RWCでのジョージア

 2015年はジョージアにとってワールドカップ出場チームとしてふさわしい年になりました。

 Milton Haig監督の下、ヨーロッパネーションズカップを制したジョージアは、世界ランクで4ポイント近くを獲得して13位へ浮上していました。

 ニュージーランド出身のHaig監督は、2015年イングランド大会で2勝を挙げる目標を設定して、トンガとナミビアに勝利して順当にこれを達成します。合計でも過去3大会で倍以上となる成績を挙げて、2019年大会への出場を確定させました。

 2003年オーストラリア大会予選でロシアを破って本戦へ初めて出場して以来、ジョージアは2019年で5大会連続の出場です。

Georgia Reaction: Haig hoping to make history

ジョージアは2003年大会ではプールCに入り、優勝候補とされて実際に優勝したイングランド、1995年大会覇者の南アフリカ、サモア、ウルグアイと同組という厳しい組み合わせの中で、堂々の大会デビューでした。

初戦ではイングランドを相手に頼もしいパフォーマンスを披露し、スクラムでは相手と対等か時には相手を心理戦で上回るプレーを見せました。試合開始8分まで3‐3の同点でしたが、そこからイングランドがギアを一段アップして格とフィットネスの違いを見せつけ、トライ12本を繰り出す攻撃で84‐6の勝利を収めました。

続くサモア戦では、SO Pavle Jimsheladze選手がPG 2本とDG 1本でジョージアの全得点を叩き出しましたが、チームは失速して9‐46で敗れました。

その後、パースからシドニーのオージースタジアムへ場所を移して迎えた第3戦で、ジョージアは圧倒的なプレーを見せる南アフリカと対戦します。最終的には南アフリカが46‐19で勝ったものの、イングランド戦やサモア戦と同様に南アフリカはジョージアの屈強な守備に手を焼きました。

 ある段階では格上を相手に6点差以下にまで迫り、David Dadunashvili選手が肩の脱臼の痛みをものともせず、チーム1号となるワールドカップでのトライを決めました。試合終了の笛が鳴ると、会場に集まった地元観客からスタディング・オベーションが起こり、これに対して選手たちはまるで大会に優勝したかのような反応を見せました。とはいえ、ジョージア初のワールドカップは残念な結果になり、未勝利チーム同士の対戦でウルグアイに12‐24で負け、大会を後にしました。

 ジョージアは2007年フランス大会へも、ポルトガルとの手に汗握る予選プレーオフ2連戦を経て出場しました。プール戦は再び厳しい組み合わせになり、ジョージアはプールDで開催国フランス、3位に入ることになるアルゼンチン、アイルランド、ナミビアと戦いました。

 リヨンでのアルゼンチンとの初戦では、前半は両チームともトライなしで終えたものの、後半になるとジョージアはアルゼンチンに4本のトライを許し、自分たちは得点を奪えないまま、3‐33で敗れました。

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Try Time Tuesday: Giorgi Shkinin - Georgia v Ireland
Giorgi Shkinin scores a great intercept try for Georgia at Rugby World Cup 2007, the man who was marking Brian O'Driscoll .

 ボルドーでの第2戦でジョージアは、試合残り30分まで10‐7とリードを奪い、詰めかけた満員の観客に大会史上最大の衝撃を目にするのかと密かに思わせる展開を演じます。しかし、アイルランドはGirvan Dempsey選手がトライを決め、終盤にはTMO判定にも助けられて勝利し、敗戦の不名誉を免れました。

 このニアミスで活気づいたジョージアは、次にランスに移動してナミビアと対戦。試合立ち上がりから攻勢に試合を進めました。Akvsenti Giorgadze 選手、Irakli Machkhaneli選手、Davit Kacharava選手がトライを決め、Merab Kvirikashvili選手がキックで15点を叩き出す活躍で、ジョージアはワールドカップ初勝利を手にしました。しかし、マルセイユでのフランスとのプール最終戦はジョージアにとっては手に余るものとなり、ホスト国が64‐7で勝利を収めました。

 ニュージーランドでの開催となった2011年大会時には、ジョージアはMamuka Gorgodze選手らFW陣がフランスのTOP 14リーグで経験を重ねているようになっていました。ところが、スコットランドとの初戦は雨の中での悪コンディションとなり、そこで力を発揮するには至りませんでした。6‐15での敗戦は、ジョージアを率いるスコットランド出身のRichie Dixon 監督には残念なものでした。Dixon 監督はスコットランドでプレーと指導者としての経験も積んだ後、この大会の2年前にジョージア指揮官に就任していました。

 ジョージアはその後のプールBでの戦いで、ルーマニア戦の25-9勝利を挟んでイングランド(10-41)とアルゼンチン(7-25)には敗れました。

 2011年大会後、Haigが監督に就任し、ジョージアのFWのパワーを活かしながら、攻撃力を上げる取り組みを始めました。2015年大会でのトライは5本でしたが、それにより大会通算を16戦で14本としたことを見れば、この分野での成長が認められます。

 トンガとのグロスターでの試合では、主将で守護神のGorgodze選手がチームを17‐10の勝利に牽引しました。同じ会場で迎えた第2戦のアルゼンチン戦で、チームは45分まで9‐14の接戦を演じていましたが、Gorgodze選手をイエローカードで失うと、アルゼンチンが得点を許すようになり、9‐54で敗れました。

Challenging the Greatest Rugby Sides
A look at the measures being put in place to help the likes of Georgia, Tonga, Namibia and Japan to consistently challenge the international game?s established elite.

 カーディフでの世界王者オールブラックスとの対戦では、相手のミスに加えてジョージアが激しい抵抗で臨み、敗れはしましたが10‐43という結果になりました。FB Beka Tsiklauri 選手が開始5分にハーフウェイ付近でのターンオーバーからトライを決め、Gorgodze選手がこの試合の最優秀選手に選ばれました。

 ジョージアが目標を達成するためには、エクセターでのナミビア戦に勝たなくてはなりませんでした。試合は激しい展開となり、ジョージアは最後の10分間で10点を献上しましたが、なんとか17‐16で勝利をものにしました。

 2007年大会でのナミビア戦の30‐0には程遠いスコアでしたが、ジョージアはプールCで3位に入り、2019年大会への本戦出場権を確保するには十分でした。

RECORD BREAKERS

 SH Vasil Lobzhanidze 選手は2015年大会のトンガ戦に18歳340日で出場し、ワールドカップ史上最年少選手に。アメリカのThretton Palamo選手の記録を塗り替えました。

HIGH

 2015年大会でトンガを破って、2007年のナミビア、2011年のルーマニアに続いて、上位ランクの相手から白星を挙げたワールドカップ史上3チーム目に。その試合で、ジョージア主将のMamuka Gorgodze 選手とGiorgi Tkhilaishvili選手がトライを決めています。

LOW

 高い前評判を受けるのは苦手で、2003年大会プール戦のウルグアイ戦が然り。ミスを連発して12‐24で敗れ、忘れられない試合に。

こんなコメント

「ジョージアのラグビー界とジョージア全国民にとって今日は最高の日だ。どんなお祝いになるのかよく分からない。これは我々の初勝利だけど、僕らは勝つことには慣れてないんだ!」FL Rati Urushadze 選手が2007年大会ナミビア戦での大会初勝利に。

驚きの数字

Merab Kvirikashvili 選手はワールドカップで15試合に出場した、ティア2国出身2人目の選手。もう一人はサモアのBrian Lima選手(18試合出場)。

ラグビーワールドカップ2019大会のプール組み合わせ抽選会は、2017年5月10日に日本の京都で行われます。

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