92年ぶりにオリンピックの正式競技に採用されたラグビーは、初日からハイテンポなアクションと予測のつかない展開で世界中のスポーツファンを魅了した。

8月11日(木)、3日目のマッチデーを迎えたリオオリンピック2016男子セブンズ大会では、王者に輝いたフィジー代表が、フィジー史上初のオリンピックメダルを獲得し、新たな歴史を作った。

3位決定戦では、試合を始終支配した南アフリカが、54-14で日本に圧勝し、銅メダルを手にした。 一方、アルゼンチンを下したニュージーランドが5位で終わり、オーストラリアとの激戦を制したフランスが7位となった。

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決勝戦 フィジー代表 対 イギリス代表

オリンピック金メダルをかけた決勝戦は、現地時8月11日(木)に、デオドロ・スタジアムでキックオフした。青い旗を振り回す、大盛りのファンが見守るなか、金メダルへ向けての第1歩を踏み出したのは、フィジーだった。レオネ・ナカラワとセミ・クニタニの好プレーが、オセア・コリニサウのトライつながった。

直後に、相手のタックルをかわしたサミソニ・ビリビリが、アウトサイドにいたジェリー・ツワイに素速いパスをまわし、楽々と2本目のトライを獲得したフィジー。連続失点を許したチームGBは、3本目のトライを決めにゴールラインへ向かっていたレオネ・ナカラワを、トム・ミッチャルキャプテンがトライセービングタックルでなんとか攻撃を阻止。

その後、ジェームズ・デービース選手がラインゲインをするもハンドリングエラーから、フィジーにボール渡す。ミスから生まれたチャンスに乗じたフィジーは、ジャザ・ベレマルアのトライで点差をさらに広げた。リスタートでボールに手が及ばなかったダン・ノートンのミスで、レオネ・ナカラワがチーム4本目のトライを決め、29-0でハーフタイムを迎えた。

後半開始、ミスの繰り返しで攻撃の流れが作れなかったチームGBは、ディフェンスの時間帯が続いた。一方のフィジー代表はオフロードパスから相手のディフェンスをかわし続け、4分には、ジョシュア・ツイソバが守備を崩し、GBのゴールラインを割った。後半6分には、イギリスが意地のトライで先制点を獲得し、スコアは36-7に。

その後も容赦なく攻撃を続けたフィジーは、イギリスの22Mライン付近のスクラムから、ボールを奪い返しビリアメ・マタがトライを挙げた。後半9分、イギリスがボールを手にするも、ボールを落としてしまい、フィジーが蹴り出しノーサイド。

フィジー史上初のオリンピックメダルは金メダルとなった。


フィジー代表率いるベン・ライアンズヘッドコーチは「(チームは)最後の最後で最高のパフォーマンスを見せた。」とコメント、さらに「(私たちは)ウォーミングアップ、そしてロッカールームでは私たちは笑顔でリラックスしていた」と話した。

試合を観戦しにリオの会場を訪れていたフィジーのフランク・バイ二マラマ総理大臣は、「選手たちは素晴らしいラグビーをプレー見せてくれました。コーチとプレーヤーたち、共にこの日のために何ヶ月も努力してきました。今日はそのハードワークが報われました。と、フィジーの歴史的勝利を手にしたチームを称賛した。「フィジーでは、誰も仕事には行かず、大学も休学となり、みんなが応援していた」

3位決定戦 日本代表 対 南アフリカ代表

銅メダル獲得を目指して対南アフリカの3位決定戦戦に臨んだ日本代表だったが、ブリッツボックスは名のとおり、優れたスピードと身体能力でジャパンセブンズを圧倒した。

初日からトライゲッターとして大活躍してきた後藤輝也は、前半序盤に脚の負傷でピッチを去り、日本は試合開始から早々にピンチに直面した。その直後、フアン・デヨングが日本のディフェンスを崩し、オープニングトライを獲得、直後にチーム2本目のトライをロスコ・スペックマンが決め、南アフリカ、日本を0-14と突き放した。

日本代表は、桑水流 裕策キャプテンが相手のゴールラインを破り、会場のファンを熱狂させた。しかし最終戦のロスコ・スペックマンはアンストッパブルだった。21-7と広がったリードを懸命に追いつこうとする日本の粘りは、合谷和弘の独走で報われたものの、直後にセシル・アフリカがタッチダウン。

