20歳以下の世界最高舞台であるワールドラグビーU20チャンピオンシップへ、日本が1年での復帰を果たしました。

 首都モンテビデオのEstadio Charruaで行われた決勝は、当地でかつてないほどの激しい雨と雷に見舞われ、残り15分の時点で選手の安全を考慮したFernando Gonzalezレフェリーの判断により打ち切りとなり、11得点のリードを奪っていた日本の勝利が決まるという異例の展開でした。

試合開始からフィールドに水が浮く悪コンディションで走りにもボールコントロールにも苦労する中、双方ともにキックを使って相手のミスを探る展開が続きます。

 試合が動いたのは前半25分。ポルトガルのキッカーとして決勝進出に貢献してきたJorge Abercasis選手の自陣深い位置でのキックにFLファウルア・マキシ選手がチャージ。そのままインゴールへ飛び込んで今大会6本目となるトライを決め、この試合でSOを務めた岸岡智樹選手のコンバージョンも決まって7-0としました。

 プール3戦での接戦を制して決勝進出したポルトガルは、得意のモールで攻め手を探りますが、キックの不調が響いて前半で得点を返せないまま、ハーフタイムに入ります。

 後半に入って7分後、日本はFW力を活かしてスクラムで押し込み、ペナルティトライを奪って点差を14-0に広げます。

 ポルトガルも反撃を試み、56分にAbercasis 選手がPGを決めて3点を返し、その後も得点機を探りますが、65分になると激しい雨に加えて雷が近づきます。レフェリーが一旦、選手をフィールドから引き揚げさせ、待機状態が続きましたが、天候の回復が見込めないとして試合を打ち切り、日本の勝利が告げられました。

65分での打ち切りの判断について、大会ディレクターのSimon Kibble氏は、「モンテビデオの今日のこの天候と雷が近づいたことにより、試合を打ちきりとし、日本を勝者とした」と説明しました。

 

選手の成長を称賛

悪天候でプレーの選択肢が狭められた中での勝利に、U20日本代表の遠藤哲ヘッドコーチは、「悪天候の中、ハンドリグを駆使したアタックは封印せざるを得なかったが、有効なキックやディフェンスを武器としたゲームを展開できたことが勝利につながった」と話しています。

日本代表指揮官は、厳しい条件下で選手たちの戦いぶりに成長の跡を認めて、「選手が勝ちたいという思いを体で表現して激しくプレーすることと、試合前に掲げたゲームプランを遂行すること。その2点を決勝戦のプレッシャーの中で試合終了まで貫けたことは、今年のU20代表の最大の進化。そのことを心から嬉しく、誇りに思う」と話して、チームの成長に目を細めました。

ゲームキャプテンを務めた武井日向選手は、「決勝戦はタフな試合になり、思い通りのプレーができないこともあったが、一人ひとりが仲間のために体を張り続けた結果、勝利につながった。目標だった優勝を手にできて、とてもうれしい」と話しています。

また、決勝を欠場したキャプテンの眞野選手は、「今日はU20日本代表のラグビーの根幹部分を大切にして戦ったので、荒天の中でも勝利できた。国内合宿から始まった準備を確実に実行できたことで、優勝という結果が得られた。全員が協力して最後まで成長できたことをキャプテンとして誇りに思う」と語りました。

 なお、決勝の前に行われた3位決定戦では、開催国ウルグアイはナミビアを34-12で下しました。NO 8のSantiago Civetta選手が試合開始3分での先制トライを含めて2度ラインを超える活躍で、U19アフリカ王者を押さえての銅メダルです。

また、フィジーに15-13で辛勝したチリが5位、カナダは香港に38-0と圧勝し、7位で大会を終えました。