モンゴルで行われたアジアラグビー理事会で発表された「IMPACT Beyond 2019」は、ワールドラグビー、アジアラグビー、日本ラグビーフットボール協会の三者のパートナーシップによる、アジア初開催となるラグビーワールドカップ2019日本大会のためのレガシープログラムです。
 
 アジアはすでにラグビー界における成長の中心となっています。アジア全土でのプレーヤーは、ラグビーワールドカップ2019のアジア開催が決まった2009年には356,000人でしたが、2016年には562,000人を数えるまでになりました。また、2016年には610,000人の子どもたちが「Get Into Rugby」に参加しました。
 
 「IMPACT Beyond 2019」は、この成功を生かして世界で最も人口が多いアジアの潜在能力を引き出そうとするものです。以下の4つの主要ポイントに重点を置いて、各協会がラグビーへの参加者の拡大を図り、持続可能なビジネスモデルの育成を可能にするものです。​
 
1. GROWING THE GAME IN JAPAN(日本におけるラグビー振興)
ターゲット: ラグビー登録人口を20万人以上にする
 
2. GROWING THE GAME IN ASIA(アジアにおけるラグビー振興)
ターゲット: アジアで新しいプレーヤーを100万人以上増加、プレーヤー人口を200万人以上にする
 
3. GROWING BROADCASTING IN ASIA(アジアにおける放送網の拡大)
ターゲッット: アジア全土のプラットフォームでラグビーが広く放送される
 
4. GROWING THE GAME GLOBALLY(世界におけるラグビー振興 )
ターゲット: RWC2019のインパクトを最大限活かして世界のプレーヤー人口を1100万人以上にする
 
 
 ワールドラグビーの普及プログラム「Get Into Rugby」は、子どもたちがラグビーに参加するための入り口として、2016年までに全世界で200万人近い参加者を動員してきました。その他の「IMPACT Beyond 2019」の一環として、Asia One Million、国際協力機構(JICA)と日本ラグビー協会の連携協力によるJICA-JRFU スクラムプロジェクト、JENESYS の国際交流プログラム、Sport For Tomorrow、Child Found のPass It Backなどがあります。
 
 
 
ワールドラグビーのビル・ボーモント会長のコメント
「ワールドラグビーの使命はラグビーを世界的に発展させることであり、我々は各地域や協会との様々なパートナーシップを通して、2020年までに1100万人の選手を引きつけて触発し、維持するという戦略的野心を抱いています。2019年ラグビーワールドカップは、アジアにとって、またとない素晴らしい機会です。
 
主要イベントの計画において、真に持続可能なレガシーというものは中心概念になるべきで、あとから取って付けたようなものであってはなりません。「IMPACT Beyond 2019」プログラムは、アジア初となるラグビーワールドカップの2019年開催までに、世界で最も人口の多いこの地域での競技参加や指導、管理運営、ファンを巻き込んだ活動の目標を示しています。また、これらの目標を実現するためのロードマップや資源を提供するものです。
 
これまでにも「IMPACT Beyond」プログラムは成長戦略の中心を担ってきており、2015年ラグビーワールドカップや2016年リオデジャネイロ・オリンピックでは成功を収めました。このプロジェクトを通して、ワールドラグビーは財政支援や発展とハイパフォーマンス支援など、競技のあらゆるレベルで持続可能な発展のための堅固な基盤を、各協会へ提供する所存です」。
 
 
アジアラグビーの徳増浩司会長のコメント
「「IMPACT Beyond RWC 2019」の戦略を始めることは、大きな興奮であり誇りです。今後4年間とそれ以降へ向けて、日本および我々の地域で競技発展のための膨大な数のプロジェクトを具体化するものです。
 
アジアラグビーは1968年発足時の8協会から、今日では5つの地区に30加盟協会が所属するまでになりました。我々の地域でラグビーワールドカップを開催できることになって、この「IMPACT Beyond」戦略には、アジアを世界ラグビーマップに載せて競技レベルをより高めようと長年試みてきた、みんなの努力が反映されています。
 
2019年のラグビーワールドカップ日本大会と2020年の東京オリンピック、そしてさらにその先の未来へ向けて、これらのエキサイティングなプロジェクトに我々の加盟協会とパートナーと共に取り組むことを楽しみにしています」。
 
 
日本ラグビーフットボール協会の岡村会長のコメント
「日本ラグビーのミッションは、人々を豊かにし、社会の発展にも貢献していくことです。ラグビーという競技は身体、技能に加え、人格をも鍛えるスポーツとしてインテグリティ、すなわち真摯さを示し、次世代に伝えていきます。困難なことに果敢に挑む姿勢こそ、日本ラグビーのあるべき姿です。
 
2019年日本はアジアで最初のラグビーワールドカップ開催国になります。 ラグビーワールドカップ2019日本大会の成功と勝利こそが、日本ラグビー史上最大の挑戦です。日本ラグビーは、あらゆる人々や社会の活力になるために、2019年を越えて、日本を越えて、ラグビーを越えて、インパクトを与える『Big Try』への挑戦を続けていきます。」
 
 
日本ラグビーフットボール協会の坂本専務理事のコメント
「2019年ラグビーワールドカップのホストユニオンである日本ラグビーフットボール協会では、「IMPACT Beyond 2019」とリンクした戦略計画及び普及戦略を先日発表いたしました。その中でも、World Rugby、Asia Rugbyと連携して、ラグビーの普及・育成に努めることを明記しています。日本ラグビーフットボール協会のみならず、ラグビーワールドカップ2019組織委員会やワールドカップ開催都市、キャンプ候補地の自治体および支部協会など関係者とも密に連携を図り事業を進めていきます。
 
また、日本国内はもとより、アジアでのラグビー普及・育成を目的に2011年に立ち上げたASIAN SCRUM PROJECTにおいて、Sport For TomorrowやJICA青年海外協力隊、JENESYSなど、国のプロジェクトとの連携をさらに拡大して参ります。引き続き関係省庁などの多大な支援の下、IMAPACT Beyond 2019におけるアジアへのラグビー普及・育成へも努めてまいります。」
 
 
 
 2015年ラグビーワールドカップや2016年リオデジャネイロ・オリンピックをはじめとする主要大会で大成功を収めたように、「IMPACT Beyond」はスポーツとビジネス両面での戦略であり、世界屈指のスポーツ大会であるラグビーの祭典を開催することで得る、多種多様な利益を最大限に活用するために、各協会に可能な限り最良の基盤を提供するものです。
 
 このプログラムは、記録破りの大会となった2015年ラグビーワールドカップでも中心となり、ラグビーヨーロッパの17加盟協会は、イングランド協会の各地区と戦略パートナーとして知識を共有し、各コミュニティレベルでの競技参加に、より強固な基盤を築きました。イングランドでは百万を超える選手を新たに動員し、34万人が初めてプレーを体験しました。