2週間前にアウェイのチーフス戦で今季初勝利を挙げたものの、接戦で勝ち切れない試合が続いて1勝3敗で迎えた今季5戦目は、昨年の東京での対戦で63-28と大勝したレッズが相手。前半終了時に16点のリードを奪ったものの、後半はミスが増えて相手に反撃を許した。

前半12分にCTBマイケル・リトル選手の突破からFLダン・フライアー選手がつないでSHジェイミー・ブースが先制トライを決め、6分後にレッズにラインアウトからモールで持ち込まれて1トライを返されて2点差にされた。

しかし、23分に22メートル付近のラックからWTBゲラート・ファンデンヒーファー選手が繋いでNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコ選手がトライをマークして再び先行。 37分には、パスをつないでフライアー選手がラインを越えて5点を加え、SOヘイデン・パーカー選手のコンバージョンも決まって21-5で前半を終えた。

 しかし、後半に入るとレッズが反撃。59分にラインアウトからモールで押し、ラックを繰り返して交代出場のブレンダン・パエンガ=アモサ選手がトライ。勢いを得たレッズはその3分後、さらに7分後の66分にはパエンガ=アモサ選手がこの日2トライ目を決めて逆転した。

 サンウルブズは69分に、ラインアウトから展開して、最後は交代出場直後のSH内田啓介選手がラックから持ち出してトライを決めて、パーカー選手のコンバージョンも成功。パーカー選手は73分のPGも決めて、31-26と再びリードした。

 しかし、残り5分で再び試合が動く。

サンウルブズ自陣ゴール前のラックから内田選手が蹴り出したところを相手がチャージ。レッズSHテイト・マクダーモット選手にインゴールに持ち込まれて追いつかれた。

そして79分、サンウルブズは自陣で反則を犯して相手にPGを与えてしまい、これが決定打となって敗れ、今季2勝目を目前で取りこぼした。

 サンウルブズのスコット・ハンセン監督代行は後半のプレーについて、「レッズが勢いを得てこちらがプレッシャーを受ける形で、悪い判断をすることが多かった」と指摘。今後へ向けて、「一貫性とコミュニケーションを大事にして、頭を使ってプレーすること、細かい部分を詰めること」を改善点として選手に求めた。

 日本代表候補のHO山下裕史選手(神戸製鋼)は、「ホームで勝てなかったのはすごく悔しい。ペナルティも多かったし、1対1でのミスも多かった」と振り返った。勝ち切れない試合が続いていることに「悲観的にはなっていないが、勝ち切るためにペナルティを少なくすることが今後の課題」と話した。

マフィ選手初出場で大歓声

 この試合にはラグビーワールドカップの日本代表候補に入っている選手が、ベンチスタートを含めて10人出場。後半早々には、新加入したNO8アマナキ・レレイ・マフィ選手もベンチから登場し、サンウルブズ初出場でスタンドのファンから大きな歓声が起こった。

 2015年大会にも出場して日本の3勝に貢献したマフィ選手は、昨夏に所属していたレベルズでの暴行容疑で戦列から離れていたが、今月4日に日本代表候補合宿に招集され、サンウルブズにも追加加入していた。

 久しぶりの試合で「疲れた」と言いながらも観客の声援に「すごく感動した。うれしかった」と白い歯を見せたが、自身のプレーについては100点満点で1点とかなり渋い評価。「まだまだ。自分でやるしかない。来週は110にしたい」と気持ちを新たにしていた。

 マフィ選手を含めて、今秋のラグビーワールドカップのメンバー入りを目指す日本代表候補選手は、サンウルブズでの活動のほか、同時期に並行して実施している候補合宿で強化を図っている。

この日の試合後には、2グループの選手入れ替えが発表され、現在沖縄で行われている代表候補合宿から、PR浅原拓真選手(東芝)、PR具智元選手(ホンダ)、LOグラント・ハッティング(神戸製鋼)、SH田中史朗選手(パナソニック)、SO山沢拓也選手(パナソニック)、WTB山中亮平選手(神戸製鋼)の6人のサンウルブズ参加が発表された。

一方で、サンウルブズからはPRヴァル アサエリ愛選手(パナソニック)、LOジェームズ・ムーア選手(宗像サニックス)、SO松田力也選手(パナソニック)、WTB/FBヘンリー・ジェイミー選手(トヨタ自動車)の4人が代表候補合宿に合流することになった。

 

ニュージーランド銃乱射事件で黙祷

 試合開始前には、ニュージーランドのクライストチャーチで15日に起こった銃乱射事件を受けて、両チームの選手全員がピッチ中央で円陣を組んで、スタジアムの観客とともに犠牲者を悼んで祈りを捧げた。

 クライストチャーチ出身のサンウルブズのハンセン監督代行は「サンウルブズを代表して心からお悔やみを申し上げたい。チームには同地の出身や子供がいる選手がいる。ラグビーをできるのは幸せなことだと改めて思う。この素晴らしい競技を通して、みんなに力を与えたい」と話した。