セシル・アフリカはその後も試合2本目のトライを決め、日本は勇戦奮闘したが、試合のハットトリックヒーローに輝いたロスコ・スペックマンのほか、ジャスティン・ゲルダッドとチェスリン・コルベに次々とトライを許し、日本は完敗を喫した。最終戦で54-14というスコアで完全に圧倒されたジャパンセブンズだったが、初戦を歴史的大金星で飾り、ベスト4入りを果たした桜の戦士たちは、世界のスポットライトを日本ラグビーに当て、大会でも話題のチームになった。最後まで全力を尽くして戦ったジャパンチームは、胸を張って日本に帰国することでしょう。

5位決定戦 ニュージーランド 対 アルゼンチン代表

大会の始めでは、なかなか流れがつかめなかったニュージーランド代表も、最終日改まった空気でフィールドに登場した。チーム史上一つのシリーズ大会で4黒星を喫したことがないオールブラックスセブンズは、新たな記録を回避するためにも、勝利を目掛けて突っ走った。 – with a 17-14 defeat of Argentina.


​前半唯一のトライを決めたアキラ・イオアネは、オールブラックスセブンズをリードに導いた。後半では、ギリーズ・カカが素晴らしいステップワークでディフェンスを潜り抜け、インゴールのパスでトライをチームメートのティム・ミッケルソンに譲った。チーム3本目のトライは、リコ・イオアネが挙げ、反撃の余地が残されなかったアルゼンチンは、後半終盤にゴールラインを割ったフアン・イムホフと、マティアス・モローニで粘ったが、やがてノーサイドのホイッスルが響きわたり、17-14で勝利を獲得したニュージーランドは、オリンピックを5位で終えた。

7位決定戦 フランス代表 対 オーストラリア代表

試合開始から1分、ボールを奪ったのは、セブンズにおける年間最優秀新人選手賞を受賞したオーストラリア代表のヘンリー・ハッチンソン、オープニングトライを決めた。その後もオーストラリアにトライのチャンスが訪れるも、得点につなげられず、フランスのテリー・ブラウアキャプテンに独走トライを許し同点に追いつかれた。

オーストラリア代表にとって、前半で逃したトライチャンスは後、勝負を分けるミスであったことを思い知らされた。予選プールの初戦でハットトリックを決めたテリー・ブラウアは、オーストラリアを相手に積極的な攻撃を仕掛け、前半終盤に追加点を獲得。ハーフタイム明けには、フランスのベテラン選手、ジュリアン・カンデロンがさらにトライを挙げた。

後半残り40秒でオーストラリアのエド・ジェンキンズキャプテンが押し返し、トライを決めるも、コンバージョンは決まらず、12-5のリードを堅持したレ・ブルーはそのまま白星を飾り、7位の座を獲得した。

最終日、第1節のマッチレビュー

HSBCワールドラグビーセブンズシリーズを2連覇したフライング・フィジアンズは、20-5というスコアで日本に快勝し、準決勝を勝ち抜いた。 

続いて行われた2戦目の準決勝戦では、チームGBとブリッツボックスが接戦を繰り広げ、最後はトム・ミッチェルのコンバージョンが決めてとなり、僅差でイギリスが決勝に進出。

準決勝戦

完璧なフォームでスタートを切ったフィジーは、日本のディフェンスをワイドにかわしたバテモ・ラボウボウがオープニングトライを獲得。しかし直後にシンビンをもらい、フィジー一人少ない状態となった。チャンスをつかんだジャパンセブンズは、後藤輝也のトライで同点に追いつき、相手に油断の余地を与えなかった。 

ジョスア・ツイソバが曲芸のダイブでゴールラインに飛び込み、スコアを10-5に広げてハーフタイムに入った。後半では、セミ・クナタニがトライを決め、まさかのイエローカードをもらったレメキは、日本のピンチとなった。6人に減った守備で日本はジェリー・ツワイにトライを許し、突き放された。

