ワールドラグビー は、来週ダブリンで予定されている重要会合を前に、年次の世界大会の構造と利点に関する組織の見解について説明しました。

ラグビーの国際連盟であるワールドラグビー は、ラグビーの人格形成の理念を守り、ラグビーの世界的発展と、プレーヤーや協会、クラブやファンにとってより優れた、より重要な競技として発展させていくことに強い決意をしています。

昨年5月に協会からの要請を受け、7月と11月のウィンドウの活性化が期待できるこのトーナメントの構造の実現可能性について検証しました。ワールドラグビー のゴールは常に以下のことを実現することです:

  • プレーヤーに最高の環境と機会を提供する
  • 毎年行われる世界大会で、発展国代表チームが上位ランキングチームと対戦することができる初のパスウェイを提供する
  • より意味のある魅力的な対戦カードでファンがよりラグビー観戦を楽しめるようにする
  • 協会にとっての安定的な財政状況を創造する
  • クラブラグビーとの協調を図る
  • 世界におけるすべてのレベルでのラグビーに再投資するための収入の最大化を図る

現在のラグビー放映市場は複雑であり、プレーヤー、ファン、協会そしてクラブを含むラグビーの全体的な可能性を100パーセント活かし切ることができません。ワールドラグビー は加盟協会を代表し、益々競争が激化するスポーツ・エンタテイメント環境におけるラグビーの長期的成長と安定を確保するための重要な取り組みを行っています。

このことを踏まえ、ワールドラグビー は2018年9月、加盟協会の最高責任者と国際ラグビープレーヤー協会と共に以下の大会モデルを協議しました。

  • ネイションズ・チャンピオンシップを2020年にスタート
  • シックスネイションズ、ラグビーチャンピオンシップ、そしてブリティッシュ&アイリッシュライオンズはラグビーカレンダーの重要イベントとして今後も守っていく。
  • 2つのディビジョン(「カンファレンス」)に昇格、降格制度を取り入れ、どの協会も実力に基づいて出場のチャンスをつかむことができるパスウェイを導入
  • 各チームが他の11チームとホーム&アウェイどちらかで一回ずつ対戦しながらリーグ表のポイントを積み上げていく。
  • 各カンファレンスの上位2チームがカンファレンス間の準決勝に進み、その勝者が決勝戦へと進む。
  • 4年ごとに行われるラグビーワールドカップサイクルの2年間で行う。ワールドカップ開催年には開催しない。ライオンズの開催年には簡略形式で行う。
  • 放映権を一元化、一括して販売し、増収の可能性を広げる。スポンサー権も場合によって一元化する。
  • このチャンピオンシップの成績が将来のラグビーワールドカップの出場資格とシードを左右する
  • ラグビーワールドカップは今後もグローバルイベントの頂点として君臨し続ける。2027年大会からは参加チームを24チームに増やす可能性あり。

ネイションズ・チャンピオンシップのフォーマットに関する紹介動画はこちらからご覧ください >>
(動画では、2018年現在の世界ランキングと2018のシックスネイションズの得点結果に基づいて説明したものであり、実際とは異なる場合があります。)

プレーヤーウェルフェア(選手の安全と福祉)は私たちのスポーツにとって基本です。当初の提案では、決勝戦に進んだ場合を含めるとプレーヤーは最高で計13試合に出場することになりますが、大半のチームは計11試合に出場することになります。現在の平均テストマッチ試合数は12試合から14試合です。

今後放送局も、ファンが観たいものだけにより多くの放映権料を支払うようになり、より人々の心を引きつけるような大会を行うことにより、スポーツファンの基盤を拡大させていくことが重要となります。調査の一環としてイギリスとフランスでの市場調査が行われ、ネイションズ・チャンピオンシップの枠組み解説の動画を見せて反応を聞きましたが、6割以上の人が、この大会で、国際ラグビーへの関心度がより高まるだろうと答えています。一方、関心度が低くなると答えた人は僅か4パーセントでした。

マスコミが取り上げている内容とは裏腹に、ワールドラグビー が提案しているこの新たな大会の昇格、降格制度を通じて、どのチームも実力によってトップレベルでの試合をするチャンスが与えられます。このモデルでは、太平洋諸島の国々、そして現在のシックスネイションズとラグビーチャンピオンシップの参加国以外のすべてのチームが参加できるチャンスを与える「パスウェイ」の可能性が含まれています。ワールドラグビー が所有、または運営していない大会も考慮し、昇格・降格制度を含んだネイションズ・チャンピオンシップの提案モデルに対し、否定的な見解を示す協会もありますが、すべての協会からの声に耳を傾けながらも、結果的にすべてのチームにパスウェイの機会を作るという我々の覚悟は変わりません。

ラグビーがすべてのレベルで長期発展していくためには、商業面においての考慮も重要です。今回提案したこの大会モデルにはメディアの権利も組み込まれており、ラグビーの商業的価値をより一貫して高めていくことができます。メディア分野からも強く関心が寄せられており、この大会でメディアから得る収益により国際ラグビー、また協会が、競技への莫大な再投資を行うことができるようになります。

この大会モデルについてステークホルダーが継続的に討議を重ねており、11月ウィンドウにおけるプレーヤーへの負荷など、様々な見解について議論が続いています。このプロセスの次のステップとして、ワールドラグビー のEXCO(執行委員会)とプロフェッショナル・ゲーム・コミッティー(この大会プロジェクトを監督する組織)の共同会合を行います。この会合には、協会会長及び最高責任者、そして選手代表も加わり、ラグビー競技全体にとっての最良の結果を生むための進捗を目指して議論します。

「変化」には常に困難がつきまといます。そして多くのステークホルダーが関わる問題が決して簡単ではないことは誰もが知っています。しかしラグビーが発展し繁栄するためには、新たな道を作り、進化していかなくてはなりません。