日本は7月下旬にワールドカップメンバー発表を控えて、選手にとっては香港と2連戦が最後のアピールの場です。この日が代表デビューとなったSO福島わさな選手やNO 8鈴木彩夏選手、また、FL末結希選手やWTB平野恵理子選手ら、先月の欧州遠征へ参加していなかった顔ぶれが先発。試合開始20分で、日本は3本のトライを挙げてペースを掴み、WTB黒木理帆選手、平野選手、HO斎藤聖奈選手、CTB長田いろは選手がそれぞれ2本のトライを決めました。

先制は試合開始6分、FB清水麻有選手が縦に抜け出し、パスを受けた黒木選手がゴールラインを割ると、12分には逆サイドで平野選手、19分には斎藤選手が5点ずつ加えて、日本は15-0とリードします。

来月のワールドカップへ向けて調整中の香港は、19分にSHリンゼイ・バーティー選手からジェシカ・ホー選手へ入れ替えると、その直後に攻め込む場面を作りましたが、日本は集中を切らさずに相手を良く止めて対応しました。

23分の給水ブレイク後、日本はラインアウトから左へ展開して、最後は鈴木選手がトライ。さらに前半終了直前には斎藤選手がゴール前のラックサイドを突いて持ち込み、この日2本目のトライを決めました。

後半に入っても日本の攻撃は衰えず、開始早々にはラックからワイドに展開して、「自分たちらしい形で獲れた」(有水剛志・日本代表ヘッドコーチ)というトライを黒木選手がマークします。その後、13分、18分、21分とトライを重ね、31分には長田選手が2度目のゴールライン越え、清水選手がこの日4本目のコンヴァージョンを決めました。

香港は終盤、日本の自陣でのキックへのチャージを起点に、攻め込む場面を作りましたが、日本は粘り強く相手を止めて押し返し、58-0で試合を終えました。

日本HC、レベルアップを要求

 2015年以降の日本の香港との対戦成績は、昨年12月のワールドカップ予選を含めて日本が4戦4勝。その中で今回は初の無失点試合で、最も点差が開いた結果となりました。

 ジョー・ハル香港代表ヘッドコーチは、「結果は明らかに残念。日本は非常に素晴らしい試合をした。早々に先制して、スピードのあるハイテンポな試合を展開して、ブレイクダウンでもコントロールしていた」と話していました。

 しかし、有水ヘッドコーチは、「ハーフタイムにも『ワールドカップでも通じるプレーを』と選手に話していたので不満が残る」と厳しい表情です。

 日本代表指揮官は、試合の入り方や守備には「一定の成果があった」として及第点を与えたものの、セットプレーの精度やラスト10分でのゲームコントロールなどの課題点を指摘。「点差ではなく中身。ワールドカップでベスト8に入るには、まだ、その基準には達していない」と語り、「チームとして選手に求めたいのは劇的に変わること。次の合宿から劇的に変わって、アウェイ戦でプレーの中身を変えて欲しい」と話しました。

 香港との第2戦は1週間後の7月15日(土)にアウェイで行われます。チームは9日以降も国内で調整を続けて、第2戦へ備える予定です。

福島選手は15人制代表で初の司令塔役に、「手応えはまだまだ。みんなに助けられて今日勝てた。これからW杯へ行くためにいろんなことを詰めていきたい」と話し、負傷から復帰した末選手は、「久しぶりの試合としてはまあまあの出来です。後半自陣で攻められる時間が長くてかなり苦しかった。そこを我慢してディフェンスし続けてトライまで行けたのは、すごくよかったと思う」と振り返りました。

 一方、主将の斎藤選手は、「ベスト8を目指す上で、この内容ではいけない。次の試合までに修正して、ベスト8の精度を香港で見せたい」と気を引き締めていました。