ワールドラグビーでは、組織内すべてのレベルで男女均等を促進する決意を新たにし、来年よりその理事会に占める女性理事の割合を3分の1に増員する野心的な改革計画を発表しました。

ワールドラグビー会長ビル・ボーモントが自ら主導して推し進める本計画は前例を見ない歴史的な展開であり、ワールドラグビーの最高意思決定機関、理事会を構成する理事を32人から49人に増やし、うち17名の新理事をすべて女性とするものです。    

革新的な本改革では、現在、付加的な投票権はあるものの付加的な代表者を理事会に送る権利を持たない11の協会と6つの地域アソシエーションに対し、当事者が女性である場合に限り、付加的な代表者を理事会に送る権利を付与します。この変更は各協会や地域アソシエーションの既存の投票権には影響しません。

先日ロンドンで開催された理事会において全会一致で採択された本改革案は、競技参加者はもとより、ラグビー界全体、さらには統治(ガバナンス)の最高レベルにおいても男女比均等を加速化するというワールドラグビーの総合的な戦略に基づいた歴史的にも重要なステップです。

今回の理事会で採択された 「女子ラグビープラン2017-25」も、「すべての領域で女性の均等機会を確保することにおいてスポーツの世界を主導する」というワールドラグビーの積極的な取り組みが形になったものです。この計画は戦略や組織構造に統合され、ラグビーというグローバルゲームの参加者、パフォーマンス、リーダーシップ、投資に大きく貢献することでしょう。

「女子ラグビー計画」とガバナンス(統治)改革案は、ワールドラグビーの前回のガバナンス構造改革の一環として2015年に発足した女子諮問委員会(Women’s Advisory Committee)のガイダンスの下に作成されました。

ボーモント会長は次のように述べています。「ワールドラグビー、そしてこのグローバルなゲームの進歩と成長に向け、大きな一歩を踏み出しました。この歴史的な改革は未来に向けた私たちの野心を体現するものです。ラグビーの世界で女性の力を推進してゆくためには、トップから変化する必要があります」。

「理事の方々には、この重要な改革を支援してくださったことを感謝します。世界中でラグビーを推進していくために、ラグビー界内外から新しい代表者の方々を迎え、ともに働けることを楽しみにしています。素晴らしい第一歩です。今後さらに多くの女性が理事、そしてラグビー界全体に迎えられることになるでしょう」。

女子ラグビーワールドカップの記録的な成功、7人制ラグビーの2016年リオ五輪種目入り、HSBCワールドラグビー女子セブンズシリーズの活況など、女子ラグビーは先例を見ない急成長を遂げており、各レベルにおける競技参加者も増加しています。最新のデータによると、すべてのレベルで240万人を超す女子(子供を含む)がラグビーに参加しており、これは世界的ラグビー人口の4分の1以上に相当(26%)、女子競技者数は2013年に比べ60%増加しています。

ラグビーのすべてのレベルでこの成長を支え、世界中で強化、促進してゆくために新しく策定され、承認された戦略的 「女子ラグビープラン」 は以下を目的にしています。

  • フィールド内外で周囲を鼓舞するリーダーシップを発揮する
  • 競技参加者の持続可能な成長を維持する
  • 質の高い試合を通じてハイパフォーマンスを達成する
  • インパクトのあるプロファイルを築き、関与をアピールする
  • 戦略的で持続可能な投資パートナーシップを築く

VIEW THE 2017-25 WOMEN'S PLAN HERE >>

計画には国際試合カレンダーの見直し、リーダーシップ開発奨学金制度やスポーツ開発助成金などのリーダーシップ開発イニシアチブ、各地域、協会を対象としたガバナンス改革リソースの創出、多様化された新しい投資ストリーム創出のための戦略策定などが含まれます。

ワールドラグビー女子ラグビー・ゼネラルマネージャーのケイティ・サドレアは次のように述べています。「最近アイルランドで開催された女子ラグビーワールドカップの成功を弾みに、理事の3分の1以上を女性に割り当てるという今回の決定はラグビーの世界を大きく変えることになるでしょう。ラグビーをプレーする女性だけでなく、ラグビーというスポーツ全体の未来を決める統治方法が変わることになるからです」。

最高意思決定機関である理事会に女性の声を確実に反映することによって、よりバランスのとれた意思決定が可能となり、さらにラグビーだけでなく世界のスポーツ統治機関における新たな水準の主導役になることができます。野心的な「女子ラグビープラン2017-25」に添い、フィールド内外で女性の開発機会を優先し、次の世代を担う世界中の子供達にインスピレーションを与えて行きます」。

今回の改革によってワールドラグビー初の女性理事となったのが、フィリピン・ラグビーフットボール協会事務総長のアイダ・ミルビー。先週末にアジアラグビーにより選出されました。

ミルビー新理事は次のように語りました。「すべての人のためのスポーツ、というスローガンを行動に移したワールドラグビーを賞賛したいと思います。ワールドラグビー初の女性理事、ということで、大きな名誉を感じています。これは、ラグビー界すべてのレベルで女性のリーダーシップを受け入れる取り組みが進んでいることを反映しているだけでなく、他のスポーツ団体にも強烈なメッセージを送っています。つまり、本気で女性参画に取り組むのなら、従来は考えなかったようなところに解答があるかもしれない、ということです」。

その他の理事会決定事項 

規定第8条

ワールドラグビー理事会は、規定第8の条改定を承認し、選手の出自を養父母に帰することができるものとする。 

規定第20条

ワールドラグビー評議会は規定第20条(不正行為)の改定を承認し、他のスポーツからラグビーへと競技者が移った場合、ワールドラグビーが認識する他のスポーツ団体が決定した当該競技者に係る懲戒処分を各国の協会や試合主催者は自動的に認識するものとする。