粘り続けた日本は意地のトライを目指すも、最後は20-5というスコアで苦汁を飲まされた。

日本代表、ロマノ レメキ ラヴァ選手のコメント

「自分たちのパフォーマンスは悪くなかったと思うが、腕の長いフィジー選手はどこからでもオフロードすることができる。そこにやられたと思う」

「まだメダルをかけた試合がある。あとはリカバリーとモチベーションを上げることの問題だと思う。」
「自分のイエローカードには不満を感じている。正直自分は、良いタックルだったと思ったけど、またビデオを見返さないといけない。けど、今はもう過ぎたこと。相手はトライを決めたため、ゲームの流れは影響された。銅メダルを手に入れることはまだできる。」

  • 南アフリカ 対 イギリス代表

負傷で大会を離脱した南アフリカのスピードスター、シアベロ・セナトラを失ったブリッツボックスは、控えのロスコ・スペックマンがメンバーに加わった。試合序盤からダイナミックなペースでイギリスの守備を破ったロスコ・スペックマンはフィールド上で存在感を発揮した。前半唯一のトライはカイル・ブラウンが決め、南アフリカのリードでハーフタイムに入った。

しかし、ブリッツボックスのリードは1分足りずでチームGBにひっくり返された。ワイドにボールを回したイギリスは、トライとコンバージョンを共に決め、逆転に成功。そのまま、両サイド共追加点が挙げられず、チームGBが決勝への切符を手に取った。

5位決定準決勝戦

  • ニュージーランド代表 対 フランス代表

今大会1勝しか挙げていないオールブラックスセブンズは、チーム史上1大会で4黒星を喫したことが一度もない。前半2分、上手くパスをつなげたDJ・フォーブスのアシストから、リーガン・ウェアがトライを決め、ニュージーランドがリード。しかし、2分後にはステファン・バレスがトライとコンバージョンを決め、7-5とフランスが逆転に成功。積極的な攻撃を続けたフランスは再びパレスがゴールラインを破り、12-5と、リードを広げてハーフタイムを迎えた。

しかし後半では、アキラ・イオアネがの独走トライと、直後に決まったリコ・イオアネのトライで、兄弟の活躍がニュージーランドにリードを返した。リーガン・ウェアも試合2本目のトライを決め、スコアは24-19に広がり、最後はフランスが意地のタッチダウンで試合が終了した。

  • アルゼンチン代表 対 オーストラリア代表

試合開始直後に2トライを獲得したトム・クーサックの活躍と、コン・フォーリーのタッチダウンで序盤から流れをつかんだのはオーストラリア代表だった。反撃に出たアルゼンチン代表は、キャプテンのガストン・レボルが前半終了間際にトライを決め、アルゼンチンに希望を吹き込んだ。後半序盤でレボルが試合2本目のトライを決め、さらにモローニの得点で2点差に追いついたアルゼンチン、最後はモローニのセカンドトライでアルゼンチンの逆転勝ちとなった

9位決定戦

アメリカ代表は、2日目にふくらはぎの負傷を負ったペリー・ベーカーを失い、スピードスターが一人少ない状態で試合に臨んだ。

負傷のため、パブロ・フォンテスに代わってメンバーに加わったパブロ・フォンテスがオープニングトライを決め、スペイン代表が先制。しかし、カーリン・アイルズとダニー・バレットがそれぞれトライを決め、イーグルズセブンズがリードを奪い返した。アンヘル・ロペスのトライでスペインは同点に追いつくも、マカ・ウヌフェとカーリン・アイルズがさらにトライを重ね、アメリカが24-12で勝利を収めた。

11位決定戦

試合開始直後にビリー・オディアンボがゴールラインを破り、先制したのは黒のジャージーを着たケニア代表だった。メダル獲得を目指して大会に臨んだケニア代表は、期待外れの11位決定戦止まりとなったが、トライを次々と挙げ、最終戦を勝利で飾った。

ハットトリックを決めたビリー・オディアンボのほかには、ウィリー・アンバカが得点を重ね、ブラジルの疲労が表面に浮上した。試合終了間際、ブラジルはルカス・ドゥケのブザービートトライを祝ったが、フォワードパスの判断が下され、最後はノートライとみなされた。ホームチームのブラジルは最下位の12位で

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