昨年、一昨年と2年連続で2位に終わっているジュニア・ジャパンが、3月8日の初戦でサモアA、12日(火)フィジー・ウォリアーズ、16日(土)トンガAとの1回戦総当たりで臨む大会で初優勝を狙っている。

ジュニア・ジャパンを指揮する水間良武監督は、「全部勝ちます」と意気込んでいる。

 今回の遠征メンバー28人には、キャプテンを務めるNO 8福井翔太選手(パナソニック)やFL山本凱選手(慶応義塾大学)など、昨年のワールドラグビーU20チャンピオンシップで残留を逃す悔しさを味わったメンバー8人が名を連ねている。

また、昨年のパシフィック・チャレンジのメンバーからはSH藤原忍選手(天理大学)、WTB根塚洸雅選手(法政大学)ら6人が入り、一昨年の大会を経験したSH齋藤直人選手(早稲田大学)とLO堀部直壮選手(同志社大学)も加わって、雪辱を期している。そのうちの一人、FLファウルア・マキシ選手(天理大学)はこのチームで唯一、日本代表キャップを保持。齋藤選手は昨夏、ラグビーワールドカップの代表候補リスト入りした。

Top five tries: World Rugby Pacific Challenge
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「この大会で勝ちに行くことを考えてメンバーを選考した」と水間監督は言う。そして、U20代表監督も務める41歳指揮官は、ジュニア・ジャパンならではの使命について触れた。

「ジュニア・ジャパンは代表の次のチームで世界的にはA代表。U20の短期のミッションとしては7月のワールドトロフィーに勝って昇格だが、その先には2023、2027年とラグビーワールドカップがある。そこで活躍できる選手を送り出す。」

U20チャンピオンシップへの復帰がかかるワールドラグビーU20トロフィーの戦いは今年6月下旬から。今回のメンバーにはその代表候補選手も多く含まれており、今大会の3試合は貴重な真剣勝負の機会となる。

トップリーグのパナソニックでアシスタントコーチ、2017年と2018年には世界選抜チームのFWコーチも務めた水間監督は、「チームのために戦えるか」を基準に、人としての謙虚さ、ひたむきさ、素直さと向上心の高さを選手に求める。

 「反則をする、怠け者で戻らないなどゲームで絶対に性格が出る。100-0で負けていても最後まで必死にタックルに行けるか、試合中きつい時に周りに声をかけられるか。周りのことを気にかけられない選手は難しい。」

 その資質を備えた福井選手は、19歳ながらもキャプテンに任命された。昨春、東福岡高校を卒業すると大学を経ずにトップリーグのパナソニックに加入。トップリーグの強豪で1年間練習を重ねて体重は10キロ近く増え、「自分のプレーをしっかりやり続ける」という考え方を持てるようになったと福井選手は言う。

今大会の対戦相手について「それぞれ個性があって楽しみ。体を張り続けて、チームを少しでも良い方向に持って行きたい」と若いリーダーは話す。

 日本は一昨年からの2大会でサモアAとトンガAには連勝してきているが、フィジー・ウォリアーズには連敗中で、しかもここ2試合は後半を無得点に抑えられている。

 しかし、福井選手は「フィジーはサモア、トンガとは違うフィジカルからのパスやスピードがある」と指摘し、「いろいろなラグビーを経験できるのはうれしいし、そういう相手に勝てたら、日本人の力を証明できる。フィジーを粉砕して日本チームの凄さを見せたい」と意気込んでいる。

水間監督は「どうやって相手の強みを消すか、相手の弱点を突くか」と話す一方で、自分たちの目指すラグビーを追求することで結果につなげたいとしている。

若手を率いる指揮官は、日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチとも連携をとっており、今後は選手や選手強化の要素などで情報を共有していく意向を明らかにした。そして、日本代表に通じる強化ポイントはマインドセット、スキル、フィジカルの「心技体」だという。

 「フィジカルを上げないとプレッシャーの中でスキルを発揮できない。スキルを発揮するには判断力が必要なので、状況判断が大事になる。代表まで来てフィジカルをやるのはなかなか、しんどい。だから我々も上(日本代表)に選手を送るには、そういうところも上げて、上ではラグビーのことだけできるようにしたい」と水間監督は語った。

 ジュニア・ジャパンが、パシフィック・チャレンジの戦いを将来の日本代表へ道をつなげる。

ジュニア・ジャパン 第1戦サモアA戦試合登録メンバー:

1. 鶴川達彦(早稲田大学)2. 島根一磨(天理大学)、3. 津嘉山廉人(流通経済大学)、4. 片倉康瑛(明治大学)、5. 平澤輝龍(同志社大学)、6. 堀部直壮(同志社大学)、7. 山本凱(慶応義塾大学)、8. 福井翔太*(パナソニック)、9. 齋藤直人(早稲田大学)、10. 片岡智樹(早稲田大学)、11. 木田春斗(立命館大学)、12. 日下太平(神戸製鋼)、13. シオサイア・フィフィタ(天理大学)、14. 望月裕貴(東海大学)、15. 根塚洸雅(法政大学)、16. 原田衛(慶応義塾大学)、17. 紙森陽太(近畿大学)、18. 小鍛冶悠太(天理大学)、19. 小池隆成(東海大学)、20. 藤原忍(天理大学)、21. 丸山凜太朗(東海大学)、22. 中野将伍(早稲田大学)、23. ヴィリアミ・ツイドラキ(摂南大学)

注:* はキャプテン