朗選手(東海大学)のPGで30-28とリードを奪った。

 しかし、相手に走られて1トライ1コンバージョンを決められた後、キックで相手の裏を取ろうとしたところを奪われて逆襲に遭いトライを許すと、直後のリスタートから再び走られて立て続けに2トライを奪われて30-47。さらに69分にはラックからオープンサイドに大きく展開されて30-52と点差を広げられた。

 日本はそれでも終盤に1トライ1コンバージョンを返したものの、前半4トライ、後半5トライを許して敗れた。

 水間監督は、「クイックボールからスペースにボールを運ぶプレーが機能して先制を奪い、試合を優位に運ぶことができた。強みのスクラムとキックオフからのプレッシャープランなど、準備してきたことで得点できた」と話し、前2試合との違いを見せることができた点を評価した。

「我々の力が通用することが分かり、選手たちの自信につながった」としながらも、「一つのプレーの判断ミス、精度不足によって得点されてしまうのが国際レベルだと、選手たちは痛感したと思う」と話した。

今年6月のワールドラグビーU20チャンピオンシップへ出場するオセアニア3チームとの対戦は、日本の選手たちに世界で戦う上で不可欠な要素を改めて認識させたと指揮官は見ている。

水間監督は「今回の遠征を通じて選手は大きく成長している」と手応えを得た一方で、「勝てないのが現状」と指摘。「負けて学ぶこともあるが、勝つ文化、勝てる自信を選手に植え付けていきたい」と語る。

日本代表指揮官は、選手たちに「国際レベルを基準にして。学んだすべてを自身で徹底して実行してもらいたい」と各自が所属チームで世界基準を意識して日々の練習に取り組み、プレー精度を高めることを要求した。

7月の大会での成功へ、今回の経験を活かしたい。

 Photo credit: Oceania Rugby