すでに第1ラウンドの香港大会、第2ラウンドの韓国大会を制していた日本は、10月13日からコロンボで行われたシリーズ最終戦も譲らなかった。

男子の決勝で日本は前2大会決勝に続いて香港と対戦。これを19-5で制し、シリーズ総合ポイントを36としてシリーズ王者となった。

 男子チームキャプテンを務めた副島亀里ララボウラティアナラ選手(コカ・コーラ)は、「スリランカ大会は予想外の展開が多く、どのチームもAランクのゲームをしてきて、(日本は)チームが試される場となった」としながらも、「天候を考慮して、状況に合わせたゲームプランで、全員が良いプレーをできた。チームの今夜のパフォーマンスを誇りに思う」と話した。

 男子チームは今回プールA初戦でマレーシアに61-0、第2戦で韓国に40-0とゼロ封試合を続けたが、2日目の同第3戦でフィリピンとは後半序盤まで7-12のリードを許す展開に。しかし、日本は後半3分過ぎに加納遼大選手(明治安田生命)のトライで同点にすると、中澤健宏選手(リコー)が1トライ、坂井克行選手(豊田自動織機)がコンバージョン2本を決めて21-12で振り切った。

プール首位突破の日本は、カップトーナメント準決勝でプールBを2勝1敗の2位で突破したホスト国のスリランカと対戦。副島選手、小澤大選手(トヨタ自動車)、坂井選手がトライ2本ずつ決める活躍で34-17と勝利。決勝に進出した。

 決勝は橋野晧介選手(キヤノン)が前半3分に先制トライを決め、坂井選手のコンバージョンで7-0とリードを奪い、香港に1トライを返されたものの、前半7分過ぎに副島選手のトライと坂井選手のこの試合2本目のコンバージョンで14-5と突き離し、橋野選手の2本目のトライも決まって19-5で勝利した。

 坂井選手はスリランカ大会でトライ4本、コンバージョン16本で合計52点を叩き出し、大会最多得点選手となった。

 副島選手は、新人4人を含めたメンバーで臨んだ香港大会で「アジアシリーズの基盤を築くことができ、韓国大会では苦戦したが、試合を進めるたびに課題をクリアして、チームは良い方向に向かっていると感じた」と振り返る。

 日本は、11月末に始まる今季のHSBCワールドラグビーセブンズシリーズ2018-2019にコアチームとして参戦する。

副島選手は、「ワールドシリーズへ良い基盤ができた」と語り、チームを率いた鈴木貴士コーチは、「我々は世界と戦うため、世界と勝つことを目標にやっている。今回のアジアシリーズは次への良いステップになった。ワールドシリーズに向けて、しっかりと準備したい」と語った。

 なお、シリーズ総合2位は総合勝点30の香港、3位は第1ラウンドで4位、今大会で3位に入る健闘を見せたフィリピンで勝点20。4位は1点差でスリランカだった。

女子も香港と決勝

女子セブンズ日本代表も、完全優勝をかけて最終ラウンドの決勝で戦った相手は香港だった。

 プール初戦で韓国に46-0と圧勝した後、第2戦で対戦した折には香港に31-7で勝利していたが、決勝では31-0の完封勝利だった。

 平野優芽選手(日本体育大学ラグビー部)がこの試合2本決めたうちの1本で日本が先制し、田中笑伊選手(日本体育大学ラグビー部)と黒木理帆選手(立正大学ラグビー部)がそれぞれインゴールに持ち込み、大黒田裕芽選手(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)が2本のコンバージョンを決めて前半で19-0のリード。後半も主導権をキープして、平野選手、堤ほの花選手(日本体育大学ラグビー部)のトライと大黒田選手のコンバージョンで突き離した。準決勝で中国を破って決勝進出していた香港だったが、日本は付け入る隙を与えなかった。

 大会2日目に日本はプール3戦で開催国スリランカを29-0で破って首位で通過し、カップトーナメント準決勝でプールDを2位通過したカザフスタンと対戦したが、そこで日本は気を引き締めることになった。

 香港大会で3位に入り、韓国大会決勝でも対戦したカザフスタンに、日本は開始2分で先制を許して0-7ビハインドになる。しかし日本は慌てず、6分に堤選手のトライと大黒田選手のコンバージョンで追いつくと、前半終了間際に中村知春選手(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)のトライと大黒田選手のコンバージョンでひっくり返した。

 後半開始早々にはバテイヴァカロロライチェル海遥選手(立正大学ラグビー部)がラインを超えて、大黒田選手が1トライ1コンバージョンを加え、最後に相手に1トライを返されたが、女子セブンズ日本代表は26-12で勝利した。

 「チャンピオンとして大会を終えられて幸せ」という中村選手は、「ワールドシリーズを経験した、この1年間の成長を、接戦や試合運びで見せることができたように思う。アジアの中で、強い日本を体現してくれた今回のメンバーに感謝したい」と話した。

 女子セブンズを率いた稲田仁ヘッドコーチは、「3大会を通して厳しい試合も多かったが、目標としていた完全優勝を達成できて、チームとしてラグビー、メンタル、ともに成長することが出来た。4月の(ワールドシリーズ)昇格大会へと東京五輪に向けて、非常に意義のある大会になった」と振り返った。

 女子セブンズ代表キャプテンの中村選手は、「他国が東京オリンピックの予選を戦う中、開催国枠のアドバンテージを活かすべく、まずはワールドシリーズのコアチーム復帰に向けて4月までの期間を濃密に過ごしていく」と、次の目標に気持ちを新たにしていた。

 完全優勝した日本のシリーズ勝点は36.総合2位は香港大会で2位、韓国大会とスリランカ大会で3位の中国で勝点は26。カザフスタンは勝点で1点及ばずに3位となり、香港が勝点24で4位だった。