4年前、韓国の仁川で行われたアジア大会決勝。中国との決勝は延長終了直前となり、2点を追う日本は相手ゴール前に攻め込み、トライチャンスを迎えでいた。だがそこで繰り出したパスがスローフォワードと判定されてトライならず、日本は12-14で最後のホイッスルを聴き、銀メダルに甘んじた。

 「あの試合のことは、今も記憶に残っている」と、女子セブンズ日本代表の主将の中村知春選手(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)は言う。「最後は自分たちのスローフォワード。それでトライを獲れずにゴール前で負けた」。

 日本はその後も、中国とはアジアの主要な舞台で顔を合わせてきた。

例えば、昨年4月のHSBCシリーズ2017-2018のコアチーム昇格をかけた大会では、準々決勝で対戦。今夏のラグビーワールドカップセブンズ2018予選を兼ねた昨秋のアジアシリーズの2大会では、いずれも決勝で顔を合わせた。この3戦ではいずれも日本が勝っている。

 ライバルの存在に、中村選手は「ありがたい。中国という絶対的なライバルがいることで、アジアのプライドを意識して戦えるし、お互いにブラッシュアップしていける」と語る。

8チームが4チームずつ2グループに分かれて戦い、グループ総合順位を決めて、1位対8位、2位対7位など順位に応じた組み合わせで準々決勝を行う。準決勝、決勝、最終順位決定戦は最終日の9月1日(土)に行われる。

日本はE組で開催国のインドネシアと初戦を戦い、その後、カザフスタン、タイと戦う。一方の中国はD組で韓国、香港、シンガポールと対戦する。

中村は今回も中国とは決勝での対戦になると予想。「今度は勝つ気で行く」と、実現することを楽しみにしている。そのためには、まず初戦からしっかり勝ち進まなければならない。

 中村選手は言う。「アジアのチームは乗ると強いチームが多い。アジア大会ということで、国を背負って戦う意識は、普通の大会よりも絶対に強いと思う。その部分で負けると足元をすくわれる。スピードの面と、個々のマインドの面でも襟を正して、引き締めてやっていきたい」。

RWCセブンズを経て

 チームは今年7月にサンフランシスコで行われたワールドカップセブンズを戦った顔ぶれが中心。その中には、2017-2018ワールドシリーズの最終戦フランス大会で、大会のドリームチームに選出されたバテイヴァカロロライチェル海遥選手(立正大学ラグビー部/ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)も名を連ねている。

 バティヴァカロロ選手は、ワールドカップから約1か月で迎えるアジア大会に、「ゲームの感覚を忘れることなく、いい状態で仕上がってきている」と、調整には好感触。

アジアでの戦いへ、9月に21歳になるバティヴァカロロ選手は、「今までやってきた、積み重ねてきたことをしっかり出すことが、アジア大会だけでなく、東京オリンピックへつながる。サクラセブンズが上位に食い込んでいくには重要なこと」と話している。

 チームを率いる稲田仁ヘッドコーチは、「ワールドカップでチームは一段階上がった感覚がある」と、ワールドカップセブンズで手応えを得ている。

 この1か月はワールドカップで見えた課題にも取り組み、コミュニケーションや状況判断に磨きをかけ、コンディショニングを図ってきた。

 女子日本代表の指揮官は、「フィジカルとメンタルで自分のちょうど良いところに持って行くことが、今回だけでなく、オリンピックへむけても重要になる」と話す。

そして、こう続けた。「金メダルという目標はあるが、1試合1試合に集中してやっていく。日本は中国や香港には苦戦してきているが、この大会で日本はやっぱり違うというところを示したい」。 

女子セブンズ競技グループ:

グループD―中国、香港、シンガポール、韓国

グループE―日本、カザフスタン、タイ、インドネシア

会場はすべてゲロラ・ブン・カルノ・ラグビーフィールド

女子セブンズ日本代表メンバー:

大黒田裕芽(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、大竹風美子(日本体育大学ラグビー部女子)、小笹知美(北海度バーバリアンズディアナ)、黒木理帆(立正大学ラグビー部/ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、桑井亜乃(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、立山由香里(日本体育大学ラグビー部女子)、田中笑伊(日本体育大学ラグビー部女子)、谷口令子(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、中村知春*(ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、長田いろは(立正大学ラグビー部/ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、バティヴァカロロ ライチェル海遥(立正大学ラグビー部/ARUKAS QUEEN KUMAGAYA)、平野優芽(日本体育大学ラグビー部女子)

注:*印はキャプテン