RWCでのイタリア

 ラグビー界最高峰の大会に出場を続けるイタリアがフィールドで成果を出してきたことはこれまでにも広く言われてきたことですが、ワールドカップ大会への貢献も明らかです。1987年5月22日、イーデンパークでの第1回ラグビーワールドカップ大会では開幕戦でニュージーランドと対戦する栄誉にあずかります。イタリアは6‐70で敗れましたが、試合は競技の世界的発展を映し出す形になりました。

 ニュージーランド代表WTB John Kirwan選手の魅惑的な独走からのトライ場面は、この開幕戦の思い出として多くの人々の記憶に残る、まさに魔法のような瞬間でした。しかし、ワールドカップ大会史上初の得点者として記録本に名前を残したのは、スイス生まれのイタリア代表CTB Oscar Collodoです。

 第2戦でアルゼンチンに敗れた後、第3戦ではフィジーに18‐15で勝利を収めましたが、ノックアウトステージへ駒を進めたのはフィジー。3試合での総トライ数でイタリアの5本に対してフィジーは6本で上回ったことが決め手になりました。

 4年後の大会では、イタリアは第1回大会の倍近いトライを生み出します。ワールドカップ史上最少規模の会場となったオトレーにあるクロスグリーン競技場で、アメリカと対戦したイタリアは、Ivan Francescato 選手の素晴らしい1トライを含めた4トライなどで30‐9で勝利。次のロンドン・トゥイッケナムで行われる第2戦のイングランド戦へ歩みを進めました。

 ところが残念なことに、イタリアはその大舞台で芳しいプレーができず、6‐36で敗れてしまいました。この試合はBrian Andersonレフェリーが担当し、反則が37件あったと報告されています。それも数日後にニュージーランド戦を迎える頃には忘れられ、イタリアはオールブラックス相手に気合いの入ったプレーを見せて、敗れはしましたが10点差(21‐31)に抑える健闘を見せました。

 イタリアのワールドカップ史上最高の結果は、1995年大会のアルゼンチン戦でしょう。南アフリカのイーストロンドンで行われたこの試合で、SO Diego Dominguez選手の活躍で31‐25の勝利を挙げました。イタリアは初戦をサモアに落とす残念な大会スタートを切っていましたが、第2戦のイングランド戦ではトライ合戦を展開。これは惜しくも20‐27で敗れましたが、そこからプレーを改善して臨んだ成果でした。

 ここまでの大会ではすべて1大会で最低1勝はマークしてきたイタリアでしたが、それも1999年大会で終わりになります。年齢を重ねたチームはイングランド(7‐67)、ニュージーランド(3‐101)のパワーに応えることができませんでした。この2試合の間に行われたトンガ戦では、インジュアリータイムになってSateki Tu’ipulotu選手に長い距離からドロップゴールを決められ、25‐28で落としました。

 かつては苦しめられる存在だったカーワン氏が、2003年のオーストラリア大会へ向けてイタリア代表監督に就任しました。シックスネーションズに参戦して4年が経ち、イタリアのプレースタンダードは上がっていましたが、ワールドカップでの8強入りはまた別の話でした。間が悪いことに、重要なウェールズとのプール最終戦を前に、WTB Mirco Bergamasco 選手や第2列のMarco Bortolami 選手らキープレーヤー数人が相次いで負傷し、イタリアは15‐27で敗れました。

 2007年大会では、ニュージーランドと6大会中5度目の同組での顔合わせになりましたが、イタリアはこの大会でノックアウトステージへ進出することに自信を持っていました。ルーマニアとポルトガルの両チームに勝つと、サンテティエンヌでのスコットランド戦が、イタリアがオールブラックスに次いで2位突破できるかを決める一戦になりました。大会後の引退が決まっていたイタリアのSH Alessandro Troncon選手がこの試合唯一のトライを決めましたが、スコットランドはChris Paterson選手が6本のPGを決める活躍でチームを18‐16へ導き、イタリアは2点差で敗れました。

Italy's Best Moments | Rugby World Cup 2015
The Azzurri showed the world what they were made of at RWC 2015 and will undoubtedly come back stronger than ever in 2019. Take a look at some of Italy?s tournament highlights.

 2011年大会はオーストラリアとの初戦を落としてのスタートでしたが、イタリアはネルソンに集まった同郷出身の観客の声援を受けて、第2戦のロシア(53‐17)と第3戦のアメリカ(27-10)からは勝ち星を挙げました。続いての相手はアイルランドで、イタリアの運命は2大会連続でシックスネーションズ出場国との対戦に委ねられることになりました。その試合でイタリアは前半を3点ビハインドで折り返しますが、アイルランドが後半27得点してイタリアを無得点に抑え、結局イタリアはプール戦で大会敗退になりました。

 2015年のイングランド大会は、それまでと比べると、やや味気ないものになりました。チームの守護神で主将のSergio Parisse選手が、ふくらはぎの血腫のためにトウィッケナムで行われたフランスとの初戦(10‐32)とリーズでのカナダとの第2戦(23‐18)を見送らざるを得なかったのですが、イタリアはカナダ戦でチームのワールドカップ通算50トライ目をマークしました。

 Praisse選手はアイルランド戦の66分にベンチからフィールドに登場して試合に復帰しましたが、結果は9‐16で黒星。しかし、エクセターでの最終戦でルーマニアに32‐22で勝って、ワールドカップ28試合目にして記念の500得点超えをマークしました。

RECORD BREAKERS

 FL Mauro Bergamasco選手が2015年ワールドカップのカナダ戦の勝利に交代出場で登場し、Brian Lima選手(サモア)と並ぶ5度目の大会出場を記録。

HIGH

 イタリアは1991年大会のニュージーランド戦で気合いの入ったパフォーマンスを見せると、ニュージーランドの31-21勝利にも関わらず、試合後、ウェルフォードロードスタジアムに集まった15,711人の観衆からスタンディングオベーションを受けた。後半は18‐15で相手を上回り、前大会王者からトライを挙げた最初のチームに。

LOW

 ニュージーランドは実質2軍でイタリア戦に臨んで101‐3の大勝。レギュラー4人のうちの一人、Jeff Wilson選手がハットトリックを決め、John Kirwanの持つニュージーランドのトライ得点記録を塗り替えることに。

こんなコメント

 「一瞬、自分はイタリア史上一番愚かなキャプテンだと思ったけど、Fabio Ongaroもキャプテンだったことを思い出して、少なくとも一人は自分よりひどかったんだと自分に言ったんだ」。Martin Castrogiovanni が2011年大会ロシア戦でSergio Parisse の途中交代で彼からゲームキャプテンを引き継いで。

驚きの数字

 RWC 2015でイタリアは1試合平均のタックル数で、他のどのチームをも上回る(144) 数字を記録。

ラグビーワールドカップ2019大会のプール組み合わせ抽選会は、2017年5月10日に日本の京都で行われます。

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