過去2大会では1勝も挙げられなかった女子セブンズ日本代表が、3度目の挑戦で初勝利を含めて2勝を手にした。粘り強く戦って勝利をもぎ取った一方で、初戦のフランスやチャレンジトーナメント決勝のイングランドにはプレッシャーを受けて思うようなプレーができなかった。

 今大会からプール戦を廃止して導入されたすべてがトーナメント方式という中、初戦でフランスと対戦。最終的に準優勝した相手に7-33で敗れて、日本は9位以下を決めるチャレンジトーナメントへまわった。

その準々決勝で日本はブラジルと対戦し、大竹風美子選手が2トライ、平野優芽選手も逆転トライを含めた後半2トライをマークして日本は19-14で競り勝ち、2日目のチャレンジトーナメント準決勝へ進んだ。

その準決勝で対戦したフィジーに、日本は先制を許す展開に。前半のうちに堤ほの花選手がトライを決めて5-7と詰めるが、後半にもフィジーに1トライ1コンバージョンを決められ、日本のビハインドは5-14に。しかし、後半終盤、日本は攻撃を重ねて谷口令子選手がトライを決めて10-14。最後はバティバカロロ ライチェル海遥選手がラックから持ち出したパスを受けた中村選手が、力強くインゴールに持ち込んで日本が15-14で競り勝った。

 粘り強く攻撃を続けて結果を手にし、その勢いのままチャレンジトーナメント決勝に勝って9位を確保したい日本だったが、体格差のあるイングランドのパワーとスピードに押し込まれ、相手のプレッシャーを受けてミスが続いて苦戦。自分たちの良さを出す前に敗れた。

それでも、一時は前半0-12ビハインドから大竹選手のサイドアタックから平野選手がトライを決めたが、後半開始早々にイングランドに追加トライを許すと、ずるずると押し切られ、攻撃のチャンスを得てもミスを連発。相手に2トライ2コンバージョンを与えて5-31で敗れた。

 キャプテンの中村選手は、「要所要所でミスが多く出た結果、初戦やチャレンジトーナメント決勝といった大事な試合で勝ち切ることができなかった」と反省。「上に上がるには、ミスを少なくすることがすごく必要」と課題を口にした。

 その一方で、「ワールドカップという大きな舞台で2勝できたことは、日本の女子ラグビーの成長の証。アタックで、しっかりボールを動かすことは世界でも通用するとわかった」と話す。

 さらに、前回2013年モスクワ大会や2016年リオデジャネイロ・オリンピックも経験してきた中村選手は、若手の経験がチームの財産になると指摘する。

「平均年齢の若いチームでワールドカップを経験できたことは大きい。2020年東京オリンピックへむけて、彼女たちがチームを引っ張ってくれると思う」と、今後のチームの伸びに期待をかけた。

チームを率いた稲田仁ヘッドコーチは、「選手は今持っている力を100%出してくれた」と選手をねぎらい、「フィジー戦で勝てたことに、少しだがチームの成長を感じた」と評価した。

女子セブンズ日本代表は2020年東京オリンピックでのメダル獲得を目標に強化を進めており、次の戦いの舞台は8月下旬にジャカルタで行われるアジア競技大会になる。今季降格したHSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズへの1年での復帰も目指している。

稲田ヘッドコーチは、今後へ向けて今大会の経験をフルに活かすつもりだ。「一つひとつのプレーの大切さ、プレッシャーの中でパフォーマンスを発揮する難しさを、スタッフ、選手ともに改めて実感した。それを今後の強化にしっかりつなげていく」と話している。